69 護摩壇山(1372m) <紀伊山地西部>
(ごまだんざん)この山から伯母子山へ、十津川と野迫川の村境となる山稜が続いている。山名は次の伝説による。源平屋島の戦いで敗れた平維盛は、西国に落ちた一門と別れて高野山に隠れたあと、滝口入道に導かれ熊野に向かう。この山頂で護摩を焚き行く末を占うが、煙が空に昇らず谷に下るのを見て平家の運命を知る。そして那智に至り熊野の海に入水した。一説には、護摩を焚いて一門の将来を占ったのは清盛ともいう。
奈良、和歌山両県にまたがる山頂近くまで高野竜神スカイラインが通り、駐車場と護摩木を積み上げたユニークな形の展望塔「ごまさんスカイタワー」がある。塔の横から広い階段状の遊歩道を登ると、10分程で山頂に着く。
休憩舎と「和歌山県朝日夕陽100選」の標識がある。護摩壇を象った大きな山名板があり、永らく和歌山県最高峰とされてきたが、東に見える頂きにNHKのTV無線中継塔が立つ山、龍神岳の方が10m高いことが分かり、その座を譲った。
最初に登ったのは子供たちの幼い頃だったが、2004年6月には町内の会で訪ねた。タワー横まで車で入り、護摩壇山頂上を経て東の稜線伝いに耳取山(現在の龍神岳)へ歩く。
NHKのTV無線中継塔があり、三角点名は丸山。
ここは展望にすぐれ、眼下に深い谷に沿って龍神へ続くスカイライン、その左にこれから向かう1304mピークなどの山、さらに左に鉾尖山の鋭峰、正面遠くには果無山脈などがよく見える。本峰に引き返して、休憩舎横を左に折れ南側の尾根を下る。スカイラインを横切ると「森林公園ワイルドライフ」の大きな広場である。
ここから自然観察路に入り、山頂休憩舎にくると、タワーから護摩壇山、耳取山とつづく稜線が正面に見えた。
2005年3月、果無山脈縦走のためにスカイラインを龍神温泉へ向かう途中で、雪の山頂へ壺足で登った。かなり気温が低かったことが印象に残っている。
今年(2014)5月、高野三山を巡り竜神温泉で一泊して、再び高野山に帰る途中に護摩壇山に登った。駐車場には何台ものオートバイが屯していたが、山に向かうと人影がなく、道は少し荒れているようだった。山頂のモニュメントは古びて、その横に「龍神岳へ」の標識があった。時間の余裕がなく最高峰へは行かずに引き返したが、駐車場近くで元気に登ってくる子供連れの夫婦を見て、若い頃に子供たちと来たことが懐かしかった。