キイシモツケ
バラ科シモツケ属 シモツケは淡紅色ですがこれは白色房状でイワシモツケの一種と考えられています。イワシモツケは本州中部から北の亜高山~高山の蛇紋岩の岩場で見られ、和歌山県北部が西限のようです。特に紀ノ川市の龍門山では群生していて県指定天然記念物になっています。
龍門山(755.9m) 紀ノ川左岸にあり、和歌山の方から見た山容から紀州富士と呼ばれています。1994年と2000年の二度、キイシモツケを見に登りました。
ミカン畑の中の曲がりくねった道を登り、登山口にあたる一本松に着きました。この地名は後ろにある松が由来ですが…
2000年に友人と4人で行ったときには一本松は完全に枯れてしまっていました。左の田代ルートで登ります。
林の中を登っていくと、ぽつぽつとキイシモツケの花が見えだします。途中のチリナシ池の周りも、稜線に出た田代峠の辺りもキイシモツケが満開でした。飯盛山から続く稜線を右に折れて尾根道を行くと…
磁石岩があります。周囲17m、高さ4mの岩に磁石を近づけると、岩の北の方がS極を南がN極を引っ張ります。 つまり岩全体が磁石になっているのです。
一寸降りて登り返すとキイシモツケに囲まれた小台地に頂上三角点があります。
すぐ先に、ここも白い花に囲まれた広い台地に山名板が立っています。正面に和泉山脈が連なり、眼の下に紀ノ川が見えます。ちょうど真北が和泉葛城山になります。
帰りは中央コースを下りました 。蛇紋原という表示の岩鼻から下を覗くと、黒い蛇紋岩の小台地の周りをキイシモツケが取り囲んでいます。コデマリに似たこの可憐な花は、毒性の強い蛇紋岩の土質を好むのだそうです。
更に下っていくと明神岩という大岩があります。
ここからも粉河の町や紀ノ川の流れを美しく見下ろせますが、高さ40mもあり足が竦むようです。近くに蚕繭の貯蔵庫だったという深く暗い風穴があり、楠正成が隠れていたという伝説が残っています。最後は丸太道も混じる七曲りの急坂を下ると、一本松に続く林道に出ました。
この時期、この山ではキイシモツケの他にもヤマアジサイ、カキノハグサ、モチツツジ、ツルデマリ、ノリウツギ、フタリシズカなどの花が咲いていました。