映画のメモはレイルウェイ、マジック・イン・ムーンライト、サクリファイス、ベイビーブローカー、ケイト・ブランシェット
のキャロルとブルージャスミン、スペイン映画のカルメン、ボブという名の猫、アンナ・ハーレントとたまりにたまっていますが
最直近のバベットの晩餐会から。なぜ私の頭の中でブラームスのワルツが回っていたのかトレーラーを見て思い出しました。
いい映画ほど見るのを取っておいて、「あん」の時みたいに見るまで熟成させた感じ。すべてのことには時がある・・・
今見ることに意味があるように思えました。
1987年製作/102分/G/デンマーク
原題:Babette's Feast
配給:コピアポア・フィルム
日本初公開:1989年2月18日
2016年4月9日 リバイバル公開
1987年アカデミー賞(R)最優秀外国語映画賞受賞作品
デンマークの紙幣にもなる程著名な女流作家カレン・ブリクセンの原作を、数々の文芸作品をドラマ化し高い評価を受けた
ガブリエル・アクセルが丁寧に映画化。物静かな前半部分と、美味しそうな晩餐会の料理の描写が続く後半との対比が静かな
感動を呼ぶ傑作。
監督・脚本: ガブリエル・アクセル
製作総指揮: ユスツ・ベツァー
製作: ポー・クリステンセン
原作: カレン・ブリクセン
音楽: ペア・ノアゴー
衣装デザイン: カール・ラガーフェルド、ピア・ミュルダー、Annelise Hauberg
撮影: ヘニング・クリスチャンセン
【キャスト】
バベット/ステファーヌ・オードラン
マーティーネ/ビアギッテ・フェダースピール:若い頃のマーティーネ/ヴィーペケ・ハストルプ
フィリパ/ボディル・キュア:若い頃のフィリパ/ハンネ・ステンスゴー
監督牧師/ボウエル・ケアン
ローレンス将軍/ヤール・キューレ:将校時代のローレンス/グドマール・ヴィーヴェソン ほか
【予告】バベットの晩餐会
同じく映画化されたOut of Africaの原作者アイザック・ティネーゼン(=カレン・ブリクセン)の原作による
死期が間近い老人のおとぎ話の世界が料理という芸術の世界と共に描かれています。バベット役のステファーヌ・オードラン
素晴らしかったです。最初カトリーヌ・ドヌーヴの名前が挙がっていたとのことですが、オードランの方がよかったと思われ
ました。
ごちそうを食べることを罪悪のように感じてしまう清貧に生きるクリスチャンたち。パリから革命を逃れてただ一人
やってきたバベットの芸術的な晩餐に心ほぐれていく人たち。
老人たちが手を取り合って、井戸の周りで歌うシーンも印象的でした。
宗教家の父親の犠牲になったような娘たちに訪れる平安。
カレン・ブリクセンの言葉は今、この年齢で見るからこそ、心に届きます。
あの世に持っていけるものは、他人に与えたものだけ
将軍の食後のスピーチ:
人間は弱く先を見る力もないが、人生ではいくつも選択を迫られる。そして自分の選択におののく。しかし我々の選択は
重要ではない。我々はいつか目覚める。そして、神の恵みは無限なのだと悟る。我々はただ恵みを待ち、感謝の気持ちを
受け入れるのだ。神の恵みには条件などない。
その証拠に選択したものは手に入れた。拒否したものもすべて手に入れた。拒否したものさえ与えられたのだ。神の恵みと
真実は出会い、神の正義と平穏は口づけを交わす。
食後にフィリパが歌う讃美歌:
また一日が終わろうとしている
太陽が地平線に消えていく
私たちの休息の時間は近づく
我らの神は天国の光におわす
天国を統べる我らの神よ
夜の谷で我らの光となり給え
限られた時間は終わろうとしている
夜も昼に変わろうとしている
栄光の世界が終わりを迎え
残りの光は素早く過ぎ去る
神の光が永遠に輝くように
我らを神の国へと導きたまえ
別れの時の将軍の言葉:
今までずっとあなたと共にいた。私はこれからもあなたのそばにいる。毎日あなたと食事の席に着く。
体は離れ離れだが肉体は大事ではない。魂が一緒なのだ。
私は知ったのです。この美しい世界ではすべてが可能です。離れ離れでも魂は共にあります。
満天の星のもと村人たちが井戸の周りで手をつないで歌う:
過ぎ行く時を時計が告げる
今夜こそ永遠の存在に近づいた
この時を神に捧げよう
心を込めて神に仕えよう
真の我が家がみつかるだろう
ハレルヤ
バベットの言葉:
芸術家は貧しくなることなどないのです
余談ですが、映画に出てくる二人のボビンレースの襟が素敵です。
今習っているボビンレースでも襟を作っている人がいます。