Reflections

時のかけらたち

グレート・ビューティー /追憶のローマ(La grande bellezza)・・・The Great Beauty

2023-11-29 23:37:01 | movie

10月に借りて見たthe Great Beauty とGreen Book。両方ともいい映画でしたが、Great Beauty なかなか全編見れなかったけれど
一度見ると何回も見たくなりました。Green Bookもいい映画でしたがわかりやすく1回でOK。

その前に見たイザベル・アジャーニの2作、ケイト・ブランシェット、ダニエル・ディ・ルイスの重い映画も
アップしたいところですが、イタリア繋がりで最近、何度も見たGreat Beautyを。トニ・セルヴィッロのダンテ「神曲」
の朗読をイタリア文化会館で聞いたときのあの流れるようなイタリア語に感動して、この名優の映画を見たくなりました。
何しろ映画も何十年も見に行っていなかったのですから状況も全く知りません。

 

最初はなかなかこの映画を続けて見ることができませんでした。とにかく長い。そして退廃的なパーティ・シーンにはちょっと
うんざりしていました。でもこの聖と俗、静と動が交互に現れるこの映画はローマそのものをあらわしているようで中毒になり
そうな映画です。全部通してみるとなんとも心に残る映画で、何回も見ました。音楽も映像もセルヴィッロの声も何もかも
素晴らしいのです。見始めてすぐ、フェリーニを連想させましたが、フェリーニへのオマージュとのことで納得しました。

カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『イル・ディーヴォ-魔王と呼ばれた男-』や、ショーン・ペン主演の
『きっと ここが帰る場所』などで知られ、いま、世界がもっとも注目する監督となったパオロ・ソレンティーノ監督。
最新作の『グレート・ビューティー/追憶のローマ』もまた、彼の卓越した美学と深い感動で描き挙げる巨大な映像モニュメント
となり、イタリア映画では15年ぶりとなるアカデミー賞外国語映画賞に輝いている。

主演を演じたのは、本作での演技でさまざまな映画賞の演技賞に輝いたトニ・セルヴィッロ。老年に差し掛かった作家の心の喪失
そして老いを感じるがゆえの生きることへの渇望を、重厚感をもって演じた。また、カルロ・ヴェルドーネやパメラ・ヴィロレージ
といった人気俳優も数多く出演。イタリアの人気歌手アントネッロ・ヴェンディッティやフランスの女優、ファニー・アルダンら
多くのセレブリティも本人役として顔を見せている。 
                           Openers より

 

本作はある程度の人生経験を経た大人を満足させてくれる。誰が見ても面白いようなわかりやすい映画ではなく“じわじわとくる”作品だ。

冒頭、ローマの古典的な美しさには静寂があり、セレブたちが繰り広げるばか騒ぎには異様なエネルギーがある。この静と動の
シークエンスに本作で何度も繰り返し描かれる死の要素が埋め込まれている。何が始まるのかはわからないが、少なくともこの映画が
高い美意識を持った非凡な作品であることだけは伝わってくる。

本作は主人公のジェップが何を求め、何と葛藤し、何に苦悩しているのかをストレートに見せるようなことはしない。だが失い続ける
痛みや埋没していく虚しさを感覚的にわかる人なら、ジェップの苦悩が理解できる。作品内の洗練された映像とセリフの中から人間の
愚かさと愛しさがじわじわと浮かび上がってくる。このじわじわと浮かび上がってくる何かを掴むには、観客本人がある程度の大人で
あることが必要だろう。だからこそ、大人にはたまらない作品なのだ。
                   MIHOシネマ より

 

2013年製作/141分/PG12/イタリア・フランス合作
原題:La grande bellezza

スタッフ

監督・原案 パオロ・ソレンティーノ
脚本   パオロ・ソレンティーノ
     ウンベルト・コンタレッロ
撮影   ルカ・ビガッツィ
美術   ステファニア・セラ
衣装   ダニエラ・サンティオ
編集   クリスティアーノ・トラバリョーリ
音楽   レーレ・マルキテッリ

キャスト

ジェップ・ガンバルデッラ トニ・セルビッロ
ロマーノ カルロ・ベルドーネ
ラモーナ サブリナ・フェリッリ
マダム・アルダン  ファニー・アルダン

 

『グレート・ビューティー 追憶のローマ』 8/23(土)Bunkamuraル・シネマ他公開

 

The Great Beauty trailer - in cinemas from 6 September 2013

 

享楽の人生を送るジェップもその生活にはうんざりして、友達もローマを見限りローマから出ていく中、初恋の女性の死や
旧友の娘ラモーナとの愛と別れ、そして人生の最後に再び筆を取ろうと思うところで映画は終わる。とにかく音楽が素晴らしかった。
いろいろなレビュー記事を見ていると最後の長い川からローマを写している画面に端から身を投げる人がいてそれは彼では
ないかとの深読みもありましたが、私は再生だと思いたい。

中にちりばめられた言葉も素敵でした。

旅に出るのは確かに有益だ。
旅は想像力を働かせる。
これ以外のものはすべて失望と疲労を与えるだけだ。
これは生から死への架空の旅の物語。
(L.R.セリーヌ『世界の果てへの旅』)

 

