20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『飛ぶ教室』65号(光村図書)

2021年04月21日 | Weblog
          

『飛ぶ教室』が届きました。
今回のテーマは、「ひみつのはなし」
謎めいていて、ワクワクするテーマです。

そのテーマに沿って、斉藤倫さん、佐藤まどかさん、小手鞠るいさん、長谷川義史さん、いしいしんじさん(知り合いのお名前だけ)などが、ひみつのはなしをいろんな形で、チャレンジしています。

例によって、BOOKSは、絵本が松田素子さん、YAが岡田喜久子さん、大人の本が穂村弘さん、児童書が私です。

私が今回メインに取り上げた作品は、『詩人になりたいわたしX』小学館から刊行されている翻訳ものです。
前編、日記帳に書き綴った詩で作り上げられています。どれもびっくりするような言葉の選び方と、その重なりで、詩の物語になっています。
ハーレムで暮らしているドミニカからの移民の少女の、満たされない日常。母との関係。ボーイフレンドとの関係。風景、内面、全てを描写する感性あふれる詩。そこから、この書評にも書いた一つを。

「わたしは意志という言葉をはじめて舌でさわった」

言葉の持つ力に満ちた本で、全米図書賞や、カーネギー賞も受賞しています。

短評では、『With you 』くもん出版)。社会へ向けての眼差しの深さや問題意識。そこから、あれこれの手法を使いながら書き続ける作家・濱野京子の作品です。この作品はヤングケアラーの問題を取り上げています。
彼女の作品は、他の雑誌ですが「女性のひろば」でも『Mガールズ』(静山社)を、何月号だか忘れましたが、取り上げます。意欲作を出し続けています。

他には、「中学年」「幼年」の世界を、独特な視点から、掴み取り、柔らかい口調で描く、松本聡美の『ごいっしょさん』(国土社)。彼女の物語作りの発想はおもしろく、そしてやさしいです。

また、こちらに執筆もしていて、イタリアで暮らしながら意欲的に創作活動をしている、佐藤まどかの『世界とキレル』(あすなろ書房)です。カズオ・イシグロの世界を思い浮かべます。

皆さま、ぜひこのご本もお読みになってください。
コメント
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