ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

森澤義信さん・奈良の山

2006-09-14 08:57:42 | 人との出会い・本との出会い


「奈良80山」は奈良の山を歩くには欠かせない本として、今では
私の座右の書となりました。

 80という数は「県内で標高800m以上の山」を基準に選ばれて
います。

 この本では、登山口までの交通手段としてマイカーを使ったガイド
になっているので、バスの回数が少ないために入山が困難だった
地域も、京阪神からの日帰り圏に入っています。

 類書には未だにマイカーでの入山を罪悪視するためか、不親切
あるいは不明瞭な記述が目立ちますので、この本はマイカーを利用
することの多い私にとって、とてもありがたく思いました。
 また、登山口周辺の記述がしっかりしていることも、何度も登山口
を探して長い時間を浪費した経験をもつ私には嬉しいことです。



 著者の森澤義信(もりさわ よしのぶ)さんとは、この本がご縁で
お付き合いが始まりました。日本山岳会に入会されたあとは、何度と
なく山行をご一緒することになります。(写真・右端が森澤さん。
2005年12月、熊野古道・伊勢路にて)

とくに2年前からJAC関西支部設立70周年記念事業として「紀伊山地
の参詣道シリーズ」と銘打った山行を始めてからは、つねに先達として
詳しい説明とともに道案内役を務めて下さいました。



「先達」とは言葉のあやでなく、森澤さんは実際に吉野山の修験本宗
別格本山・桜本坊による奥駈修業を重ね、中先達の資格をお持ちなの
です。



 今年6月、3年間の執筆期間を経て「大峯奥駈道七五靡」が出版
されました。巻頭の本山修験宗宗務総長・宮城泰年師の「平成の大峯
山脈を後世に伝える好著である」という言葉が端的に示すように、
何回もの実地踏査で奥駈道の現況を詳細に記録されているだけでなく、
今日に至る奥駈道と周辺の歴史が豊富な図版、写真で描かれています。

桜本坊蔵の「大峯々中秘密絵巻」などの図を、この本で目にできたのも
嬉しいことでした。巻末記載の参考文献は170近く、ここにも彼の真面目
で几帳面な性格がうかがえます。

 長く厳しい奥駈の道のりではありましたが、美しくも気高い景色、花々、
そして仲間との楽しい想い出が本書を読み進むにつれてよみがえり、
出来ればもう一度訪れてみたいと思いました。

 森澤さんには例会山行の他、個人山行でもなにかとお世話になって
います。
また山での帰りには、お互い嫌いではない方ですので、必ずと言って
いいほど一杯?のお付き合いも欠かしません。
「紀伊山地の参詣道」には、まだまだ訪れたいコースがたくさんあり
ます。


いつも笑顔を絶やさない森澤さん。
これからも先達として「ペンギン夫婦」をよろしくお願いします。