(株)カプロラクタム-blog

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証拠能力

2006年10月18日 | 時事
さいたま地裁川越支部:自閉症理由に公判手続き停止の決定
傍目から見ると、被害者は完全な殴られ損ですな。

この記事だけでは詳しい内容が分からないので何とも分かりませんが、基本的には自閉症であってもなくても、「中程度の精神遅滞(知的障害)」が認められたのならその時点で証拠能力はないと言えるのではないかと思います。
ここで自閉症について触れますと、彼らは対人関係・コミュニケーション能力の部分で大きなハンデがあり、耳で聞く情報よりも目から入る情報の方が理解しやすいという特性があります。そのため、例えば先生に「お名前は?」と聞かれると、反復練習によって正しく応えられる子もいますが、大抵の子はその意味が分からず、「僕はこう聞こえたよ」と言う意味で、聞かれた言葉をそのまま繰りかえし、「お名前は」と言ってしまうのです。この現象を“エコラリア”(いわゆるオウム返し)と言います。コイツが場と状況によっては非常にやっかいで、例えば火災現場の近くでたまたまウロウロしていた所を職務質問され、「火をつけた?」と聞かれると「火をつけた」と応えてしまうのです。もちろん本人は言葉を繰りかえしただけなのですが、状況的に自白とも取られかねませんよね。このように、自閉症の方はわけの分からないままに事件に巻き込まれることは珍しくなく、もし何かあったとき、行動特性上非常に不利な立場になりやすいと言えるでしょう。

では、実際この方は小学生を叩いたわけじゃないのかと言われれば必ずしもそうではなく、むしろ叩いたことは間違いないと思います。スキンシップで叩くとき、我々は少なからず加減して、相手が痛さを感じにくい肩などに的を絞って叩きますが、自閉症の子はそうした「この力で叩くとどうなるか」といった推量が働かず、多くの場合は全力でお構いなしに叩いてきます。また他にも、自らを防衛するために叩いたり、感覚的な刺激を求めて(たまたま人を)叩くことも考えられます。冒頭で「叩かれ損」などと書きましたが、通り魔的なシチュエイションを除いて、2人の間に何らかのやり取りがあり、その際にやられたのだとすれば、子どもの方が小学校でどんな教育がされ、どこまで障害者理解が進んでいたのか、そちらの方にも解決の糸口があるような気もします。

いずれにしても、これで障害=免罪符のような考えが世の中に浸透することは避けたいです。