お世話になります
EHAGAKI(限定版)であります
首相の「相当詳しく読売新聞に書いてありますから、是非それを熟読していただいてもいいのでは」という国会での発言?
随分驚きました
翌日の朝刊、各紙が「読売新聞」をめぐる発言を伝え、朝日と毎日は見出しにも「読売」発言を取り上げ、産経は、2面で首相の答弁内容を伝えたものの、大手5紙では唯一「読売」の文字が登場せず
産経が発行する夕刊フジも首相インタビューを掲載(5月2日)したが、そのニュース価値は雲泥の差があったとか 首相は産経を「袖に」し、その結果、産経の紙面では「読売」発言が「黙殺」された、と
ジャーナリズム云々前に、それぞれの立場・意地があるんでしょうね そんな訳で今回のお題は、「新聞読み比べ」であります
参考図書) 「芸人式新聞の読み方」 プチ鹿島:著
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
◆プチ鹿島著「芸人式新聞の読み方」その「はじめに」から
「世の中が乱れると、朝日新聞と東京スポーツの見出しが同じになる」 オウムは自分の組織に「外務省」とか「大蔵省」などと省庁の名前を付けていた まったく子どもじみている
しかし、ひとたび重大なテロ事件を起こすと、<オウム科学技術省がサリン製造か>という見出しが朝刊紙に載ってしまった
新聞は、おじさんが書いておじさんが受信する
インターネットの時代、新聞のことを「旧メディアの偏向報道」「腐ったマスゴミ」と馬鹿にする人たちもいる もったいない、旧メディアには旧メディアの役割や論理がある、伝統の作法がある
一般紙であれば、載せるからには誰かに裏を取った上で、その新聞の思惑が反映されている
「また朝日と産経が全然違うこと言ってるぞ」と覗き見するくらいの下世話な気持ちで、マスコミを「信用する」のではなく「利用する」という気構えでいればいいい
新聞は、キャラが違うからこそおもしろい 書いていることがバラバラだからこそ、読み比べる楽しさがある
次にまた「朝日」と「東スポ」の見出しが同じになる日がきたら、、、 新聞それぞれ違う価値観を味わえる日々が続くことを下世話に願いたい
◆なるほど
そのキャラクターを知った上で読み比べる、か 比べることをせず、どれか一紙だけを読むことは相当危険なことなんんでしょうな 新聞はその「キャラ」によってその扱い方や論調は驚くほど違う 以下抜粋
◆2015年8月末の安保法案をめぐる国会前のデモの“数”について
◇「朝日」「毎日」「東京」は一 面で大々的に報じたが、「読売」「産経」は社会面で報じた
◇「産経」はデモの人数について焦点をしぼった 「警察「3万人」主催者「12万 人」周辺、雨中騒然」 「警察関係者によると、約3万人が集まったとみられる。主催者側は約12万人が参加した」と報じた
他紙はまず「主催者発表」を先に書き、そのあと「警察関係者の言う数」を報じていたが、「産経」はまず警察関係者の言う数が先 「人数の差に開きがあるぞ?」と言っているよう
◇「読売」は8月30日(日曜日)の反対だけではなく、29日(土曜日)に行われた賛成派デモとセットで報じることであくまで「週末のできごと」感を出した 主催者発表では参加人数は反対12万人と賛成500人の差だが、「読売」は両論併記という合わせ技
◇6ページにわたってデモを伝える「東京新聞」は警察関係者の「3万3千人」は載せていない
◇「日経」は警視庁は参加者数の発表をしていないが、警察関係者は3万人余りとしている
◇つまり、警察は公式に発表はしていない 各新聞が伝えたのはあくまで関係者のコメント(記者が警察の警備や広報の担当から取材して聞いた人数)である
◇9月1日「産経」「国会前集会本当に「12万人」?」 国会正門前は多くても3万2千人程度だったと産経新聞が試算、主催者が発表した12万人にはほど遠い(試算は上空から撮影した警察車両の前に機動隊員が15人並んでいたことを基準とした)
◇ツイッターの反応 「ほーらみろ、12万人なんて嘘つけ」 「国会前だけ計算してどうする」「一日で入れ替わりがあるだろ」 と批判合戦
◇とにかく「数は少なかった」にこだわる「産経」
◇北海道新聞 「参加者数12万、それとも3万?」 (2015年9月2日) 「国会周辺の地下鉄駅を降りた客の数を調べたところ、前週と比べ、最低でも5万5千人以上多かったことが分かった」 「数を明らかにしなかった周辺駅もあり、参加者は3万人を大きく上回っていたのは間違いなく、主催者発表の方の数字に近いだろう」
◆なるほど
主催者発表であれ警察関係者談であれそのまま流す新聞 客観的な視点からの検証をした「産経」「北海道」
しかしながら、どうしても事実(ファクト)と意見(オピニオン)が入り乱れる訳ですな 「産経」は“国会正門前”に限定している点がミソ、「北海道」はしがらみ少なく本当のコトを書いたのか
