散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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鴨長明/曾祖父の略歴

2020-01-30 18:26:44 | 日記
2020年2月2日(日)
 久しぶりに日の出前に起き、ラジオ体操をするつもりでラジオを点けたら古典の朗読が聞こえてきた。たまたまダイヤルがNHK第二に合っていたらしい。男が牛車の道すがら、以前通っていた女の家の前を通りかかる。このことを家来から聞いた女主人が「言いたことがあるので」と男を呼び戻させる。脇息にもたれて経を読む女を眺めながら、来し方のことなど後悔混じりに男が思い巡らす目の前で、女はそのまま気を失って息絶えてしまったというのである。
 この場面だけで十分面白いが、これに続く鴨長明の話のもっていき方が予想外で驚きに満ちていると、さも面白そうに語ってくださる解説者の名を聞きもらした。出典は『発心集』らしい。Amazonでソッコー注文、便利な時代で解説者も一瞬で調べがついた。浅見和彦先生(成蹊大学名誉教授)である。
 全10回の『方丈記と鴨長明の人生』、これ聴かざるべからず。
 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=8EDYWPkaHhU 

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 横浜在住の石丸某氏は、定年後の時間をフル活用して家系の整理を営々と進めておられる。同じ伊豫の石丸家でも当方とは方向違いなのに、たまたま得た情報などを随時こまめに知らせてくださった。「温泉郡誌」「新編温泉郡誌 : 大典紀念」さらにはデータベース「えひめの記憶」(URL下記)。
http://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/index/ecode:2 
 おかげで知った曾祖父の記事:

 石丸 峰三郎 (いしまる みねさぶろう)
  明治2年~昭和34年(1869~1959)県会議員・銀行頭取。明治2年12月11日,風早郡善応寺村(現北条市)で石丸甚五郎の長男に生まれた。獣医を職業とし,村会議員・郡会議員を経て明治36年9月~40年9月県会議員に一期在職した。大正3年風早銀行の取締役にあげられ,のち北条勝山銀行の頭取に就任した。昭和34年4月3日89歳で没した。
http://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:2/57/view/7495

 明治維新とともに産声を上げ、旧体制の一翼を日本の片隅で担い、戦後の瓦解と変動を経験した波乱の世代である。壮年期には臨済宗善応寺の檀家総代をつとめもしたが、晩年キリスト教に改宗して後事を子孫に託した。三男二女、十人ほどの孫、さらに数倍の曾孫とその子らが世に出ており、その一人が自分と言うことになる。

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 勝沼さん、コメントありがとう。御礼が遅くなりました。なるほど、そうなのでしょうね。
【イノシシはどこに住む動物か】
 福島の奥会津の学校にSCで行ってる時にクマの生態が気になり『クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー』を読んだのですが、クマやイノシシは元々山奥ではなく山の入り口付近に住んでた動物達だったそうです。里山開発によって彼らは山奥へ追いやら、過疎化によって里山が弱まり元の場所に戻ってきたらしいです。
(1月27日(月)投稿)
Ω


拙著御案内 ~ 『精神障害とキリスト者 ー そこに働く神の愛』

2020-01-28 11:05:06 | 日記
2020年1月28日(火)
 予定通り、1月24日の刊行となりました。

 監修者として名を掲げてもらっているのが、実は少々申し訳ない。月刊誌「信徒の友」に2年間にわたって連載されたシリーズの書籍化で、もともとのありようは当事者さんたちの寄稿や編集部によるインタビュー記事と、これに対する石丸のレスポンスとを交互に掲載したものである。いわばキャッチボールの記録であり、僕個人の寄与度は50%よりはるかに低い。「拙著」と称するのも僭越という次第。 
 統合失調症、うつ病、双極性障害、アルコール依存症、薬物依存症等々、いずれも容易ならぬ精神障害を抱えつつ、逞しく乗り越えて希望と感謝を育んできた人々の声と言葉が、広く届けられることを願う。
 よろしく御一読ください。


Ω



御礼とお願い ~ 石丸より石丸様へ

2020-01-23 18:14:53 | 日記
2020年1月23日(木)

 横浜市にお住まいの石丸Hさま:
 「石丸姓の由来」に関する本日付のコメント、ありがとうございました。貴重な情報をいただきましたこと、心から御礼申し上げます。
 今後もいろいろと御教示いただきたいのですが、残念ながら当ブログにはコメントを寄せてくださった方に直接返信する機能が備わっていません。恐縮ですが、差し支えなければコメント欄を通じてメールアドレス(もしくはこれに代わる連絡先)をお教えいただけないでしょうか。
 コメント内容は当方で操作をしない限り公開されません。連絡方法を確認させていただきましたら、コメントは直ちに削除し御迷惑をかけないように致しますので。
 御連絡をお待ちしています。

