橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #317 ≪立つ瀬がない多様性≫

2016年01月25日 | EHAGAKI

お世話になります

セルロースナノファイバー(CNF)

御存じでしょうか
鋼鉄の5倍強く、5分の1の重さで熱にも強いうえ、炭素繊維(カーボンファイバー)の6分の1程度のコスト、プラスチックよりもさらに軽くて、透明材料にもなる

そんな夢のような素材の原料が「樹木」
どんな樹木や植物からもセルロースナノファイバーの原材料であるセルロースを得ることがでる
この新材料が社会で本格的に活用される時代を迎えれば、日本は再生可能な素材の資源大国になる
(京都大学生存圏研究所の矢野浩之教授が長年の研究開発の末に開発)

という明るい話題を知りました

柔らかい木、硬い鉄 そんな単純なモノではないんですね
そしてその素材は“生物”である、ということ

今回のお題は

生物多様性 - 「私」から考える進化・遺伝・生態系 (中公新書)
本川 達雄
中央公論新社

「生物多様性」
私から考える進化・遺伝・生態系
本川達雄 著 中公新書

多岐にわたるこの本、まずは「序章」から
いつものようにメモの羅列ですが、お時間のある時にでも眺めて頂ければ幸いです

■ ■ ■ ■ ■

■ たくさんの環境とさらにたくさんの生物

地球上にはイヌとかネコとかヒトとか異なる種約190万種存在する
植物より動物が圧倒的に多く、高等植物1種あたり10~30種の動物がいる計算になる
その動物の4分の3は昆虫が占める 190万種は学問的に記載されたものだけの数で未発見のものが10倍以上は存在すると見積もられている

地球上の生物なんだから数ぐらい解るだろ?

動物として思い浮かぶ哺乳類や鳥類はほぼ100%わかっている
陸上植物も80%はわかっている
ところが昆虫や細菌となるとわかっているのは全体の10%程度
土の中でうごめいている線虫にいたってはほんの数%しかわかっていないだろうと見積もられている

■ 衣食住

●衣
木綿は綿、絹は蚕、ウールは羊、皮のコートは馬や牛など、人類は長い歴史の中で、ずっと動物の皮や植物繊維でつくったものを身にまとっている
二十世紀には、石炭や石油でつくるナイロンなどの化学繊維が出てきたが、石炭も石油も、元をたどれば生物由来

●食
我々が食べるものは、すべて生物
多様な種の中から、稲や麦のような育てやすく、たくさん実をつける植物を選び出し、主食とした
種が多様だから目的にかなうものを選ぶことができる

生物は種内に多様な変異をもっているからこそ、その中から栽培にに都合の良い新種を選び、改良することが可能であった
主食以外にも、種が多様だから、空腹を満たすだけでなく、食卓を多彩にし、楽しむことが出来る

● 住
我々なじみの木造住宅は、ずばり木材、植物である
コンクリートの材料の石灰岩は石灰の殻ををもつ生物たち、有孔虫(単細胞生物)、サンゴ、貝、ウニやウミユリ、石灰藻などの殻が堆積してできたもの
鉄筋の元になった鉄鉱石もシアノバクテリア(ラン藻)がつくったと言る
太古の海には鉄が大量に溶けていた  シアノバクテリアが光合成によって酸素を発生させ、酸素と鉄が反応し酸化鉄となって沈殿し、縞状鉄鋼石を生成し、それを掘り出して使っている、鉄も生物由来と言っても間違いではない

■ 著者の体験

宇宙関係の学会でこんな意見が聞かれた

「生物学は地球という限られた場所に住んでいるものだけを取り扱っている、普遍性がない。宇宙に生物がいることえを証明してはじめて生物学も普遍的なもの、つまり真の科学になれるのだ。」

余計なお世話だ

地球と言う特殊なものなどどうでもよい、と言われた気がしました
地球は宇宙の中のちっぽけな星であり、各生物は、その中のごく狭い範囲に住んでいるさらに特殊なものだからと、地球も生物も貶める主張に聞こえました
特殊とは、かけがえのない特殊なのです

極端な普遍主義をふりまわすこのような科学観は、自分自身が現実に拠って立つ、かけがえのない場であるご当地や、自分自身をも大切にしない自然観・世界観を助長しがちです これではまずいな、と思いますね

■ 歴史性・ご当地主義 Vs 科学という普遍主義

地球には歴史があり、生物にも歴史があり、人間にも歴史がある 歴史は同じことが繰り返されない、一回きりの出来事の連続

巨大隕石落下により大絶滅が起こったあと、絶滅した種が復活した訳ではない
だから将来また巨大隕石が来ても、以前とまったく同じことは起こりえない
一回きりとは、かけがえのないことを意味する

