
「有田焼万華鏡」で最初に開発されたのは、手持ち型の小ぶりなサイズでした。(写真の奥側にも写っています。) 多くの異なった部品から成っている万華鏡は、本来、まったく同じものが無いとはいえ、大きさを揃えて生産しなければ、大量に作ることは出来ません。筒の部分を焼くときの収縮率を一定にするために苦労をなさったと聞いています。
開発に成功して、「有田焼万華鏡」は、大手百貨店や万華鏡専門店での販売により多くの方の手元に届きました。そしてその次に、多くの人が集う場所に設置して、たくさんの人に楽しんでもらうための大型の作品の製作が始まりました。最初にご紹介したフロアータイプのほかに、卓上型の作品も数点創られました。
今日ご紹介するのは、源右衛門窯の大型卓上オイルタイプ「古伊万里風菊牡丹」という作品です。古伊万里の伝統的な図柄でしょうか。手描きの模様が素晴らしいですね。台座部分は「ブルー・アンド・ホワイト」の唐草模様になっており全体的に豪華な印象です。
万華鏡部分の製作者は山見浩司さん。オブジェクトは大き目のオイルワンドで、覗き口も大きく、ひし形のミラーシステムを通して、二つの曼荼羅模様が並び重なるように映し出されます。伝統的な図柄の色を意識して選ばれたガラスオブジェクトは、透明な質感で日本的な色模様を展開し、オイルセルならではの瑞々しさが演出されています。
何百年も前にヨーロッパに輸出されていた「伊万里」の磁器を、新しい形で再び世界に向けて発信したい、万華鏡の生まれ故郷スコットランドにも紹介したいとの想いが詰まった「有田焼万華鏡」です。
*有田郷で焼かれ始めた磁器は鍋島藩の保護育成と厳しい管理のもと、十数キロはなれた伊万里の港から積み出されました。そのため一般には「伊万里焼」と呼ばれるようになりました。(源右衛門窯ウェブサイトより)
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