橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #295≪そう見えたのか、日本≫

2014年12月23日 | EHAGAKI

お世話になります
イブですか  年の瀬であります

今回のお題は、クロード・レヴィ=ストロース
(Claude Lévi-Strauss, 1908年11月28日 - 2009年10月30日)
フランスの社会人類学者、民族学者であります

「月の裏側 日本文化への視角」という日本人について書かれた興味深い本を残しておられます

月の裏側 (日本文化への視角)
川田順造
中央公論新社

実はまだ読んでいないんですが、今回はその“日本好きのフランス人学者”の興奮気味の日本評です


■ ■ ■ ■ ■

文化放送(12/15〜19)「武田鉄矢・今朝の三枚下ろし」
以下 耳で聞いたメモの羅列です


■日本を文化人類学的に見ていた
日本のファンであった
お父さんが浮世絵の収集家であり、浮世絵の世界に行くのが夢であった
日本に対する興奮があった


■日本人は逆さ使いをする

西洋の包丁、かんな、ノコギリも押す時に切れる
日本は引く時に切れる
危ない 危ないところに技があると日本人は思う
本の中で興奮して伝えている
<実際には中国にも“引く”エリアがあるらしいですが>


■博士は興奮しすぎる面もあった様子


■東洋において日本は中国文明の光を受け、その文明の下で育った
文明としての灯りを中国あるいは韓国から受けたことは間違いない

ところが 中国、韓国の文明の影響をこれほど受けながら
なぜ、決して中国的ではないのか? なぜ韓国的ににならなかったのか?

それが不思議でならない

日本は明治維新以降、近代化を急ぎ今度は欧州の真似をする
ところがヨーロッパのどこの国にも似ていない

戦後はアメリカの影響を受ける、ほとんど属国のように影響を受ける
アメリカの一州になったかのように影響を受ける

ところが少しもアメリカに似ていない

世界でもっとも個性的な国である


■かつて日本は“真似をする”と諸外国から非難されていた
しかし、真似していても似ていない

これが日本の面白いところ


■明治維新の近代化のスローガンは王政復古、古代への回帰の為に欧州の文物を取り入れた
日本の独特の考え方

近代化する為に“王政復古” 新しくなる為に古さに戻ろうとした


■その後、アメリカによってすべて破壊されてしまう
戦後はひたすら憲法も含めて“アメリカ化”されたい、と願うようになった

ところがアメリカのどの州にも似ていない

中国にも欧州にもアメリカにもどこにも似ていない
それが日本なのである


■そのくせ、中国的なもの、欧州的なもの、アメリカ的なものはきちんと残っている

例えば福岡の“岡”という字 中国語ではこうなっている“冈”バッテン一個になってしまっている
日本では正確に残っているのだ!

アメリカだってそうである 佐世保バーガーの方が旨い!


■やがてアメリカがアメリカを忘れた時、アメリカを教えるのは世界でただ一つ、日本であろう
中国が中国を忘れた時、中国がこんな国であったと教えてくれるのは、おそらく日本であろう


■日本は人の真似をするが、いかなる文明の影響も拒絶するといいう部分をいくつか持っている

日本の版画は線描の大胆さは、中国の毛筆等を圧倒している
構図の大胆さにおいても中国の人物画、山水画を凌駕し、東海道、富士、美人画などの浮世絵が圧倒している

この浮世絵は西洋絵画をも圧倒した(ジャポニズム)

何に圧倒されたか?

色彩!

浮世絵 木版の版画であるから“色を混ぜない” 色を濁らさずに表現する
ブルーはブルーでくっきり、はっきりさせる
線描の大胆さと色彩が画面の中で全部独立している

ゴッコはその影響を受けている、グラデーションではなくくっきりと表現している


■この絵画の影響が日本料理にも出ている

日本の料理は絵画的である 料理は木版画の影響を受けている
“色を混ぜない” 寿司などはパッチワークのようにつくる

日本料理は色を混ぜない どう混ぜるかは、食べる人に任せる


■混ぜあわせないことが宗教にも及んでいる

日本ではいかなる小さな田舎でも、その宗教は一つです
浄土真宗○○派や曹洞宗○○派とか
これは日本だけである

日本は一つの宗派しか宿さない 混ぜ合わせを嫌う


■日本人は驚くべきことに遊びを大切にしている
ヨーロッパではある年齢に達すると遊びを捨ててしまう人が多いが、日本人は同じ道具で生涯を遊び続ける人がいる

“遊び”ということを生涯続けることへの驚き
俳句、お茶を飲む=茶の湯 など“遊芸” 遊ぶことを芸として高める


■鳥獣戯画はマンガの原点
マンガを描くのは貴族の遊びから出発している
鳥獣戯画がアニメの源流になったとすると、マンガは大人の遊びから流れ出た“遊び”である

遊び、と芸術を対立させずに“遊芸”という洗練された遊びにしているところが日本人の凄いところだ


■日本人は“完成”を目指さない。不完全、未完成を観る

京都のお寺さんに行くと、庭の石組みの橋が途中で途切れている
天国に通じる橋を表している
その橋が途切れてる、向こうに渡れないという教えですか?
いえいえ、全部作ってしまうとみっともない

