ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

6月の山に咲く花 ~ 2.キイシモツケ

2013-06-12 08:40:35 | 花日記

キイシモツケ 
バラ科シモツケ属 シモツケは淡紅色ですがこれは白色房状で
イワシモツケの一種と考えられています。イワシモツケは本州中部から北の亜高山~高山の蛇紋岩の岩場で見られ、和歌山県北部が西限のようです。特に紀ノ川市の龍門山では群生していて県指定天然記念物になっています。

 

龍門山(755.9m) 紀ノ川左岸にあり、和歌山の方から見た山容から紀州富士と呼ばれています。1994年と2000年の二度、キイシモツケを見に登りました。


ミカン畑の中の曲がりくねった道を登り、登山口にあたる一本松に着きました。この地名は後ろにある松が由来ですが…


2000年に友人と4人で行ったときには一本松は完全に枯れてしまっていました。左の田代ルートで登ります。
林の中を登っていくと、ぽつぽつとキイシモツケの花が見えだします。途中のチリナシ池の周りも、稜線に出た田代峠の辺りもキイシモツケが満開でした。飯盛山から続く稜線を右に折れて尾根道を行くと…


磁石岩があります。周囲17m、高さ4mの岩に磁石を近づけると、岩の北の方がS極を南がN極を引っ張ります。 つまり岩全体が磁石になっているのです。


一寸降りて登り返すとキイシモツケに囲まれた小台地に頂上三角点があります。


すぐ先に、ここも白い花に囲まれた広い台地に山名板が立っています。正面に和泉山脈が連なり、眼の下に紀ノ川が見えます。ちょうど真北が和泉葛城山になります。


帰りは中央コースを下りました 。蛇紋原という表示の岩鼻から下を覗くと、黒い蛇紋岩の小台地の周りをキイシモツケが取り囲んでいます。コデマリに似たこの可憐な花は、毒性の強い蛇紋岩の土質を好むのだそうです。


更に下っていくと明神岩という大岩があります。


ここからも粉河の町や紀ノ川の流れを美しく見下ろせますが、高さ40mもあり足が竦むようです。近くに蚕繭の貯蔵庫だったという深く暗い風穴があり、楠正成が隠れていたという伝説が残っています。最後は丸太道も混じる七曲りの急坂を下ると、一本松に続く林道に出ました。

この時期、この山ではキイシモツケの他にもヤマアジサイ、カキノハグサ、モチツツジ、ツルデマリ、ノリウツギ、フタリシズカなどの花が咲いていました。


6月の山に咲く花 ~ 1.ミヤマキリシマ

2013-06-10 08:39:40 | 花日記

 二週間ほど山はもちろん、汗もかけない一「身」上の都合で自宅謹慎の日々を過ごしております。
昔の写真をアナログ、デジタル構わず引っ張り出して見ていた
ところ、他の月に比べて6月の山行は少ないことに気付きました。
 若い頃は夏山に備えて、毎週のボッカ訓練、岩登りトレーニングなどに励んでいます。現役職業人中も長い休みが取れず近くの山行が多く、定年退職後も雨のせいにして前後の5月、7月ほど遠出はしていません。
 それでも、この時期ならでは見られぬ花がたくさんあることに気付きました。しばらくは花を中心にした山の想い出をご覧ください。

唯一といっていい6月の遠出山行は1997年、ミヤマキリシマの「くじゅう連山」でした。95年に定年退職して、やっとこの時期にも遠方の山に行けるようになりました。東北地方も梅雨入りした6月9日、雨を覚悟で大阪南港発のフェリーに乗り、10日朝、別府港から大分道を走って10時前に標高1,100mの長者原に車を置きました。


林道から登山道に入ります。最初の登りから勾配がゆるむと、笹原の中にミヤマキリシマの可愛い花が少しずつ現れてきました。


硫黄山から押し出した溶岩で出来たような谷に降り、黄色のペンキ印が付けられた大きな岩を辿って行きます。
硫黄山と三俣山のコルにあたる「すがもり越」から北千里浜の砂原に下り、草付の急坂を「久住分れ」へ登って東へ。


