お世話になります
NHKの朝ドラ「マッサン」が話題です
ウイスキー好きとしては 朝又は夜にチェックしております
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我々は、自らのやり方で物事を行うことを好む。
アイデアでも哲学でも、我々は“何ものにも依存していない”。
我々は独自の道を行く。
我々は独自のことをする。
我々は情熱的で、精神も独立しているのだ!
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これはマッサンではなく、またウイスキーの製造者でもなく大手に属さない独立系ボトラー(瓶詰業者)であるロビン・トゥチェク氏の言葉であります
集中・寡占が進行中の現在、消費者にとっての多様性が無くなりつつあることが不安でなりません
これにどう立ち向かうか?
ロビン・トゥチェク氏は明確なビジョンを持っておられます
今回は“ネタ資源保護”の観点から2013.11.21のEHAGAKI #278 ≪最も尊きもの≫
を再利用(チャプターを逆に再アレンジ)いたします
マッサン効果で旬のネタと思いますのでご容赦を
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■将来
多様性こそ重要だ。多様性こそがモルトウイスキーを力強く育むものだ。我々は皆、お互いを必要としている。
実際、大手も中小も同じなのだ。単なるブランド以上のカを得られる。多様性を通じてこそ、スコッチ・ウイスキーの真髄とも言える精神が発揮
される。他の蒸留酒では到達できない域までに、その味わいとともに到達できる。
独立系ボトラーは、今後ますます困難な時代を迎えるだろう、少なくとも面白く、かつ個性豊かなカスクをどう確保していくかという問題がある。
しかしポジティブな見方をすれば、事業を他よりも確立できる企業こそが、新たな革新的なアイデアを出し続け、成長し続けるものと確信している。
ブラックアダーはそうした会社のうちの1社として、益々パワーアップし成長し続けるものと確信している。
ブラックアダーは、独立系ボトラー(瓶詰業者)だ。大手の多国籍ブランドが支配している今のウイスキー業界はどういう存在か。
スコットランドでのウイスキー生産は少数の大手企業の手中にある。こうした多国籍企業による蒸留所の所有によって「小さく、歴史があり、面白
みのある蒸留所の多くが閉鎖された。
例えば
ポート・エレン Port Ellen、ローズパンク Rosebank、リンリスゴウ Linlith1gow、ブレチン Brechin、グレン・ヴォー Glen Mhor、ミルバーン Millburn、まだまだある
独立系企業とは、大きな事業法人の管理下にない。
我々は、自らのやり方で物事を行うことを好む。
アイデアでも哲学でも、我々は“何ものにも依存していない”。
我々は独自の道を行く。
我々は独自のことをする。
我々は自らの信念において情熱的で、精神も独立しているのだ!
自分がブラックアダー・インターナショナルを創業したのは1995年だが、それより以前から、独創的で革新的なアイデアを持てるのは独立系企業だと思う。
実際に、新たな蒸留所を創業したり 、一旦閉鎖された蒸留所を再開したりするのが、独立系企業であることはよくあることだ。
モルトウイスキーの多くは、いわゆる蒸留所の“オフィシヤル”ボトルとして入手可能であり、よく売れているものは今や世界的に広く認知されて
いる。
これはスコッ チ・ウイスキーにとっては良いことであるが、独立系ボトラーにとっては、蒸留所からのシングル・カスクの入手を困難にする。大手事業者は、多くの蒸留所のウイスキーを、過度なまでにブランド化し、商品化、自らの“オフィシャルボトル”として供給している。そして“それ以外に供給しない”方針であることが残念である。
■カスク、最も尊きもの
「カスク 、最も尊きもの」とは?
