*このシリーズは山行報告ではなく、私のこれまで登った奈良の山をエリアごとに、民話や伝説も加えて随筆風にご紹介しています。季節を変えたものや、かなり古いもの写真も含んでいます。コース状況は刻々変化しますので、山行の際は最新の情報を入手されますようお願いします。*
(130)行仙岳(ぎょうせんたけ) <1227m> 「山頂に電波中継塔」
持経宿は役行者が経典を納めたところという。ここに立つ山小屋から奥駆道を南に辿ると、持経千年檜と不動尊の祠がある。
ヒノキは昔から十津川郷の人々に大事にされてきた樹齢800年の巨木である。この辺りに多いヒノキ、ミズナラなどの巨木を見ながら、小さいピークを上下し、中又尾根分岐の標識があるピークを下ったコルに平治宿(靡二一番)がある。
理源大師聖宝が大蛇を呪縛して、遥かの谷に投げ落としたという伝説が残り、蛇の落ちたところが上北山村池原郷の明神池になったという。(理源大師の蛇退治については、黒滝村の百貝岳の項でも記した)。なだらかな道をしばらく進み、わずかの急登で転法輪岳(1281m)の頂上に着く。釈迦が説法した椅子の形に似た岩がある。少し下るとルンゼ状の岩の間に鎖場があり、ここでもシャクナゲが美しかった。
次の倶利伽羅岳の頂上は狭いが、すぐ先の岩の上から、北方の釈迦ヶ岳や西の中八人山の展望が得られた。さらに二、三のアップダウンがあり怒田宿跡に来る。すでに行仙岳の登りにかかっていて、その中腹にある狭い平坦地だ。行く手高くに山頂が望まれる。
急登で長い階段道が終わると、最後は右へ山腹を捲くように登って電波中継塔の立つ山頂に着く。行仙岳三角点はその一段上の枯れ木の下にあった。