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CPU囲碁大躍進

2016年01月28日 | 時事
囲碁でプロ棋士に初勝利=グーグル、コンピューターで
中国のプロに19路互戦で5戦5勝したらしいです。

囲碁は盤面が広く、チェスや将棋などより読み筋が数百桁も違うので、一時は100年かかってもプロに勝てないと言われていましたが、モンテカルロ法という、読み筋をランダムで間引く画期的なアルゴリズムを投入し、一気にアマ初段ぐらいの実力をもつに至ったのがおよそ10年ぐらい前の話でした。しかしそこからはチェスや将棋のようにPCの演算機能を強化することでしか強さを上げることができず、9路や13路では勝負になっても19路ではせいぜいアマ4~5段ぐらいの実力がやっとであるというのが現在の状況で、CPU将棋は既に勝利宣言を出しましたが、囲碁ではまだまだプロに勝つのは10年先だろうと言われていました。

チェスや将棋と明らかに違う点は、着手の多さだけではなく、着手の評価の難しさにあると思います。囲碁は大きく分けて序盤、中盤、終盤と戦い方が変わりますが、CPUが人間に比べて圧倒的に弱いのは間違いなく中盤戦です。序盤の布石は「定石(一般的に互角とされる手)」を手当たり次第に記憶させれば悪くはならないでしょうし、終盤のヨセは損得計算なのでむしろ得意分野でしょう。家にあるコンピューター囲碁ソフトも、序盤は光の速さで打ってきますが(笑)定石を打ち終わると途端にゆっくりになり、たまに変な手を打って来るので余裕で勝つことができます。まあ、逆にこちらが失敗して取られパターンに入ると、また光の速さで打ってきて取られてしまいますけどね。中盤の戦いで、対人で打つ時の「この手が良い」という感覚は計算で割り出せるものではなく、むしろ図形的な認識で捉えているので、その辺をどうするかがこれまでのCPU囲碁の進化の歴史であり、限界でした。

で、今回開発されたのが、盤面を画像認識して過去の膨大な棋譜データベースから「良い形」を評価すると言う、ある意味図形的なアプローチを試す新しいタイプでした。モンテカルロ法は計算でゴリ押すタイプの究極系でしたが、今回のはプロの「良い手」をリアルタイムでガンガン吸収していきますから、さらに強くなる可能性を秘めていますね。今はネット碁の普及でタイトル戦だけでなく強い人の好局などごまんとありますから、まだまだ成長の余地が有りそうですな。
まあ、今回の相手は我が四天王の中でも最弱34歳でプロ2段と言うことで、日本よりも競争が激しい中国の囲碁事情の中ではそれほど強い人ではない印象でした。塔矢アキラだって2年目にはもう2段でしたからね(笑)(後述:どうやら中国棋院のプロではなく、中国在住のヨーロッパのプロらしく、世界ランキングでは600位くらい、下の中程度の腕前だそうです。)まあ「プロが負けた」となるとその名前は不名誉に広まってしまいますから、そのリスクを負うだけの謝礼を出せる開発者が今までいなかっただけなのかもしれません。その辺はさすがグーグルだと言えるでしょう。潤沢な資金があることを裏づけるように、3月には、イ・セドル9段という韓国のトッププロと対局するそうなので、真価を問うまで楽しみにしたいと思います。

取れないシチョウを追いかけて勝った碁が有名な人なので(笑)将棋のようにCPUを撹乱させて勝つ展開になるのかも?