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災害報道と不確定性原理

2016年04月22日 | 震災
熊本県民テレビ「避難所取材で少女どかす」批判を否定「自発的に」
まあ自発的にどいたにしろ、報道がなかったら子ども達は濡れなかったわけですからねえ・・・

不確定性原理とは、量子力学においてある量子の位置と運動量を同時に知ることはできないと言うものです。ある粒子がどこにあるのかを知るために別の粒子を飛ばして測定しようとしても、当たった場所に「あった」ことは分かりますが、当たった瞬間にどこかに行ってしまうのでもうその場には「ない」わけですね。何もしなければ変わりませんが、調べるためにアクションを起こすことで、その状態そのものが変わってしまうものなのです。災害報道は、まさにココが問題なのですよね。

「被災地のありのままを映す」ことは、報道の使命なのかもしれません。しかし、支援物資を運ぶでもなく、救助を手伝うでもない車両やヘリコプターは災害救助の邪魔にしかならないのもまた事実です。報道というアクションは、現地のありのままを伝えることで「今足りないもの」を明確にしたり募金を集めたりなど、「その後」の救助や復興を助ける効果あるでしょうけど、「報道されている瞬間」はマイナスにしかならないのですよね・・・例えば焼き芋屋視点で見れば、この報道を近所の人が見ることによってイメージアップになり、その後このイモ屋は繁盛するかもしれませんが、その取材応対中は芋を売れないので明らかにマイナスです。まあそういう長期展望があるから「今」を受け入れて取材に応じるわけですけど、既に「今」が限界ギリギリの人たちにとってはたまらない苦痛になりかねません。この件以外にも、生放送で被災者に怒鳴られたテレビ局もあるようです。この子ども達はその後カゼをひいたわけでもなく、別に不満をもったわけでもないようですが、今後も自らの行いが極力被災者にマイナスにならないよう、ちゃんと自覚して報道してもらいたいものです。

ただ、今回取材陣を批判しているのは被災者ばかりでなく、関係ない人たちも多いのですよね・・・被災者からの苦情は謙虚に受け入れなければなりませんが、遠くにいて「かわいそう」「不謹慎」だと手前勝手な理屈で騒ぎ立てるのは、居酒屋トークと同じく(笑)騒ぐのを目的としてるだけなので無視して構わないでしょう。

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