カントロフのリストが聞きたくなって、急遽申し込んでいくことにしたコンサート。
アルゲリッチも聞きに行きたくなったのですが、プログラムがあまり興味をそそりませんでした。
<PROGRAM>
リスト:J.S.バッハのカンタータ「泣き、嘆き、悲しみ、おののき」BWV12による変奏曲 S.179
シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 嬰へ短調 op.11
リスト:巡礼の年第2年「イタリア」から ペトラルカのソネット第104番
リスト:別れ(ロシア民謡)
リスト:悲しみのゴンドラ II
スクリャービン:詩曲「焔に向かって」
リスト:巡礼の年第2年「イタリア」から ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」
こんなに力強い低音を聞いたのは久しぶりです。
25歳とは思えない貫禄がありました。
1曲目のリストの編曲によるバッハの最初の音がなかなか落ちてこなくて、
緊張感がありましたが、音楽が始まったとたんその音の美しさに
すごい若手が出てきたと思いました。
シューマンが始まるとドイツロマン派らしいシューマンらしいメロディーで何か少し
ほっとしましたが、その個性的な演奏にすっかりカントロフのピアノの世界に入って行きました。
彼のピアノの音は暗いのですが、華やかです。
ペトラルカのソネットは好きな曲で胸が締め付けられる曲です。
リストは時に美しく、超絶技法でテクニックだけのような感じも昔はしていたのですが、
ちょっと難解なところもありますね。これに挑戦しているなんて音楽だけでなく
いろいろな要素が必要です。
細い体に大きな手でピアノが小さく見えました。ダイナミックで繊細な演奏でした。
とても個性的で、強いタッチに色彩感のある音、そして高音の美しさ。
ポゴレリッチを思い出させるピアニストです。
最初のバッハで私はなぜかシェークスピアのテンペストの最後の言葉を思い出しました。
たぶんオペラシティのコンサートホールが25周年記念と書いてあるのを見たからだと思います。
もうそんなに経っちゃったかと驚きました。
We are such stuff
As dreams are made on
And our little life
Is rounded with a sleep
私の時間はもう少ないのに、何もしてきていないなと思いがよぎったり。
ボビンレースも少しは落ち着いてできるようになってきたし、ヨガも自分の体に対して
気づきがだいぶ出てきたけれど・・ 平凡な人間の平凡な暮らしだけど これで一生が
眠りによって閉じてしまってもと焦るわけでもないけれど・・ いつもこれでいいのかという
思いが残る。
Alexandre Kantorow plays Brahms (Bartók & Liszt)
Alexandre Kantorow 1 16
Schumann : Sonate en fa dièse mineur n°1 op.11 (Alexandre Kantorow)
Liszt: Sonetto 104 del Petrarca | Alexandre Kantorow, piano
Alexandre Kantorow au Piano Day - ARTE Concert
東京オペラシティのコンサートホールは25周年。ここでヒラリー・ハーンやアンデルシェフスキーなど
素晴らしい演奏家を知りました。
カーテンコールの時だけ写真OKとのことで、スマホであまりよく撮れませんでしたが、
記念に・・
ブラボーと鳴りやまない拍手でアンコールは6曲。
若者らしく最後の方の曲はタブレットに入っていた楽譜を見ていました。
アンコール)
グルック(ズガンバーティ編):精霊の踊り
ストラヴィンスキー(アゴスティ編):バレエ「火の鳥」から フィナーレ
ヴェチェイ(シフラ編):悲しきワルツ
ブラームス:4つのバラード op.10から 第2曲
モンポウ:歌と踊り op.47-6
ブラームス:4つのバラード op.10から 第1曲
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June 30 2022 Tokyo Opera City