日光東照宮 日暮の門(=陽明門) 左右対称に見えるが一箇所だけ違う
わざとそうしている
左右対称は決して美しくない
わざと一箇所を傷つけて、それを完成という不完全にして美を楽しむ
そういうことが暮らしに浸透している

※写真は日光東照宮の唐門(からもん)【国宝】です

古いライカで撮りました。ちなみに日暮の門(=陽明門)は改修工事中でした

■博士は、来日の度に知識人のみならず、日本人の様々な職人、労働者たちと出会い“働くという日本人の魂”に触れて驚く
陶芸家、鍛冶屋、木地師、漁師、板前、織物師に会って驚く

それぞれがそれぞれの“神”を持っている


■板前さんは包丁に神を持っている
赤坂に包丁塚がある
針に神がやどりあり針供養がある
漁師町には恵比寿さんという独特の神がある

それぞれには神との間に結ばれた関係であり、決して経済の為の商品とはみなさない

資本論ではすくえない、別個の日本人らしい“労働感”がある

日本人は働く向こう側に神様がいないと落ち着かない、という“労働感”がある


■日本の第一印象はどこの国とも違います
たとえば自然がその国の印象になることが多いが、日本は全く違う
日本は自然じゃなく人間が印象に残るんです

富士山は美しい自然だが、西洋がかったのは富士山ではなく富士山を信仰する日本人、それで世界遺産になった訳である
日本ほど人間性について豊かな国は世界には見当たらない


■日本人の中には古代や中世から続く歴史や縄文時代の野生のようなモノが個人の中に残っている
乗馬では今も日本人は右側から乗る
陶器のろくろ、世界では右足で蹴る、が日本では右足で手前に引く

そういう仕草や体使いが日本人の場合は千年単位の時の流れを感じさせる、何かからの影響である

洗面所に水をためて手を洗う人がほとんど居ない、という縄文からの流水による洗い方がある
そういうところに日本人独特の古代からの連続性を感じてしまう

■日本が驚異的に思われるのは、中国、朝鮮、ヨーロッパ、そして戦後はアメリカにより大きな影響を受けたが極めて、よく同化してそこから別のモノを作り出してしまう

なぜそんなことが出来るのか?
それは古代からの縄文的な文明を器として中国やアメリカをすくいとるのである

日本は文明をすくいとる文明を持っている
文明から文明をすくいとるという文明を持っている


■こういうことは日本人は意識していない
その一点を理解しない限り日本は理解出来ない


■日本は世界の隅で独特の言語である、中国語とも朝鮮語とも違う

ヨーロッパではいろんな言語があるが基本はラテン語なのでものすごく変わることはない
日本ほど隣国の言語とこんなに似ていない国は珍しい

しかも日本人は、異国の言葉を話すのが下手、中国という大国がありながら中国語を理解しない
6年間英語を学んでこれほど英語を話せないのほ日本人のみである


■もし中国人、韓国人、あるいはアメリカ人などが、過去の己の自分というものを求めたい、探したいと思ったならば日本を訪れるといい
かつて中国人がいかなる人たちであったかを勉強したいなら中国人は日本へ行くべきである
韓国もアメリカもそうした方がいい

なぜならそこには、日本人がきちんと覚えている中国、韓国、アメリカがあるからだ
過去についてこれほど豊かな国をもっといる国は日本の他ない


■そう見えたのか、日本! というところに日本の未来があるような気がします


■ ■ ■ ■ ■

ということでした

日本人では気づかない日本人像 興味深いです
2014年 いろいろありましたが日本人として自信を持って
2015年を生きていきたいと愚考する次第です

よいお年をお迎え下さい


                         ではまた

 

 


EHAGAKI #294 ≪棟梁に学ぶ≫

2014年12月03日 | EHAGAKI
お世話になります

「早いものでもう12月(師走)ですねぇ」 という声が聴かれる今日この頃です
時の流れが“早く感じる”のは年齢的なものなのか それとも 情報が氾濫している現代に頭がついていけなくなっているのか
 
さて 知人が本を上梓されました

大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメント (マイナビ新書)
 著者:白鳥 美子
マイナビ
今回のお題はこの本の目次+最後の宮大工と称された棟梁 西岡常一氏の言葉を組み合わせてみました
 
■ ■ ■ ■ ■

序 章 プロジェクトの基本とは
プロジェクトマネジメントに、大工の棟梁の知恵が生きる理由
プロジェクトを構成する三つの要素 
家づくりは、まさにプロジェクトだ!
 
