今日も「万華鏡の世界」展から素晴らしい作品をご紹介します。 まず中里保子さんの「はなみずきの頃」です。 この作品は中里さんが限定版として折にふれて作りつづけてきたもので、たぶん今回が最後になるという万華鏡です。 スランピングしたガラスの筒に沿わせて、メタル細工のはなみずきの花が咲いているデザインがとても好きです。 金属とガラスを組み合わせる作風は中里さんならではのもので、クラシックな雰囲気からモダンなものまで、いつもオリジナリティーにあふれています。
私自身、かなり前のことですが、六本木の万華鏡店で初めて出会ったときに、なんて素敵な作品なんだろうと感動したことをよく覚えています。 最初の作品から何年かを経て、中里さん自身も経験を重ね、作品の種類も多様になってきましたが、 この「はなみずきの頃」も新たな思いを込めて創られたことでしょう。
山見浩司さんとガラス作家の小暮紀一さんとのコラボレーション作品も目を惹きました。
左側が 「KOGUYAMA モザイク」、右側が「KOGUYAMA さくら」です。 お二人の名前を合わせたネーミングなんですね。 最近積極的にコラボレーションに挑戦なさっている山見さんが、小暮さんのガラスの筒に どんな映像を生み出すか、おおいに期待して覗き、そしてやっぱり目が離せなくなりました。
透明感のあるガラスオブジェクトだけの2ミラー映像は、すっきりと清々しい映像展開で、ドライタイプの心地よさを感じさせます。
さくらの方はきれいな赤を中心に本当に美しい映像ばかりで、感動しました。 すっきりと凛として、そして華やかさもそなえた、素敵な映像表現と、外観の静かな花模様が魅力ある組み合わせになっています。
また山見さんの美しいガラスアートを駆使したホイールの万華鏡もあります。
こちらは視野いっぱいに広がる色と輝きの饗宴です。
昨年に続いて細井厚子さんの万華鏡も並びました。 繊細で心に響く作品は今年は2つのサイズで登場しました。 シンプルなステンドガラスのデザインが細井さんの万華鏡に対する思いを伝えている感じがします。 そしてテーマのある映像表現というスタイルです。
「草水晶」の映像です。 外から見ても繊細なガラスオブジェクトが軽やかな音とともに動き、色味を抑えた魅力的な一瞬の映像を生み出します。
今日ご紹介した作家さんのみならず、ガラスの万華鏡作品にもいろいろな個性があり、魅力があります。 外のデザイン、内部の映像、それぞれに奥の深いものがあり、また受け止める側の心情や気分によっても見え方が違ってくる万華鏡というアートの面白さを感じますね。