Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「クォンタム・ファミリーズ」

2013-06-14 11:12:06 | Book
東浩紀著「クォンタム・ファミリーズ」を読了。三島賞受賞作。
あまり予備知識なく読み始めました。小説だから難しくないだろうと思っていましたが、カントやドストエフスキーの引用あり、量子脳計算、クリプキ数、多次元マンデルブロ集合など耳慣れない言葉もでてきます。
近未来小説で、並行世界を扱っているので、想像力をよく働かせて理解しないと、物語がわからなくなってしまいます。
インターネットが発達し、しかし、自動で虚偽の記述が作成されるウイルスのようなもので、ネットの世界が嘘の情報が氾濫し、何が本当で何が嘘かわからなくなってしまい、誰もネットの情報を信じなくなってしまっている世界だとか、もしかしたら、そんなことも起こりうるなあと思いながら読みました。
また、並行世界で起こっていることが自分の頭の中に流れ込んでくるという話は、私は夢をとてもよく見るので、この夢が本当は並行世界でおこっていることだったらと考えると、面白かったです。
この物語はとても複雑で、並行世界間の移動のほかにも、時間軸の移動、現実世界と物語世界の移動と、ダイナミックに世界が展開されます。しかし、その中で起こっていることは、いつのときでも人が対峙する家族の問題、親子の問題、愛情の問題、罪の意識などです。
400ページ強あり、長めの小説です。退屈することなく、面白く読めました。SFはあまり読まないからか、とても新鮮でした。
また、この作家の小説が文庫化されれば、読んでみるつもりです。
気候が今、暑くもなく寒くもなくで、体調は良好です。

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