第一章 強いチームづくりに役立つ、棟梁の経験則
どんなメンバーが来ても動じない
圧倒的な存在感を示せ!
適材適所。メンバーは十人十色
チームづくりに嵐はつきもの
コミュニケーションで大事なこと
去る者は追わず、来るものは拒まず
評価するのはやり方ではなくて結果
 
■木にはくせがありますのや。こんな柱でも、みなくせがあります。この木は右による、これは左によるというふうに。木のくせを見抜いて、右によるというのは寄らせないように、左に曲がるのはそうならないように、うまく抱き合わせて組みあげていかなあきませんのや。

■一本一本違った性質なんやから、同じ形にしたら無理が出ますわ。ですから、そうしないで、それぞれの特徴を見抜いて、一本ずつの個性を活かしてやってるんですな。そうして全体のバランスをうまく取ってやる。

■強い木は強く、弱い木は弱いなりにうまく木の質を見抜き、それぞれを使える所に使ってます。今のようになんでも規格に合わせて、同じようにしてしまうのは、決していいことではないですな。

■昔は、親方が見習いを親から預かりますと、どんなアホでも5年でだめなら10年かかっても、ちゃんとしてあげようとします。おまえはこの仕事にむかないからやめた方がいいなんてことは言いません。棟梁の方にも責任があります。なんぼバカでも、ちゃんとしたものに仕立てて帰らせてあげななりません。
 
第二章 全体を見通す、棟梁のプロジェクト管理
プロジェクトを正しく理解する
計画は「見える」化する
知っているか知らないかが明暗を分ける
全体を理解できているか
変更することを嫌がらない
リスクはあって当たり前
予算は絶対君主と思うべし 
 
■実際の作業が始まる前の仕事の段取りの方が、棟梁というのは大変なんです。始まってしまえば、それぞれが、自分の仕事を天職だと思っている人たちがやってくれるんですから、心配はないわけですな。

■構造物は社会です。斗や皿斗や柱は個人個人の人間ですな。それぞれが、うまく自分の力を発揮して、組み合わされて、崩れない形のよい建物ができるわけですな。もし柱の力が強すぎたら、柱の先端が屋根から上に突き出るというようなことになり、物になりまへんな。

■この回廊がゆるい坂になってるのがわかりますか?これはわざとこうしたんではないんでっせ。自然の地形にさからわず、建てたんですな。坂になってるんですが、柱や回廊見ても、それがわからんぐらい、バランスよく建てられてますな。

 
第三章 相手を信じる! 棟梁のリーダーシップ
一歩先を読む
仕事は毎回、一からのスタート
無口でも目で語ればいい
教えるよりも発見させよ
「NO」を言うことができるか
「自分でやったほうが早い!」のウソ
責任は、いつでも自分がとる
無茶ぶりも時には大事
向き不向きは他人が判断する 
 
■揃えてしまうということは、きれいかもしれませんが、無理を強いることですな。木には強いものも弱いものもあります。それをみな同じように考えている。昔の人は木の強いやつ、弱いやつをちゃんと考えて、それによって形を変え、使う場所を考えていたんです。
 
■教えたりすると甘えてしまって身に付かないから「何、甘えてんねん。自分で考えはなれ!」と突き放していた。
だが、相手が考えに行き詰まってしまった時にはさりげなくヒントを与えたり、「わしが一切の責任持つさかいにやってみなはれ。」と励ましたり、寺院建築を全く知らない大工にも「ぼちぼちやりはなれ。要領よく覚えたらすぐに忘れるからな。とにかく基本をしっかり覚えるこっちゃ。そしたら後はいくらでも覚えられる。」と激励したり、弟子が若干寸法を間違えていても気にかけずに「ええやろ。」と済ませるなど、硬軟を上手に使い分けた。
 
第四章 リスクを恐れない! 棟梁のマネジメント
プロジェクトの成功に責任を持つ
雨の日が続いてもあせらない
誰が見てもわかる「引き継ぎ」ノート
品質第一、納期も第一
小さなミスに気づく目を持つ
敵は絶対につくらない
休憩時間は次の仕事への準備時間
同じことをいつでも何度でも繰り返せるのがホンモノ
質問力を磨け!
決断は迷わない

■おまえそれ、呼吸とめてるか? とめとかなあかんのやど 途中で息したらそこで切れるんや、かんなくずが。

■わたしがカンナくず見て、刃物が0.01ミリぐらいカーブしとると言いました。それで研ぎ直しなさい言いましたが、あれを研ぎなおすのはたいへんや。なぜかちゅうたら、0.01ミリやけど、その欠点に自分が気づいとらんのだから、それ直すのはたいへんですな。
 