生物はまた「ご当地主義」できわめて狭い地域に分布している
その生物にとってのご当地は、かけがえのないもの
地球上のほとんどの場所が、そこに住む生物ににとってのご当地
このように生物とは、一回きり・その地域限定であり、二重にかけがえのない大切なものである

ところが科学においては、いつでもどこでも繰り返し起こる普遍的なことを取り扱う
法則性が発見できるというのはそういうこと

ある特定の場所でしか起こらないことは、普遍的ではない特殊なことであり、科学的に無価値なものとして取り扱われている

生物は繰り返しのきかない歴史の中に住んでおり、その土地だけに住み、、他のものとは違った存在である
だからかけがえが無く、きわめて大切なものだ、という主張は科学の世界ではなかなか受け入れられない
ここでいう科学は、物理学を典型とする科学のことで、これがほとんどの科学者の持つ「科学というもののイメージ」ではないか

各生物に歴史があり、特定の場所にしか住まないからこそ生物多様性がでてくる
しかし、ういう生物多様性とは、科学とは極めて相性の悪いものとなっている

■ 普遍 Vs 個物

現代人は、個々の自然や生物を大切にしない極端な普遍的科学主義と、私個人だけを大切にする極端な個人主義の二つを信奉して生きているように思う
自分のことを含んで考える時は、自分のことしか考えないごりごりの個人主義・利己主義。
そして自分の外側を考える時は、分子やグローバルスタンダードしか考えない超普遍主義。
その二つの見方しかなく、その中間のことは無視しがちなのが現代人の特徴である

そこが問題なのだと強く感じる

多様性とは普遍性と正反対の概念
唯我独尊的に考える現代人にとって、自分の外の有象無象のものとちに、そもそも興味を持ちにくくし、普遍主義からはそれらを大切にしようという発想も出てきにくいもの

個人と普遍との中間のものたちは、なかなか立つ瀬がない、これが現代である

■ ■ ■ ■ ■

ということでした

「生物」 → 「人間」
「科学」「普遍」 → 「グローバル」
と置き換えると、現代のかかえる問題点を語っているように思えてなりません

ではまた


EHAGAKI #316 ≪秘伝書≫

2016年01月18日 | EHAGAKI

 

お世話になります

・やめられないとまらない

・24時間 戦えますか


劇的な結果を、たった一行の言葉でもたらす
痛快で元気の出るお話です

今回のお題は「1行バカ売れ」であります

「1行バカ売れ」
川上徹也:著 角川新書

と言っても本を読んだわけではありません
朝のラジオ、文化放送の「武田鉄矢 朝の三枚おろし」で聞いた内容のメモを基にネットで調べで補足しました


■ ■ ■ ■ ■


たった一行のキャッチコピーがよかったから大当たりした
消費者の欲望のスイッチをどう刺激しるか!と語るよりも「気の利いた一言」で消費者は乗る
「通勤快足」とか

ラーメン屋は早くないといけない、好みはながながと理屈をつけてはいけない

○人は惚れるとき「短く」別れる時には「長い」理屈を付ける(武田鉄矢)


●●木村秋則さん

無肥料・無農薬リンゴであるが、その呼び名では売れなかったのでは?
そそるコピー

・奇跡のリンゴ


●●1991.9.28台風が青森を襲い、リンゴの90%が被害にあい被害額741億円

絶望を前にして、風速50mでもそのリンゴは落ちなかったので「落ちないリンゴ」として合格のお札を添え、受験シーズンを待って販売した

なんと1コ 1,000円で売出し完売した 
その販売額は、全部実った時とあまり変わらなかった、とか

たった1行の言葉が、傷物のリンゴを1コ 1,000円に変えた
言葉に力があり、買った人は、そのいわれを知っているから


・落ちないリンゴ


●●博多のシェフが渡米、ニューヨークで商売を

店舗もないので、まず豚足を売ることにした ニューヨークで豚足は捨てるもの、というのでもらったりして仕入
シェフが博多屋台風味付けで売り出すとバカ受け、店を構えることが出来た

よし次は、辛子明太子

辛子明太では解りにくいと「タラのタマゴ(Cod eggs)」として売出すも大ハズレ

「生ゴミをメニューで出している」と苦情も殺到! アメリカではタラのタマゴは捨てるらしい

しかし あきらめずにネーミングを変えた 白ワイン、シャンパンに合うと大評判に
その名は

・博多スパイシーキャビア  Hakata Spicy caviar


○謎に感じ、訳を聞き、知ることでその商品の魅力に惹かれる


●●養殖マグロと言っても価値があるとは思われない 天然>養殖

近畿大学の養殖マグロ

・近大マグロ

本マグロの完全養殖は不可能と言われていた
8つの大学が研究し失敗し脱落した中で、32年の歳月をかけて2006年に完成した
このストーリーが組み合わさり「近大マグロ」のブランド力を上げた


