熊谷達也著「邂逅の森」を読了。
読み出したら止まらない、一気に読みました。ミステリーでもスリラーでもない本で、題材も馴染みのないマタギの世界なのに、これほどスラスラと読めてしまうのは、著者の技量なのでしょう。
この本を知ったのは、twitterで誰かが読んで感動したと薦めていたから。そして、山本周五郎賞、直木賞をダブル受賞した作品だと知って、調べたら文庫にもなっていたので、即注文しました。500ページ余りの長編です。
内容は、マタギ(狩猟)を行う秋田県の雪深い山村に生まれた富治が大正から昭和にかけての時代を生きていく、波乱の人生を描いたもので、中心にはマタギの世界、人と自然というものがあります。また、鉱山の話もあり、当時のマタギの世界、鉱山の世界がとてもよくわかります。
大正から昭和にかけて、日露戦争や第一次世界大戦という社会の変化とともに、軍隊用に毛皮や金属の需要が増え、それがマタギの世界や鉱山の世界に影響を及ぼしていく様子もしっかりと描かれており、この時代の人々の暮らしを感じることができます。また、鉄道が少しずつ広がっている時代で、それが及ぼす村への影響があったことも描かれており、このような変化が村の暮らしに変化を強要した様を読んでいると、以前読んだ宮本常一著「忘れられた日本人」を思い出しました。これは、民俗学者が書いた本ですが、明治から昭和のはじめあたりまでの人々の生活の変化について書かれています。
100年少し前の時代を扱った作品ですが、今のコンピュータとネットの時代に比べて、ひじょうに違っていることを実感します。一人の人間は80年くらい生きますが、その人生でできることはそう多くはないですが、世界は80年もあればとても飛躍的に変化します。おそろしいなと思います。
しかし、人間社会や生活が大きく変化しても、森の奥では動物たちがまだまだ遠い昔と同じ生活を続けていることも事実です。
そうそう、軍隊用の毛皮の需要が高まったことと、その頃にニホンカモシカが乱獲され、激減したことで、天然記念物として保護されることになったこともこの本に出てきます。
とても興味深く読めた本でした。
体調は良好です。
読み出したら止まらない、一気に読みました。ミステリーでもスリラーでもない本で、題材も馴染みのないマタギの世界なのに、これほどスラスラと読めてしまうのは、著者の技量なのでしょう。
この本を知ったのは、twitterで誰かが読んで感動したと薦めていたから。そして、山本周五郎賞、直木賞をダブル受賞した作品だと知って、調べたら文庫にもなっていたので、即注文しました。500ページ余りの長編です。
内容は、マタギ(狩猟)を行う秋田県の雪深い山村に生まれた富治が大正から昭和にかけての時代を生きていく、波乱の人生を描いたもので、中心にはマタギの世界、人と自然というものがあります。また、鉱山の話もあり、当時のマタギの世界、鉱山の世界がとてもよくわかります。
大正から昭和にかけて、日露戦争や第一次世界大戦という社会の変化とともに、軍隊用に毛皮や金属の需要が増え、それがマタギの世界や鉱山の世界に影響を及ぼしていく様子もしっかりと描かれており、この時代の人々の暮らしを感じることができます。また、鉄道が少しずつ広がっている時代で、それが及ぼす村への影響があったことも描かれており、このような変化が村の暮らしに変化を強要した様を読んでいると、以前読んだ宮本常一著「忘れられた日本人」を思い出しました。これは、民俗学者が書いた本ですが、明治から昭和のはじめあたりまでの人々の生活の変化について書かれています。
100年少し前の時代を扱った作品ですが、今のコンピュータとネットの時代に比べて、ひじょうに違っていることを実感します。一人の人間は80年くらい生きますが、その人生でできることはそう多くはないですが、世界は80年もあればとても飛躍的に変化します。おそろしいなと思います。
しかし、人間社会や生活が大きく変化しても、森の奥では動物たちがまだまだ遠い昔と同じ生活を続けていることも事実です。
そうそう、軍隊用の毛皮の需要が高まったことと、その頃にニホンカモシカが乱獲され、激減したことで、天然記念物として保護されることになったこともこの本に出てきます。
とても興味深く読めた本でした。
体調は良好です。