散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

レモン&コアオハナムグリ

2024-05-17 14:36:40 | 花鳥風月
2024年5月17日(金)


 GW滞在中の、この一枚。
 レモンの開いた花弁は純白なのに、つぼみはこの通り薄く紫がかっている。訪問者はコアオハナムグリというものらしい。

 コアオハナムグリ Oxycetonia jucunda Faldermann はコガネムシ科の昆虫の1つ。いわゆるハナムグリの仲間では日本本土でもっとも普通な種である。
 本種は個々の場合において単一種の花を集中して訪れる一貫訪花を行うことが示されている。また移動の際にはある程度の距離を一気に移動する傾向も見られる。このようなことから本種は花粉媒介に関しては同種の花粉を離れた花まで運ぶ性質があり、花粉媒介者として有効で、特に自家不和合性の強い植物にとっても有用なものと考えられる。
 本種の成虫は花蜜や花粉を食べるが、花に来た場合には雌しべの子房に傷をつける場合があり、特に柑橘類では生長した果実の表面に筋状の傷が入る傷害果となってしまうため、農業害虫として扱われている。ただし温州ミカンでは傷のある果実は落下するので被害が出ない。

 一長一短というところか。レモンにときどき「筋状の傷」があるのは、君の仕業みたいだね。どうぞお手柔らかに。

Ω

 

タラヨウの葉の保存状態

2024-01-24 18:51:42 | 花鳥風月
2024年1月24日(水)

 元日に書いたふりをして、タラヨウの葉裏の謹賀新年を下記に掲げた。



 実際にこれ ↑ を刻んだのは1月3日である。翌日帰京する際にタラヨウの葉を一枝分もち帰り、冷暗所に置いておいた。今日取り出してみたところ、まだ青々と水気を保っているようである。葉裏を引っ掻いてみれば、いくらか硬くて乗りが悪いものの、まだ十分使用に耐える。便利なものだ。
 昔日の人びとは、さぞ重宝したことだろう。


Ω

タラヨウの葉裏に刻む謹賀新年

2024-01-01 09:17:43 | 花鳥風月
2024年1月1日

 母は樹木を好んだ。木というものの堂々として忍耐強く、多くの命を養うところに憧れていたのではないかと思う。
 好きこそものの何とやらで、そこそこ詳しくはあったが、時に思い違いのあるのは致し方のないところ。縁側近くに聳えて庭の中央に影を落とす喬木を、母はタイサンボクと呼んでいた。草花や木々に関する知識の総量では及ぶべくもない自分が、これに一抹の疑問を抱いたのは他でもない、通った高校の校章にタイサンボクがあしらわれ、校舎の正面玄関脇にその大木があったからである。艶やかで大きな葉の質は確かに似ているが、葉の形はやや違っている。何より、タイサンボクなら梅雨の頃にぽっかり大きな白い花を咲かせるはずであるのに、わが家のそれは微細な花が綿の塊のような塊をいくつも作ってみせる。
 この件、いつか決着をつけたいと思いながら先送りになっていた。かつては見あげる高みの花盛りに無数の昆虫や小鳥までが寄っていたが、数年前に気まぐれな庭師が頂をずんど切りにし、残った高さが中途半端で花も咲かないので、もう一段切り詰めるよう三男に頼んだ。大男に育った彼の二日がかりの奮闘を眺めながら、切り落とした枝の写真を Google の無料検索にかけて出てきた答は…
 「タラヨウ」
 何?と父が聞き直したのは耳が遠いせいではない、恥ずかしながら自分もさらに聞き覚えがない。以下 、コピペ:

***

 タラヨウ(多羅葉、Ilex latifolia)、モチノキ科モチノキ属の常緑高木。日本の本州静岡県以西、四国、九州と、朝鮮半島、中国に分布する。山地に生え、寺院によく植えられる。
 和名「タラヨウ」の由来は、先の尖ったもので葉の裏側に文字を書くと黒く跡が残る性質が、インドで仏教の経文を書くのに使われた貝葉の原料であるヤシ科のタラジュ(多羅樹、Corypha utan)と同様であることに由来する。中国名は「大葉冬青」。
 日本では葉の裏面に経文を書いたり、葉をあぶって占いに使用したりしたのが、寺社に多く植樹されている所以。 葉の裏面を傷つけると字が書けることから、戦国時代にこの葉の裏に文字を書いて情報のやりとりをしたともいわれる。これが「葉書」の語源になったとの説があり、「葉書の木」「郵便局の木」と呼ばれ、東京中央郵便局の前などにも植樹されている。

