ジィオのギャラリーで森下まゆりさんと平山景子さん、林辺先生と私がつながりました。
ゼペットおばさんはスウェーデン留学中に林辺さんと会っていると言う。
思わぬところでネットワークが繋がっている。
私が織を習っていたのが30年以上も前のこと。林辺先生の前に習っていた大倉山の
先生の当時のお嫁さんの習っていた先生で、フルタイムの仕事に復帰したため
夜習う教室として通うようになった。原宿のマンションのアトリエで週に1回仕事が終わってから
かなりきついワークでした。
最初の先生鈴木道さんもとても素晴らしい方で去年の暮、90何才かの誕生祝の後
亡くなられたということでした。教会のお嬢さんでやさしくて弱そうだったけど
芯のすごく強い方でした。お弁当を持って行って1日中織っていました。
その先生を紹介してくださったのが私の子供のころのピアノの先生です。
人と人のつながりはチェーンのように巡っていきます。
林辺先生のらせん工房では初めてプロの仕事を見ることができました。
先生の教え方は自分で考えて製作できるようにするということでした。
皆で草木染をしたこともすごく楽しいことでした。鎌倉まで材料を採集に
行ったこともありました。
先生のつくりだす色、生地は本当に素晴らしかったです。
銀座松屋や新宿住友ビルなどでらせん工房の作品展を何回か
やりました。
そのころの先生はテキスタイルの作家で朝日クラフト大賞とか取って
波に乗っていました。公募展にも応募していて上野の美術館にも
見に行ったことがありましたが、他の人の作品が単なる手芸に見えて
しまいました。
先生は外語大を出た後スウェーデンに哲学で留学して、織物にはまった方でしたので
すごく哲学的な作品で時に人間の内部のような感じもして怖い作品もありました。
アバカノヴィッチの影響もすごく受けているように見えました。
着物の生地も織り、帯も素敵でした。茶道具の作品を作ったこともありました。
そういう中で先生はすごく模索していたと思いました。芸術家って苦しいと
思いました。
写真はすべてギャラリーいそがやさんにお願いして載せさせていただきました。
私は結婚後、子供ができたところで工房で習うことをストップしてしまいましたが、
作品展やお食事会などには参加させていただきました。
先生はどんどん変容されてファイバー・アーティストという感じになって行かれました。
スタッフも女性から全員男性に最後はなって、すごく男性的な作品となっていったような感じが
します。
原宿から池尻大橋に移られて、ご実家の三軒茶屋により近くなったみたいです。
かつてのパートナーのアーサーと一緒に作品展を行った時は子供を連れて
オープニング・パーティに行きました。お二人の詩の朗読もあり、
面白いものでした。
別の時に見たと思うのですが、アーサーの卵の絵もすごく不思議で面白かった。
1つ欲しかったな~と思っていました。
別のアーサーの展覧会の時だったと思いますが、私はアーサーがトルコ石で作った指輪を一つ
手に入れていました。とてもマニッシュなのでする機会がありませんが。今度つけてみよう。
アーサーとはスウェーデンで知り合い、先生とインドとかいろいろ放浪して
日本に来たみたいです。当初は革と彫金を教えていて、林辺先生が
織を教え始めたみたい。その後アーサーは国に戻ったのか、私が工房に行ったときには
もう姿がありませんでした。
その後先生が大作を作っているときに日本に来ていて、小学校の講堂を借りて仕上げているときに
手伝っている姿を見ました。何回か日本に来ていたようでしたが、マジョルカ島で女性と暮らしていると
先生は言っていました。
職場に先生が亡くなられたことの連絡を受けたとき、不思議と驚きませんでした。
何か先生はやはり芸術家で何か生み出すのにすごく苦労されていたと思いました。
先生のお母様の悲しみが大きく、すぐ知らせてくれなかったということでした。
皆でお墓詣りに行く時も仕事の会議で外せなく、行くことができませんでした。
勉強会もいそがやさんで開いていたようでしたが、子育てと仕事で精いっぱいの私は
参加することもできず、今なら少しは分かるのではないかと残念に思っています。
亡くなられて少したってからいそがやさんで展覧会があり、そのあとだったか
生徒やスタッフに形見分けのような感じで作品を分けていただきました。
最後のほうに行ったのでもうあまりなかったのですが、タペストリーを一つ
いただきました。先生の色の大きな作品です。
ジィオでお会いした平山さんに織をまたおやりなさいといわれた言葉が
励ましのように私の中に響いています。
地下にしまったっきりの織り機を再び組み立てて織ってみるのも
これからの私の生活に入れて行っていいのではと思い始めています。
先生のご冥福を祈るとともに、先生からいただいたものを
大切にしていけたらと思っています。
いそがやさんの
アーカイブで先生の作品など見ることができます。
写真の転載ありがとうございました。