スコットランドやアイルランドの蒸留酒は、オーク樽に3年以上熟成し、はじめて法的にウイスキーとなる。
使われる樽は多岐にわたる。アメリカンオークあるいはヨーロピアンオークが主に用いられる。どれもウイスキーに異なった特色を授ける。また樽に以前にどんな蒸留酒やワインが貯蔵されていたかも大きく作用する。
シエリーカスクやバーボンカスクが従来より主流であるが、近年は様々なカスクを用いてフィニッシュをかけたものが多くある。
どんな酒が貯蔵されていたかよりも、樽自体の素晴らしさを判っている人は少ない。
個々の樽によってスピリッツに授けられるフレイバーは多様・多岐にわたる。木目や気孔など個々のオーク材の材質は、それぞれ固有なものであり、様々
な人間が存在するのと同じである。更には、同じ一本の木であっても部分が異なれば、スピリッツに備わるフレイバーも異なる。
樽の複雑さをよく表している例としては、個々の樽で熟成されるウイスキーのフレイバーの60%から 70%はその樽からもたらされると推計されている。
良質な大麦、潤沢で滑らかな水の供給、適正なイースト、そして経験豊富な蒸留担当者の存在が、ウイスキーを作る上で大切であることは言うまでもない。
最終的にウイスキーを生み出すという意味合いで、熟成は最も重要である。
■濾過
ボトリングされるウイスキーは、程度の差こそあれそのほとんどには漉過が行われている。
当社を創業した際には、濾過を可能な限り最小限にとどめることとした。当時は、一般的な冷却濾過をしていなかったのはスプリングパンクなどごく僅かであった。
冷却濾過は、可能な限り透明な蒸留酒を確保するという商業上の目的から大規模に行われる。室温よりもボトル内のウイスキーの温度が低くなると、生
じることがある脂肪分をウイスキーに残さない為である。そんなウイスキーなら、少しばかり加水したって、全くにごりもしない。
冷却濾過は、水の凝固点( O℃)近くにまで冷却すると、ウイスキーから油脂分が分離しやすくなり、濾過はより完璧に出来る。
そういった製品が大手小売事業者や空港の“免税店”などでメジャーなブランドには必要なことだとされている。
一方、無冷却濾過とされるウイスキーでも過度に濾過が施されていると言わざるを得ない。シングル・カスクを冷却濾過してボトリングすれば、体積は
少なくとも5%は減る。典型的な無冷却濾過ならウイスキーの体積が 3%ぐらいは減少するのに対して、当社では1%未満であることが多い。
また濾過するということは、ウイスキーから泊分や脂肪分を減じることであり、フレイバーと同類のもの、更にはウイスキーの味わいも減じることになる。
ブラックアダーは、無冷却濾過など、無漉過ウイスキーを開発しようという、独立系ボトラー(independent bottlers)である。
西暦2000年は新たな千年紀の始まり、ブラックアダーでは、ロウ・カスクシリーズの導入によって祝うこととなった。このシリーズによって、樽からそのまま、あるがままにウイスキーをボトリングするということに更に近づけた。
ボトリングの仕方そのものは、とてもシンプルだ。樽を空にし大きな炭化物はボトリングする前に取り除く。
全てのボトルに、油分や脂肪分。沈殿した炭化物を均一に行き渡らせるために、ウイスキーをかきまわす。ウイスキーの本来の味わいを確保するには、油分や脂肪分こそが重要なのだ。
昨今、業界大手の多国籍企業もスベシャル・エデイションとして無冷却濾過のウイスキー導入しつつあることは興味深い。
■色
ボトルの中のウイスキーが、外から確認できるとは限らない。瓶に色があることもあるので、最初の一杯を注ぐまで中に何があるのか判らない。
エイジ10年のウイスキーとりわけアルコール度数が40度のものであれば、もしファースト・フィルのシエリーカスクでなければ、否やバーボン・カスク
であったとしても、さほど色は濃くないはずだ。
ウイスキーに着色をほどこすためにスピリッツ・カラメルを用いれば、変わるのは外観だけではない。ウイスキーの味にも、影響を受けてしまう 。
ウイスキーは熟成させる間、何が行えるのか、何が行えないのかは非常に厳格な規定がある。しかし、瓶詰め段階でカラメルを用いて着色することについては、規制も規定も無い。
ウイスキーに着色していることをラベルに明確に表示しないことは、不誠実であると感じている。
このことが、私がウイスキーには決して着色してこなかったことの理由であり、更にはブラックアダーが今後も決してそうした慣例にふけることはないとする
理由である。
■哲学
ブラックアダ一社の事業は、スベイサイドやアイラのバーでは樽から直接注ぎ売られていた当初の原点に立ち返ってボトリングするという哲学に基づいている。
