ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

「富士」議な程う「宮」~い、ヤキソバと生ビール

2006-09-08 20:26:37 | 四方山話
今日は富士山での食べ物について書きます。

まずザックの中身ですが、私たちはいつも行動食を兼ねて柿の葉
寿司を持って行きます。

江戸時代、熊野灘で獲れたサバの塩漬けを押し寿司にして柿の葉
で包んだものです。柿の葉には食べものを腐り難くする成分が含ま
れているようです。後亀山天皇の孫、空因親王に土地の人が鯖寿司
を献上。適当な器がなかったので手近の柿の葉に乗せて臣下に分け
与えたのが始まりともいいます。
いずれにせよ、海のない大和で考案された素晴らしい保存食です。
高度の影響で食欲が減退したときでも、適当な酸味が利いたこの寿
司は抵抗なく喉に入りますので、私たちの富士登山には欠かせない
食べ物です。

(写真は、たなか、柿千、平宗のHPよりアレンジしたものです)

富士山は登るのは勿論ですが、下山も決して楽ではありません。
ガラガラの火山礫に足を取られぬよう踏ん張るので結構疲れます。
新七合目を過ぎて草木帯に入り、新六合目の山荘の屋根が見えて
くると本当にホッとします。



その横のノボリに「やきそば」の字が見えてくるともうたまりません。
宝永山荘に着くと、挨拶もそこそこに「ヤキソバ!」「生ビール!」
です。
実は、山麓の富士宮市は「ヤキソバで町おこし」をしていることで
有名なのです。
市内や周辺には多数のヤキソバを扱う店があり、それぞれの味を誇って
いますが、富士山中で本格的な味を楽しめるのは嬉しいことです。

腰の強い麺と肉かすを使うのが「富士宮やきそば」の特長ですが、
沸点の低いこの場所でこんな美味しいヤキソバができるのは不思議
です。
宝永山荘の渡井弘子さんは何を作らせても美味しい料理の名人ですが、
よほど水加減、茹で加減に工夫があると思います。



人気抜群のこのヤキソバを目当てに、毎週、登ってくる人までいるそう
です。これは決して私の贔屓目でなく、ヤマケイの「秋山JOY2003」にも
富士宮ヤキソバの中の五ツ星として紹介されていることでお分かり頂け
るでしょう。
また、ここでは生ビールが飲めるのです。
富士山では気圧が低いため、生ビールサーバーの操作はコツが必要と
されます。これを上手に入れて貰い、外に置かれたベンチで雲海や
眼下の大展望を眺めながら飲む一杯の味は、思い出してもこの世の至福
でした。



あーあ、近ければこれからでも飛んでいくのになあ。

<この記事は2003年10月10日の「ペンギン夫婦の山と旅」より再録
しました>