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 ・・・という次第で、同姓の御仁から興味深い情報をいただいた。この方も御自身の家系に関心をもち、重要と思われる資料を既にいくつも入手しておられる。いただいた情報の中に大洲・西条・長濱などの地名が現れて懐かしい。やはり伊豫に縁の深い姓なのである。
 あわせて江戸時代にも思いのほか人の動きや身分の異動があったことが窺われ、その時代に苗字を許されたという家の伝説が、あながち作り話でもないこと励まされる気がする。

Ω
 

雲の名前

2020-01-22 10:04:13 | 日記
2020年1月22日(水)
 「空がヘン、灰色の雲が均等に筋を引いて」
 「均等に筋・・・なるほど」
 電線が邪魔だが、その電線群と平行に地平線まで筋また筋。


 「こういう均等の筋になった雲、何ていうか知ってる?」
 「キントウン!」
 ダメか、この程度じゃ・・・


https://www.templatebank.com/gold/creators/dli.asp?id=178_0079

Ω

電車が遅れた二つの理由 ~ 保安点検とイノシシ衝突

2020-01-17 23:28:49 | 日記
2020年1月17日(金)

 朝の最寄り駅ホームが常ならぬ混雑。埼玉あたりで明け方に保安点検を行い、4時間後の今まで遅れや運休が生じているという。例の「過剰な非分節化」の悪影響だが、そんなこと言っても当座の役に立たない。頭の中の路線図を頼りに別経路を辿り、少し大回りして新宿に着いた。これで大丈夫かと思ったら、今度は中央線が妙にノロノロ運転してる。高尾・相模湖間で電車がイノシシと衝突したのだという。
 もとより患者さんを待たせるのは御法度だが、それより厄介なのがクリニックのルールで、出退勤は指(ゆび)認証でピピッと管理、わずかでも遅刻すると始末書を出さねばならない。これには決まった書式があって、その末尾に「今後、かかることのないよう注意いたします」という文言が予め印刷されている。冗談じゃない、そんなものに判が押せるか。この部分には引き出し線を引き、「電車遅延等の不可抗力に関して、かかる約束は致しかねます」と付記することにしているが、こんな面倒をできるだけ避けたいのである。幸い1分と5秒前にピピッをクリアした。
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 白衣に着替えながら二つのことを思う。
 一つ、なぜ万事がこんなにもせちがらいのか?自分の職場だけではない、世の中全体のことである。働き方改革の名で断行すべきことがあるとしたら、抜け穴だらけで実効性のない就労時間の形式的制限ではなく、この種の愚かしい強迫性の解消ではあるまいか。
 二つ、イノシシが可哀想である。猪突一撃は勇ましいが、相手が電車ではよも無事では済むまい。このところクマやイノシシの人里への出没が頻々と報ぜられるが、背景に里山の荒廃があるという。手入れの行き届いた里山は人の気配を感じさせ、野生動物を遠ざける役割を果たしている。里山が荒れればその分だけ野生動物らの活動域が居住地に近づくことになる。
 一昨夏、郷里の家の裏山にある墓所の一隅がイノシシに手ひどく掘り返されたのも同種の現象に違いない。高齢化と後継者不在でミカン栽培を放棄する家が増え、これまで墓所を囲んでいたミカン山が急速に荒れてきた。その現れであろう。
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 この件を家族LINEで送ったら、神戸の大学時代に六甲のイノシシやウリ坊を見慣れている長男が、そそっかしい返信をよこした。
 曰く、人間にとっての「開発」が進むにつれ、野生動物にとってはさぞかし住みにくい世界となっているのだろう、『平成狸合戦』を思い出した云々。
 里山は人間による自然の管理加工だから、系列としては「開発」の一端とも言える。昨今のイノシシ問題は乱開発の結果ではなく、逆に開発を放棄したことに依るのだから、『平成狸合戦』とは話が違うよ
 ・・・と書きかけて、思い直した。
 「開発」は直線的な進行過程であり、「里山の管理」は定常状態の維持を意味するから、互いにまったく別のことであろう。というか、ある意味で逆のことではないか。「(乱)開発」は人間の都合による直線的な進行と退却、対する「里山」は無思慮な進行/退却に対するアンチテーゼとしての平衡状態。だとするなら、「商品栽培としてのミカン山の放棄」は「開発」の裏現象であって、そう考えれば長男のコメントはそのままで良いのである。
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 白衣を着て対する相手は、何らかの意味で平衡を失った人々である。心の里山を回復すべく、ここへ足を運んでくる。自然のありようと人の心は、いつでもどこでも連動している。

Ω