そのまま、あるがまま、清らかなスピリッツ。
1800年代当時のスコットランドの騒々しい産業都市では、混ぜ物をしていないウイスキーなど珍しかっただろう。
アバディーン、ダンディ、エジンパラやグラスゴーのような都市のバーでは、ウイスキーに混ぜ物をするなんてことは、よくあることだった。
しかしウイスキーは、まさしく“命の水”としてあった。気力を高めるとともに、雪に見舞われることが多く、冷たく、じめじめしたスコットランドの冬か
ら逃れるための一杯であった。
あるがままにウイスキーをボトリングしたかった。
自分のウイスキーには誠実でありたい。カラメルを加えることによって着色したり、香味を加えたり、それ以前に過度に濾過を行うことによって、樽ごとの
ウイスキーがそれぞれ密かにしまいこんでいる風味を取り除いてしまうなど、“それはそれは尊いスピリッツ”に手を加えてしまうことなどしたくはなかっ
たのだ。
だからこそ、3つの基本的な方針を定め、ブラックアダ一社はウイスキーをボトリングしてきた。
1つ、決して着色しないこと。
2つ、冷却滅過ないしは他の方法など過度な漣過は絶対に行わないこと。
3つ、カスク 、最も尊きもの。
今でも決して忘れられないのは、グレン・グラント蒸留所に立ち寄った時のことだ。
晴れ渡った美しい5月のことだった。当時のマネジャーに蒸留所を案内してもらってから、ともに散歩し、蒸留所に隣接する果樹園を通りかかった。
ちょうど裏側に樹林地があり、そこから小川が湧き出し、丘の斜面を流れるようになっている。
永い間の流れが刻みこまれた跡が残る岩に扉があり、マネジャーは鍵を開けてラベルも何もついていない1本のウイスキーとグラスを2つ、酒杯(whisky Quaich)を 1つ取り出した。
彼はボトルを開けてウイスキーを2杯用意した。そして、流れる水を酒杯ですくって、ほんの一滴をそれぞれのグラスの中の琉泊色のスピリッツに加え
た。
私たちは、互いの健康を祈って乾杯した。ウイスキーが口の中で炸裂した。まるで自分の味覚の全てが競い合って口の中のスピリッツの複雑さを判読し
ようとしているようだった。舌の上で天使が踊り始めた、そしてそのウイスキーは、まさに聖歌を歌いながら過ぎ去った。
水を少しは加えていたものの力強さからそのウイスキーはカスク・ストレングスだと判った。それまで、その類のものを味わった経験など全くなかった。まさに爆弾!天啓であった。
「 カスク・ストレングスのグレン・グラントだよ。エイジは10年から12年のもの、ここの蒸留所の熟成庫の樽のうちの1本から直接、引き出したものだよ。」
時間は止まり、1年もの間そこに2人で立っていたかのようだった。一言も発することが出来ず、自分のグラスにある“神々の飲む生命の水”の不思議なカともいうべきものがそこにはあった。
暖かで、晴れ渡った、美しい5月の朝の出来事 ~ 今となっては20年も前のこと。
こうしてブラックアダー・ウイスキーの哲学は出来上がった、このときのことは決して忘れられない。
当社は素晴らしいウイスキーのストックがあり、外部から良き協カを得られる状況にある。
選りすぐった素晴らしいカスクのモルト・ウイスキーをお届けし続け、皆様にも喜び続けて頂きたいと考えている。
Robin Michael Tucek
Chairman and Managing Director
Blackadder International Ltd
TOKYO
17th November 2013
ロビン・トゥチェク氏の試飲セミナーで配布された資料と私のメモを元に前回より修正しております
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ということでした
こういったウンチクを肴にシングルモルトウイスキーをちびりと、たまりません
もうひとつ思い出す話、それは“e”のつくWhiskey であるバーボンの話ですがそれにて締めくくりたいと存じます
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もっとも成功したバーボンであるジム・ビームのブッカー・ノウ
良い樽を選びそのウェアハウスの中央で 愛着と誇りを込めたのが “BOOKER’S”
彼は言う
「何も割らず 濾過せず 樽から出しただけ」
「ケンタッキー・バーボン紀行」東理夫(著)
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ケンタッキー・バーボン紀行 |
東 理夫,菅原 千代志 | |
東京書籍 |
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カッコイイ ですね
ではまた