◇強盗ファンド
テレビ朝日のスーパーモーニングという朝の番組で、キャスターが村上ファンドが阪神タイガースの株式上場を要求していることで、ゲストの大学教授に聞いていました。
キャスター ファンドっていうのは、たとえば私が100万円投資したいと言ったらやってくれるんですか?
教 授 うーむ、まぁそうなんですが、1000億とかのお金を動かしますから、出し手は外国の機関投資家とか……。
キャスター とすると、ファンドというのは、「一般の人のお金を集めて」というのではないんですね。村上さんは、「タイガースをファンの皆さんに開放しなきゃいかん」って言ってましたよ。そうじゃないんですね。
教 授 うーむ、それは…。運用しなきゃいけませんから。
キャスター 株式の莫大な上場利益ですね。
言葉のやりとりは上の表現とはちがっていると思いますが、私の記憶ではこういう趣旨のものでした。村上ファンドのような人気ファンドは、一般人から見れば天文学的な資金を運用しています。一時、マスコミでも「ハゲタカ・ファンド」という言葉がはやりました。
村上ファンドが阪神電鉄の株を買い占める目的は、金儲けです。あたりまえのことです。これで儲けるということは、阪神電鉄をネタにして莫大な利益を稼ぐわけです。多くの従業員と経営者、それに株主で築き上げてきた10年、20年、あるいは何十年分の蓄積利益を右から左に持ち去るわけです。
株買い占めを武器にして、力づくで莫大な利益を持ち去る。これは合法的であっても、道徳的には「強盗行為」でしょう。時代劇に出てくる悪人の豪商といっしょです。
ファンドの資金に国境はありません。彼らにとっては半年、1年の間に、何%あるいは何十%の運用利益を上げるかが仕事です。彼らは、大義名分や美辞麗句で語ります。しかしその本質は、対象の企業がその結果どうなろうと、日本の資産が外国に移ろうと、どうだっていいんですね。
私は、どうあってもファンドを好きになれません。営々と働く人々の頭越しに莫大な富を持ち去って後は知らん顔、というのが趣味に合いません。