で、その新聞を擬人化するとイメージしやすい、と 以下抜粋
◆「高級な背広を着てハイヤーに乗り込むおじさん」
朝日新聞は「新聞は社会の木鐸である」という言葉を信じて正義を追求 論調は自他共に認めるリベラル、その一方で「大朝日」のプライドも見え隠れする そしてそれが鼻持ちならないと他紙や週刊誌の格好のツッコミ対象となる
野球の外野で言うなら「左寄り」のポジションで、常に注目を浴びるという点では「センター」でもある 名物コラム「天声人語」は、大学入試の問題でよく採用されると自分でよく言う 夕刊の短行コラムの「素粒子」の「言ってやった感」も要チェック 主催する夏の甲子園の報道に力を入れる
◆「和服で小言を言っている頑固なおじさん」
産経新聞「2016年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補が決まった翌日の「産経抄」 「『斎藤さんだぞ』『(僕の)アモーレ』など、世事にうとい身には恥ずかしながら、 何のことだか分からないものもある。」 と言いつつ「中には『保育園落ちた 日本死ね』 のように候補に不似合いなものも。」とやっぱり小言を忘れなかった
キングオブ保守おじさん
◆「理想を淡々と追い、論理に重きを置いている書生肌のリベラルおじさん」
毎日新聞は「朝日」ほどの高級背広感はなく、庶民感覚に近い 飄々としていて保守論陣から攻撃対象にされることも少ない こうしたたとえでも「朝日」が比較でいちいち出てくるように割を食っている感じもある
主催する春のセンバツも夏の甲子園の「朝日」に対しどこか地味
◆「問題意識が高い下町のおじさん、東京出身者が巨人ではなくヤクルトを応援するような趣」
東京新聞は、ここ数年であらためて注目されている 中日新聞社東京本社の 発行で、3.11以降、反原発や反安倍政権のスタンスは注目を集める その先鋭っぷりは「赤旗よりも左」と「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)でネタにされるほど
特集「こちら特報部」は要注目、「朝日」の天声人語に相当する「筆洗」は、2016年の参院選翌日のコラムが印象深い
自民党もひどいが野党もひどい状態をメニューの少ない大味のレストランにたとえ 「おなかをすかせた客がカレーを食べている。喜んで食べている人もいる。疑いながら、泣きながらの客もいる。」と書いた
◆「現実主義のビジネス一筋おじさん」
日本経済新聞は、ビジネスマンの必須アイテムという立ち位置を獲得、就活生が「日経読んでる?」と言われるCMを見ると、「朝日」だ「読売」だを飛び越えて、実社会での本当の権威・保守は「日経」なのだと思う
トランプが米大統領選に勝利した翌日、他紙は米軍の駐留費について見解が分かれたのを尻目に、「日経」は「日本の安全保障が米軍に依存しているのは事実であり、ある程度の負担増はやむを得ない。」とアッサリ書いた
政財界人であるなら、名物企画「私の履歴書」に出るのが最終目標か 森喜朗がこの欄でコネ入社をご機嫌で自慢してクレームがきたことでも有名
◆「ずばりナベツネ!」
読売新聞のキャラをひと言で表すなら、「ナベツネ」そのもの 政治記者としてバリバリやりすぎて、いつの間にかマスコミから「あっち側」にも軸足を置いたナベツネのやり手イズムが今も流れている
「読売」が現政権にかなり食い込んでいるのは一目瞭然、 そんな自分に自信を持っている
2014年9月3日に《幻の「小渕(優子)幹事長」》という記事を書いた翌日 「結果的に読者に誤った印象を与えた。日々流動する政局に際しては、多角的な取材と慎重な判断により、今後とも正確で迅速な報道に努める。」とわざわざ「謝罪」したのが印象深い この記事にこそ『読売』の自信が読み取れる
「我々はここまで政権に食い込んでいる」という自負と「ホントに小渕幹事長で実現寸前までいったのだ ただ、急に谷垣幹事長案になっただけ」という「説明」をしているように見える
政局の他は、主催する箱根駅伝と、巨人に関する報道に力を入れる 「朝日」と「読売」のあてこすり合戦はわかりやすい
巨人の選手のスキャンダルがあると「朝日」が喜んで報じる 野球賭博で笠原の名前が出たとき、「朝日」含め他紙は夕刊一面で大々的に報じたが、「読売」の一面だけは「地球温暖化」だった
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なるほど
なんとなく頷けます
プチ鹿島氏がラジオでこんな発言をしてました
阪神ファンは「報知」を読め、巨人ファンは「デイリー」を読め、互いに相手のコトを短く端的に表現している
と、なるほど敵の情報なので贔屓目なしに報じているということですね
ではまた