○消費者にいかにスルーされないか
○何を 如何に


●●バレンタインデー

3世紀、ローマで良い兵士を徴収する為、男女交際を厳しく規制
キリストの司教バレンタインさん、が2/14を男女が交際する日として大いに奨励した
怒った皇帝は、バレンタインさんを処刑
慕う人たちは、その日を「恋人たちの日」と呼んでいた
これだけのこと、だった

東京都大田区のメリーチョコレートという菓子メーカーがその日をチョコレートを贈る日として売り出した
結果は大ハズレ、その日売れたのは50円の板チョコ3枚

くじけずに翌年

チョコレートをハート型にして贈る相手の名前を入れるようにした
キャッチコピーはふくらまして、というより新たな習慣をつくった

・年に一度、女性から男性に愛の告白をしていい日


○弱点を利用


●●ブラックサンダーは、有楽製菓の準チョコレート菓子

バレンタインが盛り上がっても売れなかったが、このコピーで大ヒット!

・一目でわかる義理チョコ


●●にきにきにきにき二木の菓子

東京上野のアメ横の「二木の菓子」

この店の特徴は、よそでは売れない商品でも、強い言葉を使ったPOPで新しい価値をうみだし、売りさばくこと

ある取引先から「あんドーナツ」の売り込みがあった 40年以上変わらない製法で作り続けられている懐かしい味わいが売り

甘く手作り感があり素朴の味わい だからといって「40年間変わらぬこだわりの製法」「懐かしい味わいのドーナツ」などの言葉で売れるのか?

60代の男性店員が「昔は甘いものって特別な時しか食べられなかったんだよ」としみじみ語る
それをヒントに書かれたPOP

・今となっては素朴だけど、昔はこれが贅沢だったんだ!

このPOPをつけると、1店舗を除き二木の菓子全店であんドーナツは飛ぶように売れた この1行により平凡なお菓子の中に眠っていた新たな価値を発掘され、60~70代のお客さんの心を突き刺した

1店舗だけ売れなかったのはなぜ?

その店だけが違うPOP「昔懐かしい味、今も昔も変わらぬ贅沢を」としていた

内容はほとんど同じでも、よくPOPに書かれている常套句的な表現、それでは高齢のお客さんの心を刺し共感を呼ぶことはできなかった その後、前述したPOPに変えると、その店でもあんドーナツは飛ぶように売れた


○売り手の正直さ、約束を守る、骨がなければ伝わらない
○営業はメリットばかり並べても信頼されない、キッチリとデメリットも言えて信頼を得る


●●ある国道沿いの回転寿司

桜鯛のかぶと揚げ、お勧め文句で人気メニューに

・言っておきますが、骨だらけです


●●オネストカード

お客様に内部事情を説明して、信頼関係を構築する

・ただいま販売のグレープフルーツは、南アフリカ産で酸味強し、フロリダ産の方が美味しいのですが、12月入荷予定です

・長雨でレタスは品質が悪く、値段も高くなっています、しばらく他の商品で我慢できないでしょうか


●●東京神田の西洋居酒屋、バル 

一見高級そうに見え、新規のお客様が入りずらい印象がある
そこで看板の横に

・入りずらいですか、大丈夫、たいした店ではありません


●●2007年岩手県盛岡市 さわや書店

思考の整理学 外山滋比古 著
店長が書いたPOPから火が付き50万部売れた

・もっと若い時に読んいれば、そう思わずにはいられませんでした


○今だけ、ここだけ、あなただけ


●●300万本のヒット醤油

・卵かけご飯用醤油「おたまはん」


●●鳥取県知事

・鳥取は、スタバはないけど日本一の“スナバ(砂場)”はある

その後、スナバコーヒーが開店し話題に そして本家、スタバが開店

それを受けてのスナバコーヒーのキャンペーン

・大ピンチキャンペーン
・スタバのレシート持参でスナバコーヒー半額!