武蔵府中郵便局(Wikipedia タラヨウ から)

***

 葉の裏側に字が書ける?
 これは面白いことを聞いた。色めき立ってさっそく実験してみる。

   

↑ 切り落した枝から青々した葉を拝借し
↓ 一枚選んで竹串の尖った先で字を書くと

 



 引っ掻き跡が、みるみる黒線として浮かび上がってきた。
なるほどこれなら手紙も経文も書けたことだろう。

ということで、新年の御挨拶


 
Ω 


ニホンイシガメ?!

2023-10-13 07:44:19 | 花鳥風月
2023年10月12日(木)

 かりんとうさん、10月5日付コメント感謝。
 少年期に見慣れたクサガメにしては、甲羅の三筋の隆起が認められないと思っていましたが、ニホンイシガメというんですね、中国由来のクサガメと違って我が国の固有種みたいですね、七福神で言えば恵比須さんですか。
 朝夕の語らいがいっそう楽しみになりました。

 かりんとうさんはその方面にお詳しいのですか?
 DNA検査って、どこにどうお願いしたらよいのでしょう?
 一つの情報で見え方がぐんと広がるものです。
 ありがとうございました!

***

・コメントが届いた記事: 亀が駆け寄る
・コメントが届いた記事のURL:
 https://blog.goo.ne.jp/ishimarium/e/c569732e83a41609d31e5943beb35917
・コメントを書いた人: かりんとう
・コメント:
  ニホンイシガメじゃありません?珍しい。
  確か「拾われた。」と仰っていたのでクサガメとの交雑はあるかもしれませんがDNAまで調べたら分かるかもしれませんね。

***

ニホンイシガメ:準絶滅危惧種。ただし「地域によっては絶滅する可能性が高い場所もあるが、種としての絶滅の可能性は低いと考えられている」とのことで一安心(下記)。小学生らの鑑定で「雌」とのことだったが、下記に照らして確かにそのようである。



Ω

ランタナに黒い蝶たち

2023-09-19 12:52:46 | 花鳥風月
2023年9月19日(火)
 裏庭のザクロの古木は、この暑さの中で早くも葉を落とし始めている。日中の暑さに圧倒されてぼんやり眺めていると、ハタ、ハタと小さな音を立てて一枚、二枚と落ちていく。風が起きればハラハラ落ちる。高い枝にはみっちり太った実が鈴なりだが、はじけるにはまだ少し早いようだ。
 落葉は寒さに向けた能動的な適応様式だが、いったい何に感応してこのような変化を起こすのだろう。日照時間か、それとも夜明け・日没のタイミングだろうか?
 夕方前庭に立ってみると、黒い大型の蝶が一つならず右往左往している。東側にオレンジ、西側にピンク、二株のランタナの花盛りが彼らを引き寄せているらしい。黒いからクロアゲハでは情けない、赤や白の斑入りの具合で種類は多彩、ひたすら感動的に黒光りしているのはカラスアゲハだと高校時代の悪友から教わった。
 その目で見ると、白い大きな斑入りのものと赤い模様のあるもの、少なくとも二種類混じっているようである。見上げるほどに育った酔芙蓉の桃色の花が夕暮れ間近を告げる中、カメラを手にこちらは地上を右往左往するが、もとより簡単に写ってはくれない。おまけにカメラの設定をシャッタースピード優先にすべきところ、いつも動かぬ草花ばかり撮っているから絞り優先、当然ながらどれもこれも痛ましく手ブレしている。
 臥薪嘗胆の決意をこめ、あえて掲げる失敗作。
 

 長い尾状突起に赤い斑紋、胴体は真っ黒であるところからしてオナガアゲハというものらしい。撮れなかった白い斑入りはモンキアゲハで、こちらは日本国内最大のアゲハとある。

 殺して標本にするような野蛮な魂胆とは当方無縁、恐れることなく写真に撮られてほしいのである。ミカン類の大好きなアゲハたちにとって、楽園ともいうべき故郷の庭。
Ω