キャリー・マリス著、福岡伸一訳「マリス博士の奇想天外な人生」を読了。といってももう1ヶ月以上前に読み終えていたんですが、なかなかブログを書く気にならなくて、今になってしまいました。
この本は、PCR技術を発明したことでノーベル賞を受賞した分子生物学者のマリス博士が自分の人生や思っていることについて書いたエッセイを集めた形の本です。
このマリス博士は、いたずら気があり、学者学者した感じの人ではなく、とても自由な感じの人です。サーフィンが好きで、カリフォルニアに住んでいます。
いくつかの主張、例えばオゾン層破壊が原因で地球温暖化になっているというのはまったくのデタラメで、大きな区切りから見れば、地球は氷河期に向かっているはずだ、というこの博士の考え方は、オゾン層破壊と地球温暖化が自明の事実のように報道され、その反論をまったく耳にしたことのない人には、「この人、本気で言ってるの?」と思い、違和感があるかもしれません。しかし、私はこの考えに出会ったのが実は2度目でした。オランダに来た当初、義父がオゾン層の破壊で地球温暖化になっているなんて眉唾ものだと言っているのを聞いて、私はどうしてこんなことを言うのだろう…科学的事実なのに…と違和感を覚えたものです。マリス博士の主張によると、人間の活動なんて地球にとってはとても微細なもので、それが地球、果たしては宇宙の営みに影響を与えていると考えるのは僭越なことで、この科学的事実というのはデータの読み方でかなり変わるものだし、フロン禁止とその直後に使われた代替品の特許をもっている大企業とのしがらみのせいで大宣伝されたもので実質的にはその影響関係の程度は不明だということです。
また、HIVウイルスがエイズの原因だという説にも疑問を呈しています。
さらに、糖尿病をメカニズムはかなりわかっているので、それをうまく治癒につなげる研究にもっとお金と人材をつぎ込めば早急に治せる薬ができるはずなのに、政府は宇宙だとか、人間が感覚的には理解できない素粒子などの研究に多額の研究費を政府がつぎこんでいることが、科学者として理解できないと言っています。
こういうことは、私は一度も考えたことがなかったので、ああそういう考え方もあるのかと新鮮でした。
最近、メディアによる洗脳ということがよく語られますが、日本の社会では当たり前の常識が、別の世界では疑問の対象になっていることもあって、びっくりします。話は少しそれますが、「原子力の安全神話」もよく考えれば、何事にもリスクはつきもので、飛行機や車でもそうなのであって、「絶対安全」なんてどこにもないことはわかるはずでした。
この本、理系をめざし若い人が読むとよい本だなと思いました。アメリカのちょっと変人のノーベル賞受賞の科学者がどんなことを考えているか、気楽に読める本なので、興味のある人は是非読んでみると面白いと思います。
体調はまだ咳が残っています。先週の血液検査のCRPが11、今週が6と減っているので、悪化はしていないと思います。Hbが低くなっていて、鉄分が足りないということで、鉄剤を打ってもらいました。でもふつうの生活ができているので、良しとします。
この本は、PCR技術を発明したことでノーベル賞を受賞した分子生物学者のマリス博士が自分の人生や思っていることについて書いたエッセイを集めた形の本です。
このマリス博士は、いたずら気があり、学者学者した感じの人ではなく、とても自由な感じの人です。サーフィンが好きで、カリフォルニアに住んでいます。
いくつかの主張、例えばオゾン層破壊が原因で地球温暖化になっているというのはまったくのデタラメで、大きな区切りから見れば、地球は氷河期に向かっているはずだ、というこの博士の考え方は、オゾン層破壊と地球温暖化が自明の事実のように報道され、その反論をまったく耳にしたことのない人には、「この人、本気で言ってるの?」と思い、違和感があるかもしれません。しかし、私はこの考えに出会ったのが実は2度目でした。オランダに来た当初、義父がオゾン層の破壊で地球温暖化になっているなんて眉唾ものだと言っているのを聞いて、私はどうしてこんなことを言うのだろう…科学的事実なのに…と違和感を覚えたものです。マリス博士の主張によると、人間の活動なんて地球にとってはとても微細なもので、それが地球、果たしては宇宙の営みに影響を与えていると考えるのは僭越なことで、この科学的事実というのはデータの読み方でかなり変わるものだし、フロン禁止とその直後に使われた代替品の特許をもっている大企業とのしがらみのせいで大宣伝されたもので実質的にはその影響関係の程度は不明だということです。
また、HIVウイルスがエイズの原因だという説にも疑問を呈しています。
さらに、糖尿病をメカニズムはかなりわかっているので、それをうまく治癒につなげる研究にもっとお金と人材をつぎ込めば早急に治せる薬ができるはずなのに、政府は宇宙だとか、人間が感覚的には理解できない素粒子などの研究に多額の研究費を政府がつぎこんでいることが、科学者として理解できないと言っています。
こういうことは、私は一度も考えたことがなかったので、ああそういう考え方もあるのかと新鮮でした。
最近、メディアによる洗脳ということがよく語られますが、日本の社会では当たり前の常識が、別の世界では疑問の対象になっていることもあって、びっくりします。話は少しそれますが、「原子力の安全神話」もよく考えれば、何事にもリスクはつきもので、飛行機や車でもそうなのであって、「絶対安全」なんてどこにもないことはわかるはずでした。
この本、理系をめざし若い人が読むとよい本だなと思いました。アメリカのちょっと変人のノーベル賞受賞の科学者がどんなことを考えているか、気楽に読める本なので、興味のある人は是非読んでみると面白いと思います。
体調はまだ咳が残っています。先週の血液検査のCRPが11、今週が6と減っているので、悪化はしていないと思います。Hbが低くなっていて、鉄分が足りないということで、鉄剤を打ってもらいました。でもふつうの生活ができているので、良しとします。