第五章 チームの力を引き出す、棟梁の人心掌握術
リーダーの存在感が現場を守る
チームは解散しても、仕事は残る
任せること、任せないこと
時には無礼講!
失敗から学ぶ
「いまどこにいるか」を明確に
決断と責任は二つで一つ
朝令暮改を恐れない
サービス精神を忘れない
ゴールはみんなで祝おう
 
■自分からしてみせな。それがいちばんですな。なんぼじょうずに文句言うてもあきませんわ。やっぱりまず私自身鉢巻きをしめて、汗を流して、その人の前でこういうふうにやってくれと、実際してみせんとな。

■なかなか上手いやんか。 うん。

■腕のいい棟梁というのは、人を育てるのも上手でしたな。とにかく、やかましく言わず、行儀作法は厳しいけれど、仕事については”溝”を掘り、いやでもそこにいくようにしますな。気を散らしている間がないようになってるんです。うまいことやらされるんです。

■独立する時は道具を一式揃えてもらえます。親方のよりいいものを持ちますな。道具はいいものを与えないと性根が入りません。「わしは親方より上等ののみを持っている。親方があの仕事するのに、俺ができないわけはない」と思うでしょ。だから親方よりいいものを持たせる。これが無言の教育です。
 
第六章 棟梁の仕事が教えてくれること
迷ったら、基本に戻る
シンプルなものこそ強く美しい
最初にスペースを確保する
傷む場所は決まっている
プラスアルファの余裕
アフターサービスのココロ
たすきをつなぐ
 
■薬師寺の金堂を復元するのに、大論争しました。本尊さまを守るのに、防火シャッターをつけることや、中心の所だけコンクリートでつくらな許可せんというわけです。ヒノキは千年以上の寿命があるというのに、三百年ももてばせいぜいというコンクリートを使うのは、納得がいかん言うてね。

■今の大工は耐用年数のことなんか考えておりませんで。今さえよければいいんや。とにかく検査さえ通れば、あすはコケてもええと思っている。わたしら千年先を考えてます。資本主義というやつが悪いんですな。それと使う側も悪い。目先のことしか考えない。

■電気の道具は消耗品や、わたしらの道具は肉体の一部ですわ。道具を物としては扱いませんわ。それと道具も自分だけの物やと考えるのは間違いです。形ひとつにしても今決まったんやない。長い長い間かかって、使うにはこの形がいいと決まったんですから。
 
■刃がどんなに研げても台が悪ければあかんよ。さっきの人は、カンナかける前に台を削とったでしょ。そこからやらなあきませんわ。自分でおぼえていかなしようがないわな。ただ、そういうことにも気づかずに、そのまま終わってしまう人が多いな。

■ ■ ■ ■ ■
 
ということで「大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメント」の本文とは違う“棟梁つながり”の言葉を選んでみました
ちなみに「大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメント」の紹介文を引用しておきます

「現場がもめ出したら、しめた!ってもんよ」(棟梁)
海千山千の職人たちを従え、納期どおりに家を完成させる職人芸、それが大工の「棟梁」のプロジェクトマネジメントです。現在、チームづくりに悩んでいるリーダーのみなさんの悩みは、とうの昔に大工の棟梁が解決しているのです。

棟梁の仕切り、チームづくり、仕事の進め方、納期管理、リーダーシップ、人心掌握術……。一流の職人が持つ自らの経験に裏打ちされたすばらしい哲学から、たくさんのことが学べます。本書で、大工の棟梁の知恵を学び、ビジネスの現場で役立てましょう。 (
引用以上)

ということでした
美しくシンプルに 心掛けたいものです

ではまた


カメラサミット「神楽坂」グループ展

2014年12月02日 | 歩撮

■カメラサミット「神楽坂」グループ展

 

■カメラサミット「神楽坂」グループ展

■会期
2014年12月4日(木)から2014年12月9日(火)
13:00-20:00
(初日15:00から、最終日19:00まで)

■カメラをこよなく愛するハイアマチュアの面々が、歴史ある「神楽坂」を
自由に撮り下ろした、初のグループ写真展

■会場
Gallery NIW

〒112-0014 東京都文京区関口1-44-8
東京メトロ有楽町線 江戸川橋駅 1b出口より徒歩3分
(中央・総武線からの乗り換えは市ヶ谷駅を推奨)
東京メトロ東西線 神楽坂駅 2出口(矢来口)より徒歩11分
都電荒川線 早稲田駅より徒歩12分

■入場無料

グループ写真展に参加させて頂きます
テーマは「神楽坂」 よろしければ!