石のゴロゴロした急斜面を登り、中岳との分岐で右へ折れて更に登り、一等三角点のある久住山頂上(1786.9m)に着きました。


山頂からの眺望。天狗ヶ城、中岳、稲星山、遠くに大船山。この時期にしては恵まれた展望を肴に、長者原で仕入れた缶ビールで乾杯して昼食(13:10~14:00)。


午後は火口湖の御池湖畔を通って、大きな岩の間をよじ登る豪快な道を中岳(1791m)へ。頂上からは、ミヤマキリシマでピンクに染まった平治岳(ひじだけ)から大船山に続く山並みが美しく望めました。稲星山のコルから法華院温泉に下る頃から雨が降り出し、次第に本降りになり傘をさして温泉に着きました(16:20)。


雨の音や大きなイビキで浅い眠りのうちに朝を迎えると、幸い雨は止んでいました。7時の朝食を大急ぎで済ませて7時半出発。〽四面山なる坊ヶツル…を抜けて、平治岳との分岐から右へ大船山を目指します。


1時間で見晴らしの利く五合目に着きました。三俣山の左肩に紫色の阿蘇山がくっきりと見えます。右手には雲海に浮かぶ由布岳、さらに北部の山々が。



急坂のジグザグを繰り返して火口壁の段原(だんばる)に登り着くと、思わず歓声を挙げる光景が待っていました。左には北大船山のピーク、正面には米窪の凹地を隔てて黒岳へのなだらかな稜線、右へ大船への道が続いています。その山肌の至る所がピンクの絨毯で覆われているのです。

大船山頂上(1787.1m)からの展望は期待以上でした。久住連山の眺めはもとより、南東の傾山、南の祖母山、南西の阿蘇五岳、北の英彦山、北東の由布岳、鶴見岳と九州の主な山が見渡せました。平治岳方面のピンクの稜線が鮮やかです。


北大船山から黒岳の稜線。遠く由布岳が見えます。


大戸越に下りました。前の山は平治岳。


最後のピーク・平治岳(1642.8m)へは一方通行の急坂の登りで、11時半に着いた頂上は人で埋まっていました。


船の時間も心配で5分で別の道を下りましたが、期待にたがわぬ展望でした。(左から久住、硫黄、三俣山)。大戸越で昼食後、2時間半ノンストップで歩いて少し疲れを感じる頃、長者原の広々とした風景の中に飛び出しました。

久住連山の四つの峰に登り、すばらしい展望と花に出会えて、最高に幸せだった二日間の山旅でした。


ナンテンの花(2013.06.07)

2013-06-07 09:57:32 | 花日記

朝から庭に空梅雨の暑い陽射しが降り注いでいます。ナンテンの花が咲きました。


南天 南天研究所のBLOGによると、和名は漢名「南天燭」の簡略化で、その実が赤い燈火に似るためだそうです。しかし「南の天の」説明はありません。
昔から「難転」つまり「災いを転じて福となす」と、縁起の良い植物とされていました。子供の頃、トイレが家の外にあったときは手水鉢の横に植えられていました。その理由は「年寄りが転んだときつかまるため」や「水がないとき葉で手を洗う」??という知識もこのBLOGで得ました。こんな研究所があるのかと、よく見ると常盤薬品工業の文字が…あの有名な「南天のど飴」の会社のBLOGでした。

角川の俳句歳時記で、こんな句を見つけました。
「花南天実るかたちをして重し」 長谷川かな女

この花が全て赤い実を付けると本当に重そうに見えますが、悪いヒヨドリが来てどんどん数を減らしてしまいます。


梅の実が大きくなりました(2013.06.05)

2013-06-05 09:48:38 | 今日の大和民俗公園

今朝も良いお天気です。大和民俗公園の花菖蒲園には早朝から大型のカメラで花姿を撮る人の姿がちらほら。


梅林の青いウメの実がたわわに実っています。
「梅雨」バイウは中国語の梅雨・メイユーから来ています。日本(北海道、小笠原以外)朝鮮半島南部、中国中南部、台湾などで、このウメの実る時期に降る長雨ですが、面白いのは梅もこれらの東南アジア以外では見られない植物だそうです。
バイウをなぜツユと呼ぶようになったかには諸説ありますが、どれも私には難しすぎてピンときません。


