
昨日に続いて、「ういすかあ」で拝見した細井厚子さんの万華鏡です。シンプルな外観の手持ち型万華鏡ですが、「琥珀」「シフォン」「海に咲く花」「cherry blossom」「草水晶」「宇宙」と名付けられたそれぞれの作品は、なるほどと感じ入る、どれも違った独特の映像世界を見せてくれます。オイルセルの作品を持って回そうとすると、お店のスタッフの方が「回さないでそのまま見てください」とおっしゃるので、じっと待っているとゆったりと映像が動きます。視界から消えたら180度回してじっと見るのです。回して楽しむ万華鏡が多い中、手を止めて映像の変化を楽しむというスタイルは新鮮でした。オブジェクトセルの中の繊細なガラスオブジェクトの量が少ないのは、このような楽しみ方をするためだということがよく分かりました。細井さんの表現したい、万華鏡に託した想いが伝わってくる作品に静かに見入ってしまいました。オーナーの方も、覗くと元気をもらえるような万華鏡も多いけれど、細井さんの作品は覗くと心が落ち着き、気持ちが和らぐ、癒しの万華鏡だとおっしゃっていました。余分な色を排除し、静かに、繊細に動く様子には、音楽よりも静寂が合うのかもしれません。余韻や余白あるいは沈黙に意味を感じる日本の伝統的なアート表現に通ずるような気がします。これらの万華鏡の内部映像の魅力は細井さんご自身ののウェブサイト「細井厚子の万華鏡 透明な花」で大変美しく表現されていますのでご紹介しておきます。
今回も内部映像の写真もお店の方に協力していただいてずいぶん撮ったのですが、そのあたりの魅力を出せる一瞬は、なかなかカメラに収められませんでした。私の言葉だけでなく、別の方に語っていただくことで、さらに印象が伝わると思うので、コメントを頂き、感謝です。
私もお店の方に素敵な万華鏡をより深く味わうことのできる見方を教えていただきました。
展示の作品にはタイトル表示がなかったのですが、この記事を改めて読んだ時に題名を見ただけで、ぱっとその作品の映像が浮かんできました。
静かな余韻に浸ることのできる精神性の高い映像は、おっしゃるように龍安寺の石庭や茶室のような引き算の極みの美を感じました。