横尾さんの「セトウチ」さん宛の書簡の書き出しに、
今日、自宅とアトリエの本と写真などの資料をごそごそ、引っぱり出しながら見ていたら、もう何十年も前に買ったり、集めたりしたものばかりで、本などはいつか読むだろうと思って買ったまま手つかずになった名著や(僕にとっては)宝物ばかりがどっさり出て来て、何十年も味わうことのなかった興奮に酔いしれています。
とありました。
私の本棚にも「積読」ならぬ「いつか読」がヤマとあり、その一冊のジョン・ロン『統治二論』が、最近本棚にあることに気付いたのでした。
これは先日ブログにアップしました元検察官有志による安倍政権への意見書のなかに引用されている一文に、
時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著「統治二論」(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。心すべき言葉である。
とあり、この本なら「いつか読」のなかにあったはずだと、本棚をみたらありました。該当ページをはじめ目を通しているうち、「いつか読もう」は「いま読もう」になってきてページを追いはじめました。改めて民主主義の思想的積み重ねの高さ深さへの敬虔の念を、意識的に追っていくことの重要さを感じます。
寂聴さんの言葉「死がいよいよ近づいてきた」から「いよいよ」感を外したとしても「いつか読」の余裕はなくなってきてます。試験前の詰め込みならぬ、人生締め切り前の「詰め込み読」の様相を呈してきました。