梅雨の晴れ間に…

2013-06-03 10:10:58 | 今日の大和民俗公園

早朝のウォーキングで大和民俗公園へ行きました。正面入り口付近ではカントウサツキが満開です。


キササゲ(木大角豆)
見上げるような大木にたくさんの花をつけています。実になるとササゲ(豆)のように見えるので「木のササゲ」。近くで見るとランの花のようで美しい花です。


花菖蒲園のアヤメが次第に見頃になります。


ササユリが一輪だけ咲いていました。


オオヤマレンゲが次々に開いています。深山に行かなくても、こんなに近くで見られるのが嬉しいです。


ひょうたん池のヒツジグサ。白い花が多いです。


この間、ムギの花が咲いたと思ったのにもう青い穂が実ってきました。


バイカウツギ(梅花空木)


ウツギ(空木)
別名・卯の花は旧暦四月の卯月に咲くからだそうです。
子供の頃に歌った「卯の花の匂う垣根に ホトトギス早やも来鳴きて…
」の元歌?らしきものが万葉集にあります。
「卯の花の 咲き散る岳(おか)ゆ ほととぎす 鳴きてさ渡る 君は聞きつや」作者不詳

この歌の「岳」で思い出しましたが、中央アルプスの空木岳(2,864m)の山名は山麓の伊那谷から見上げたとき、頂上付近の残雪がウツキの花に似て見えることに由来しています。1963年正月の猛風雪で当時大学3年のK君がこの山で遭難し、4月に高校山岳部OB隊で深い残雪を踏んで遺体捜索に登った、悲しい想い出のある山です。今朝は公園でホトトギスの鳴き声を聞きました。


わが家の庭で(2013.06.01)

2013-06-01 09:27:14 | 矢田之花暦(やたのはなごよみ)

6月になりました。梅雨入り宣言のあとも良いお天気が続いています。5月下旬から咲いているわが家の花たちを紹介します。マツリカは漢字で書くと「茉莉花」。ジャスミンの一種(アフリカ・ジャスミン)だけに、いい香りがします。


ユキノシタ(雪の下)
5枚の花弁のうち、上の三枚は小さくて濃いピンクの斑点があり、下の2枚は大きくて真っ白です。ちょっと湿ったところが好きなのか、子供の頃、田舎の井戸端でたくさん生えていました。


ゼラニウム
天竺葵の一種。いろんな形や色のものが園芸品種で作り出されています。虫除けの効果があるということで、スイスでは各家の窓際にこの花の鉢が置いてありました。


ペラルゴニウム
四季咲きのゼラニウムと同じ仲間ですが、こちらは初夏から夏にかけての花です。


ドクダミ
「ドクダメ・毒溜め」ではなくて「毒矯み(抑制する)」が語源。子供の頃はジュウヤクと呼んでいました。これは十薬という漢方薬の原料になるためです。独特の生臭い匂いから、中国では魚腥草、英語でも fish herb と呼ばれるとか…。4枚の白い部分は苞で、棒のような花序にたくさんついている小さい黄色い部分が花です。


ムラサキツユクサ(紫露草)
たくさん蕾を付けますが、朝開いては次第に萎んでしまう一日花です。それでも長い間、次々に咲いてくれます。高校の生物の時間に顕微鏡で雄蕊を見て「細胞内の原形質流動」を学び、生命の神秘に触れた思い出が甦ります。


オキザリス
色んな品種があるようですが、家で咲いているのはこのレグネリー・マイケという品種です。冬眠から覚めてから、ずっと咲き続けています。


カラー。サトイモ科の花で和名はカイモ(海芋)。湿地を好むものの他に、園芸種は陸性のものが多いようです。家にあるのはこの清楚な感じの真っ白な花です。