「65歳になった数日後に私が悟った最も重要なこと。それは、自分がやりたくないことをやって時間を無駄には
出来ないということだ。」

65歳を迎えて数日後確固たる事実を発見した。もはや望まぬ行為に費やす時間はないのだ。ローマにやって来た時
私は26歳だったがかなりの速さでほぼそれとは気づかないまま俗世の渦というべきものに飲みまれた。とはいえ
私はただの俗物に甘んじる気はなかった。私は俗物の王になりたかった。そしてなった。パーティに参加するだけでは
物足りず、それをぶち壊す力を得ようとした。

L.R.セリーヌ『世界の果てへの旅』
旅は有益だ。想像力を誘う。

後は幻滅と疲労のみ。
これは架空の旅、それが強みだ。
生から死、人間、獣、街、ものすべて見せかけ

つまり小説、作り話、辞書にもそうある。
しかし目をつぶれば誰でもできる。そこは人生の彼岸。


毎年夏になると9月の目標を立てた。今は違う。今は昔の目標を思い出して過ごしている。消え失せた目標を。
ノスタルジアの何が悪いというのだ。未来を信じられないものの唯一の気晴らし。

人生もローマも真っ逆さまに落ちていくとき、初恋の人を思い出し、愛することの意味を再び見出し、
大切なことを忘れていたことに気づき、また小説を書いてみようと思うジェップ。ローマには大いなる美が集う。

あっけなく病気で亡くなってしまうラモーナとの会話が美しかった。「お互いに大事にしあえてよかった」と。
こういう大人の愛があるのだと映画の展開がとても新鮮だった。

 

"THE GREAT BEAUTY" THEME SONG (2013)

 

The Beauty Of The Great Beauty (La Grande Bellezza)

 

 

Spellbinding music  Great Beauty

In thinking about this film, an inevitable mix of the sacred and the profane, just as Rome famously is – I immediately thought that this flagrant contradiction of the city, its capacity to miraculously combine the sacred and the profane, should be echoed in the music.

Jean A. Gili – Interview with Paolo Sorrentino

 

映画で使われた曲

Arvo Part の曲は他の曲ですが、ヨーヨーマのコンサートでも演奏されました。
現代の有名な作家だったのですね。

I Lie
Composed by David Lang
Performed by Torino Vocalesemble
 
Far l'amore
Written by Franco BracardiBob Sinclar(as Christophe le Friant) and Daniele Pace
Performed by Bob Sinclar and Raffaella Carrà
 
More Than Scarlet
Written by Matt Fitzgerald, Pete Kelly, Tom Schutzinger and Ben Ely
Performed by Decoder Ring
 
Mueve la colita
Written by F. Attanasio, Ricky Nanni, Lorenzo Confetta, S. Attanasio and G. Attanasio
Performed by El Gato DJ
 
My Heart's in the Highlands
Composed by Arvo Pärt
Lyrics by Robert Burns
Performed by Else Torp and Christopher Bowers-Broadbent
 
Que no se acabe el mambo
Written by J. Peña Suazo
Performed by La Banda Gorda
 
The Lamb
Composed by John Tavener and William Blake
Performed by The Choir of the Temple Church
      
Parade
Written by Andreas Berthling, Tomas Hallonsten and Johan Berthling
Performed by Tape feat. Ingmar Lindelof
 
World to Come IV
Composed by David Lang
Performed by Maya Beiser
 
Symphony No. 3, Op. 36 'Of Sorrowful Song': III. Lento - Cantabile Semplice
Composed by Henryk Mikolaj Górecki
Performed by London Sinfonietta and Dawn Upshaw
  
Moody
Written by the Scroggins Sisters
Performed by ESG
 
Take My Breath Away
Written and performed by Gui Boratto
Courtesy of Truelove Music/Kompakt Records
 
The Beatitudes
Composed by Vladimir Martynov
Performed by Kronos Quartet
 
Forever
Written by Maurizio Fabrizio and Antonello Venditti
Performed by Antonello Venditti
 
Pancho
Written by Julius Steffaro and Jack Trombey
 
There Must Be an Angel (Playing with My Heart)
Written by Annie Lennox and David A. Stewart
Vocals by Lorraine Bowen
Remixed by Paolo Scotti
 
Water from the Same Source
Written by Christian Frederickson, Rachel Grimes and Jason Noble
Performed by Rachel's
 
Symphony in C Major: II. Adagio
Composed by Georges Bizet
Performed by Leopold Stokowski and his Symphony Orchestra
   
Dies Irae
Composed by Zbigniew Preisner
Performed by Elzbieta Towarnicka, Dariusz Paradowski, Piotr LykowskiPiotr Kusiewicz, Grzegorz Zychowicz and Jan Szypowski
 
Everything Trying
Written and performed by Damien Jurado
 
Discoteca
Written by Christian Bouyjou, Chloé Fabre and Radha Valli
Performed by Exchpoptrue
 
We No Speak Americano
Written by Renato CarosoneNicola Salerno, Matthew Handley, Duncan MacLennan and Andrew Stanley
Performed by Studio Allstars
 
Ti ruberò
Written by Bruno Lauzi
Performed by Monica Cetti
 
Beata Viscera
Written by Magister Perotinus
Performed by Vox Clamantis
  

Trois Mouvements Perpétuels: I - Assez modéré
Written by Francis Poulenc
Performed by Peter Beijersbergen van Hengouwen

 

↓ ピノキオとの比較が面白かった記事です。
グレート・ビューティ  渋谷文化プロジェクト

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