6年前の今日(2008.07.26 )、当時在籍していた日本山岳会関西支部の海外トレッキング山行で、カムチャッカに29ある活火山の一つ、アバチャ山(2741m)に登頂しました。
夏だけチャーター便が飛ぶことになり、これを利用しました。24日、搭乗したツボレフ機はどうもかなり使い古された感じでした。しかし関空から僅か4時間のフライトでペトロハバロフスク・カムチャッキー空港に着き、パラトゥンカ温泉郷で一泊しました。
25日、カマスという軍用トラックを改造した6輪車で標高800mのベースキャンプへ。緯度が高いので、BC周辺でも美しい高山植物がいっぱい咲いていました。
またBCには地リスくんも遊びに来ました。
遅めの昼食後、通称ラクダ山という双耳峰へ足慣らしのトレッキング。雪渓を登ったコルから槍の穂先へ登るような感覚の岩場へ…
もう一つのピークを越した別のコルからは、先程通った二つの岩峰の上に明日辿る長い稜線が見えました。
登頂当日は頂上までの標高差1900mを一日で往復しなければならず、加齢(当時73歳)もあって苦しい登山になりました。ザックに雨具、防寒具、配給されたビニール袋の食料(チーズとサラミのサンドイッチ各1、ナッツ小袋、アンズ小袋、チョコレート2、リンゴ、キャンディー数個、サクランボのジュースパック2)と水1.5Lを入れて、午前8時BC発。
あいにくの曇り空で辺りは霧に覆われていましたが、雲の上に出ると火山礫の荒涼とした風景が拡がり、昨日のラクダ山を目の下にするようになりました。
推定2000m地点で昼食後、下山道を支尾根を過ぎると「悪魔の指」と呼ばれる奇怪な岩峰の下をトラバース。ここからが標高差500mの正念場で、まずは崩れやすい砂礫帯のジグザグの登り。ロシア人の下山者が頻繁に落石を起こし「バニ(石)」と叫びます。
直登道に変わり、最後の100mは細いロープに縋って登りました。
登り着いた山頂は火口壁の一角で、富士山で言えば各登山口の頂上で浅間神社のあるところです。赤茶けた地面に腰を下ろすと暖かく、火口壁から噴煙が流れてくると硫黄の匂いが鼻を突きます。富士山でいえば剣ヶ峰の最高峰へお鉢巡りをしたあと、下山しました。
下山後は登頂お祝いパーティです。同じ会員で今回のツァーリーダーのSさんが心を込めて準備してくれました。ビールとウォッカで乾杯。最後は、イクラとタラバガニとサーモンに刻み海苔とワサビ、醤油を添えた豪華な海鮮丼で満腹すると、ようやく登頂できた喜びがジワジワと沸いてきました。
翌日はフラワートレッキング。気心の知れた仲間たちと残雪の山に登り、たくさんの花たちにも出会えて忘れられぬ5日間の山行でした。このときお世話になったSさんも、今は若くして鬼籍の人となりました。いろいろとありがとうございました。合掌。