朝ドラや痛ましい事件の影響か、アニメについての本を読みました
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千万単位の人間がまるで儀式のように、何ゆえなのか?
これほどの大衆を動員する、これはもうAの大計画だった
間違いなく、Aはそれ以外テーマがない
彼の生涯のテー マのひとつが大衆動員
AとB、そしてCの3人は恫喝を得意技としていて
3人による恐怖政治が始まったのがここから
Aはさしずめ秘密警察の元締めのような存在
怖い
優れた頭脳がすべてを支配するという考えなので
何事も彼ら3人で決められていた
Aの名言
「テーマのない人間が、テーマのある人間に使われるのは当たり前だ」
世界を救うという大義名分が必要だった
まぁ、実際にやりたかったのはただの戦争
みんな自分のやりたい戦争を正当化するために世界を救う
というテーマにしがみついた
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なんとも物騒な独裁者たちの話の様ですが
これ、スタジオジブリの話であります
一部省略すると、戦争がしたい政治家の話に見えてしまいます
フェイクニュース?、切り取り報道?
迂闊に鵜呑みしない様に気をつけたいものです
ちなみに上の文章
Aさんは、鈴木敏夫氏
Bさん、Cさんは、高畑勲氏と宮崎駿氏
語っているのは、押井守氏であります
今回のお題は「 GHIBLI 」であります
◆「誰も語らなかったジブリを語ろう」 押井守著
東京ニュース通信社 2017.10.31
◇「天才の思考 高畑勲と宮崎駿」鈴木敏夫著
文春新書 2019.5.20
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スタジオの名前をめぐってはいろいろな案があったのですが
宮崎駿が決めました
「イタリアの軍用偵察機にジブリっていうのがある
スタジオジブリがいい」 と
みんなにアルファベットで書いて見せたんです
外国語に強い高畑さんが
「宮さん、これ、正確にはギブリって発音するんじゃないか」
と抗議したんですが、 宮崎さんは
「いや、 俺のイタリア人の友達がジブリだと言ってる」と言い張り、
世にも珍しい名前のスタジオが誕生するんです
後にギブリが正しいと判明し、世界の人たちは皆
「スタジオギブリ」と呼ぶのですが、後の祭りでした
ネット検索より)
ジブリの綴りは「GHIBLI」
サハラ砂漠に吹く熱風を意味するイタリア語
第2次世界大戦中に使用されたイタリアの軍用偵察機の名前
飛行機マニアの宮崎監督が命名
「日本のアニメーション界に熱風を起こそう」という思いを込めた
◇ ◇ ◇
みんなで集まった時、宮さんは
「こうして十年ぶりに原さんに再会して、一緒に作れるのも何かの縁だ」
と言いました そうしたら高畑さんが
「宮さん、関係ないことを言うべきじゃないよ
縁で作品が作れるわけじゃない、関係ないだろう」と遮った
この人たちは半端な人たちじゃないと思い知らされた瞬間です
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鈴木
ジブリ美術館で上映するアニメでいろいろ実験して
宮崎
美術館で流す作品はお金を儲けることを考えなくていいでしょう
だから気楽なんですよね(笑)
たとえば、効果音をどんどん抜いたらどうなるか
すると、足音もいらない、草をかき分ける音もいらないと
抜けば抜くほど観やすくなるんです
これは発見でした
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鈴木
そういえば映画の中で、どうやって空を飛ぶのかと聞かれたキキが
「血で飛ぶの」と答える場面がありますよね
それに絵描きの女性が
「魔女の血、 絵描きの血、パン職人の血、神様か誰かがくれた力なんだよ」
と返す
それについて高畑さんと宮さんが言い合っていたことがありましたね
高畑
「血」で説明するのはずるいと思ったんです
宮崎
ほかに説明しようがなかったんです
でも、ありとあらゆる職業が血で決まっているはずはないもんね(笑)
高畑
ハッハッハ そうですよ(笑)
宮崎
でも仕事という形で、社会とつながって精神的な安定を得る
ということは確かにあるんですよ
仕事という自分の役割を失うということが
人間にとってどれだけ辛いことなのか
高畑
今の話はよくわかる
キキが飛べなくなった理由に繋がる話ですね
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千万単位の人間が、まるで儀式のようにジブリ作品を劇場に
観に行ったのは何ゆえなのか?
僕はそこにも非常に興味がある
最終的に、これほどの大衆を動員する
これはもう鈴木敏夫の大計画だったわけだけどさ
鈴木さんの計画だったんですか?
間違いなくね
あいつにはそれ以外、 テーマがないから
彼の生涯のテー マのひとつが大衆動員
実質的にスタジオジブリを立ち上げたのも鈴木敏夫だから
鈴木さんと宮崎さん、そして高畑さんの3人は
恫喝を得意技としていて
3人による恐怖政治が始まったのがここから
鈴木さんはさしずめ秘密警察の元締めのような存在になる
それ、すっごく怖くないですか?
そう、怖い
優れた頭脳がすべてを支配するという考えなので
何事も彼ら3人で決められていたのがジブリだから
鈴木敏夫の名言が
「テーマのない人間が、テーマのある人間に使われるのは当たり前だ」
だしね
あの頃のアニメーショ ンには、世界を救うという大義名分が
必要だったんだ
まあ、 実際にやりたかったのはただの戦争なんですけどね(笑)
『ガンダム』も『ヤマト』も世界を救うという大義名分を
振りかざした戦争映画
みんな自分のやりたい戦争を正当化するために世界を救う
というテーマにしがみついたわけ
僕も戦争ものをやりたかったから、そういう心理はよく判ります
押井さんはよく、宮崎さんはロジックがないとおっしゃってます
宮崎さんは没論理的な人ですから
彼は本能的な人間で、鋭い勘が大きな武器
高畑さんは理詰めですべて考える
「こうあるべきだ」「なぜならば」が常にあるのが高畑さん
ふたりが企画会議をしている場面を何度か目撃したことがあるけど
ディスカッションじゃなくケンカだったから
宮さんはディテールから入る人で「こういうシーンを描きたいな」
等がどんどん頭のなかで膨らんで行く
全体を見渡せる人じゃないんですよ (押井 守)
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ということでした
お金をかけて、作り込んでいく魅力
つきつめて省略しシンプルに表現する魅力
ラジオドラマの魅力なども語られています
高畑氏、宮崎氏がそれぞれにお互いの作品で何が好きか?
を答えているところで本は終わります
ぜひ、読んでみて下さい
ではまた