*このシリーズは山行報告ではなく、私のこれまで登った奈良の山をエリアごとに、民話や伝説も加えて随筆風にご紹介しています。季節を変えたものや、かなり古いもの写真も含んでいます。コース状況は刻々変化しますので、山行の際は最新の情報を入手されますようお願いします。*
(131)笠捨山(かさすてやま) <1352m> 「あまりの寂しさに笠も捨てる?」
別名千種岳、仙ヶ岳。三角点のある西峰と、マイクロ反射板の立つ東峰からなる双耳峰である。「笠捨」の名は山の形状から来たものと想像していたが「西行法師があまりの淋しさに笠を捨てて逃げた」ことが由来という十津川の昔話があるという。(森澤義信氏『新日本山岳誌』)
『大和名所図会』には「千種岳に至る、一名仙嶽といふとぞ。また笠捨山ともなづく。姥捨山に連なるをもって名とするなり」とあり、西行の一首『をばすては しなのならねど いずくにも 月すむ峰の名にこそありけれ(山家集)』を載せている。しかし姥捨山とは現在のどの山か、また「笠捨」とどう関連するのか、私にはよく分からない。
笠捨東峰よりの眺望
2005年梅雨入りの日にJAC奥駆山行で笠捨山を通過した。貸切バスで浦向から425号線を上って未舗装の四ノ川林道に入り、登山口に来る。行仙小屋への補給路となっているジグザグの山道を登ること50 分で稜線の行仙小屋に着き、昼食。
午後は何度かアップダウンを繰り返して笠捨山西峰(千種岳)に立つ。
新しい神仏の石碑と二等三角点があった。行仙小屋から1時間半だった。この日は笠捨山から玉置山へ、さらに5時間雨中の縦走を続けた。