●●博多のアイドル、橋本環奈さんにファンがつけたコピー
・千年に一人の逸材
・千年に一人の天使

百年と言うとイヤミになるところ


●●永谷園のインスタントみそ汁

・一杯でシジミ70個分のちから


●●日本旅行のカリスマ添乗員 平田進也さん

・大人の修学旅行

・四時間の家出、仇討ツアー

奥様向け、新地のクラブやニューハーフショーを2時間まわり18,000円
(8時までに終えるので店側も大歓迎)

○うまいです
「今だけ、ここだけ、あなただけ」


●●AKB48

・会いに行けるアイドル


●●パナソニック

・きれいなお姉さんはすきですか


●●3位だったビールシェアを上げ、アサヒビールを一位に押し上げた

・コクがあるのに、キレがある


●●1983年。トヨタはクラウンの新型を発表。新機能を満載にした

最高の売り上げを達成したコピー

・いつかはクラウン

 
●●東京の質屋さん、NANBOYAのコピー

・元カレはサンタクロース


●●やりすぎが大逆転

品質もいいし、鼻をかんでも赤くならないのに売れないモイスチャーティシュ
代理店が新しい商品名を提案

え?なに?いくらなんでもちょっと?やりすぎ?という印象も部長がOKを出し、役員に直訴し採用された

・鼻セレブ

さらに「超鼻セレブ」も

1行バカ売れ (角川新書)
川上 徹也
KADOKAWA/角川書店

「1行バカ売れ」
川上徹也:著 角川新書

内容紹介
大ヒットや大行列は、たった1行の言葉から生まれる!
「結果につながる」言葉の書き方をコピーライターの著者が伝授!

●売れる言葉の法則「5W10H」を徹底解説

・相手に自分ごとと思ってもらうために何を言うか(What to say)
ニュースを知らせる/得することを提示する/欲望を刺激する/恐怖と不安でやさしく脅す/信用を売りにつなげる
・相手に立ち止まってもらうためにどう言うか(How to say)
ターゲットを限定する/問いかける/圧縮して言い切る/対比&本歌取り/誇張をエンタメ化/重要な情報を隠す/数字やランキングを使う/比喩でひきつける/常識の逆を言う/本気でお願いする

●国内外の1行バカ売れ事例が満載!
本書で紹介されている事例の一部

・日本の元祖バカ売れ1行のキャッチコピー
・20年前の本をベストセラーにしたPOPの1行
・無名だった地方アイドルが1枚の写真とワンフレーズでCMオファー殺到
・名前を変えただけでアメリカ人に大人気メニューに
・数億円の価値を生み出したとされる菓子メーカーのツイート
・パンのように売れる本の正体とは?
・鉄道死亡事故を劇的に減らした動画のタイトル
・原宿・表参道のパンケーキ専門店キャッチコピー戦争
・ツイッターで大反響の〇乳ブラの1行
・知事のとっさのひと言がその県に莫大な経済効果をもたらした


■ ■ ■ ■ ■


ということでした

「秘伝書」という落語を思い出しました

横柄な態度の露天商、言葉巧みに客を集めて
「この本一冊あれば一生楽に暮らせる」という「秘伝書」を売り込み

「一ツキ百円で食える方法」
「ただで飛行機に乗れる方法」

「わずかな資本でガッポリ儲ける方法」
等々が書いてある

露天商は「欲しいもんは、タダでやるさかい手ぇ挙げ!」と言って手を挙げさせる

「要る? あんたも要る? 辛いなぁ~、十冊しかないねん、十人しか渡されへん」
「これを売って金儲けにしょうとは思うてないしなぁ」
「よっしゃ、この箱の中に、五百円入れていったもんから、早いもん勝ちや。順番にタダで持って帰れ!」

その本を読むと

「一ツキ百円で食える方法」とは、一ツキ百円とはところてんの一ツキ

「ただで飛行機に乗れる方法」とは、パイロットになれ

そして

最後「わずかな資本でガッポリ儲ける方法」とは


「この本とおんなじ本作って売れ」


お後がよろしいようで


ではまた


EHAGAKI #314 ≪2016≫ 

2016年01月03日 | EHAGAKI
新年あけましておめでとうございます
昨年末からパソコンのマウスを左手で操作するようにしています
右手をあける為です
あいた右手で鉛筆を持ち何か書く、メモをとるようにしています
 
スケジュール管理は、手帳に記入、同時にWEBにアップという方法をとっているのですが
昨年はWEB上のカレンダー、これは社員での情報共有という会社としてのルールでもあるので細かく書き込んでいました
一方、個人用の手書きの手帳に記入しないことが多々ありました
 
今やどこに居ても手元でWEB上のカレンダーを見ることが出来るので、なんら問題ないのですが
 
組織としては進化してるかも知れませんが、個人としては退化してしまったと感じるのです
 
たまに何かの書類に記入すると簡単な漢字が思い出せない
電話番号は覚えようともしない
 
これは私だけでなく皆さんも思い当たるコトがあろうかと
 
仕事であれ、なんであれ「書く」という作業をしなくなりました
 
そんな現状を少しでも変えよう、戻そうと、今年は「書く」ことを意識しようと思っております
鉛筆は2Bが好みなんですが、7B、4Bの鉛筆も買いました
 
今年は手を使って考えたい、と愚考する次第です
 
本年もよろしくお願いします