ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

16年前の今日(1998.07.17)

2014-07-17 06:00:00 | 過去の今日

オハラ湖周辺ハイキング

7月17日(金)快晴
ヨーホー国立公園にあるレイク・オハラへは、徹底した自然保護のためフィールド近くから一日2台出るバス(計60人)に乗るか、13キロの道を歩くしか他に方法はない。この標高2000mの美しい湖を起点に、さまざまな高山を巡るコースが整備されていて、いわばハイカーの聖地ともいえる最高の雰囲気が味わえる所である。
Lake O'HARA 9:00…All Soul's Prospect11:00~11:15…Hanging Garden of Babylon12:15~12:50(lunch)…Hungabee Lake14:30~14:40…Lake O'HARA 15:28



予約してあった8時半のバスに乗りレイク・オハラに着く。美しい湖は後でたっぷり上から見ることにして、さっそくビッグ・ラーチ Big Larch といわれるトレイルに入る。名前通りカラマツの美しい林である。黄葉する秋も素晴らしい眺めという。「悪魔の積み上げた岩」Devil's Rock Pile という所を過ぎしばらく行くと、ジグザグの登りになる。シロヤシオに似た白い花が咲いている。稜線にでると、左眼下にエメラルド色のオハラ湖、その背後に屏風のようにクラスター岩峰群 Cluster Peaks が立ち並ぶ。その右に大きな氷河を抱いているのはヒューバー山 Mt.Huber (3358m)だ。

 

 アラン氏と

湖から標高差で400m登ったところが All Souls' Prospect (prospect には「眺め」と「願い」の両方の意味がある。よく名付けたものだ)。われわれも、ほっとして腰を下ろし、周囲の展望を楽しむ。

レイク・オハラは全体の形を見せ、クラスター岩峰が険しく岸辺まで迫っているのが分かる。その向こうはカサドラル山 Cathedral、白く光るのはモナーク氷河。今登ってきた道の背後には、ずっと姿を見せてきたオーダレイ Odaray(3133m)の頂が鋭い。十分に眺望を楽しんで右手のサーファー山 Mt.Schafferに沿う岩の道を緩く下る。前方の岩の上にホーリー・マーモットがすまし顔で座り、オハラ湖を見下ろしている。近づくと顔を上げてこちらを見る。「俺の住まいはキレイな所だろう?」と言っているんじゃないか、とアランに言うと、同感だと答えて、ナネットに「KAIがこういっている」と伝えていた。左折して北へ岩稜を離れて、カラマツの散在する緑の草原の中に降りる。



オパビン氷河からの冷たい流れが音を立てている。雪を散りばめた岩峰群に囲まれた静寂な別天地だ。名を「バビロンの空中庭園」 Hanging Garden of Babylon という。ここで頭上にクラスター Cluster(2706m)の鋭い岩肌や、ヒューバー氷河を見上げながら、朝作ってきたサンドウィッチとジュースなどで軽いランチタイム。食後はまずオパビン・テラス池群の畔を通る。雲ノ平の日本庭園に似ている。ここから大きく右にヘアピンカーブして、正面のオパビン氷河やガンサイト・ピーク Gunsight peak に向かって再び高度を上げていく。ガラガラの岩の道で、今度は二つ並んだハンガビー湖とムーア湖を見下ろしながら行く。

 

しばらくで緩い下り道になり、ここでSさんが小さいが美しい六角形に整った水晶を見つける。やがてハンガビー湖 Hungabee Lake の畔に降り立つ。ここまで来ると、オパビン氷河の末端がすぐ上の段丘まで来ているのが分かる。そこに最奥の湖、オパビン湖 Opabin Lake があるのだが、15時半までにバス停に帰らなければ例の13キロを歩く羽目になるので、残念ながら時間切れ。大きくUターンする形で西北に向かう。しばらくはガラガラの水平道で、反対方向から来た何組かのハイカーと行き違う。中には真っ白いヒゲ面の高年者もいる。カナダに来て2週目に入り、私たちの挨拶もなかなか堂に入ってきた。

 

短いが急な登りがある。右が垂直の岩、左は岩塊が積み重なった崖で、北穂高の南稜の感じだが、高山は初めてのKさんも元気に通過する。再び下り、氷河からの水が滝になって勢いよく流れ落ちているところに出る。バスの時間が気になるが、ジグザグの下りが思ったより長い。途中で先行のパーティに追いつき、全員ようやくオハラ湖畔に降りたが、反対側のバス停まで湖を3分の一周しなければならない。アランが早足でバスを止めに行ってくれ、全員発車2分前にバスに乗ることが出来た。このコースは花こそ少なかったが、今までのトレール中、高山の気分を一番味わえた所である。これまでも予備知 識が全くなく、全ておまかせのハイクだったが、日程の最後で山の懐深く入れた感じで、もっとも印象に残った。

 

これでジャスパー、バンフ、ヨーホー各国立公園5日間のハイキングを終え、ロッキー・マウンティン・ハウスのマーシャル邸に帰る。途中、例の炭坑の町ノルデッグでアルバータ・ビーフのステーキの夕食。金髪のもの凄く可愛い、人形のような少女がお給仕してくれた。そこからの道で、コヨーテが道を横切るのを見た。前に書き忘れたが真っ白なマウンティン・ゴートもフィールドで見ているので、動物との出逢いもかなりの数となった。

16年前のカナディアン・ロッキー・トレッキングの想い出シリーズはこれで終わります>