川本ちょっとメモ

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国家戦略特区は「利益誘導」事業に成り得る 中心的唱道者・竹中平蔵氏は大物「規制緩和ビジネスマン」である

2017-10-13 05:58:36 | Weblog

「国家戦略特別区域 諮問会議 議員名簿」に、有識者議員・竹中平蔵氏の肩書は、「東洋大学教授・慶應義塾大学名誉教授」と記載されています。
 
名誉教授ですから、東洋大学でも慶応義塾大学でも実際の仕事はありません。
 にもかかわらず、安倍首相も竹中本人も、本業を隠しています。
 

 
竹中平蔵氏の本業は、パソナグループ (東証一部上場) 取締役会長。  
オリックス株式会社 (東証一部上場) 社外取締役もしています。

学者の名刺を見せて本業ビジネスをするのが、竹中平蔵氏の詐欺スタイル、いや仕事スタイルです。


国家戦略特区制度は、「規制緩和、既得権益打破」をして、特定の人・業者がやりたいことができるように条件を整備してやる制度で、「利益誘導が本筋」です。 

そのうえに人脈が絡めば、どうみたって構造汚職でしょう。          
これが「国家戦略特区」につきまとう制度的性格です。 
 

竹中平蔵取締役会長のパソナグループは人材派遣の有名な大手企業です。創業以来常に、労働関係の規制緩和で社業を拡大してきました。規制緩和は、小泉政権以来つづいてきた自民党政権の政策です。
 
 
小泉首相以後の時代は、労働関係の規制緩和に邁進するばかりです。
平成年間に新しい身分制度ができました。派遣社員―契約社員―正社員。
派遣・契約社員から正社員への道はほぼ閉ざされています。
この労働身分制度はほぼ固定化しています。
当人の仕事能力が優秀であっても、今はこの壁を越えるのが困難な時代です。
 若年世代からすでに、階級化格差社会が広がっています。

 
 
一方、オリックスも規制緩和のうまみをよく知っている企業です。オリックスは、小泉政権時代に規制緩和を主導し、自ら利益誘導をやっています。このブログではオリックスについての過去記事が3本あります。
 
    2006-06-29
    経済政策の地下室人脈―村上ファンド、宮内オリックス会長、福井日銀総裁
   2006-08-01
    宮内義雄オリックス会長と自社の利益のための規制緩和
   2009-02-16
    宮内義雄オリックスとはこんな会社!



○国家戦略特別区域諮問会議運営規則 (平成26年1月7日)
  第4条4 会議は、その決定するところにより、会議に付議される事項について直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。← 利益誘導防止の規則

上の第4条第4号の規定を実行するならば、今治特区(加計学園獣医学部新設)審議・決定では、安倍晋三諮問会議議長を外す。神奈川特区(家事支援外国人在)審議・決定では、竹中平蔵有識者議員を外す。――ということになります。
 
              
だが、この規定は完全無視。法律ではなくて運営規則ですが、諮問会議当事者や関係者の遵法精神皆無、完全欠如です。


政府の官邸ホームページに「内閣府国家戦略特区―規制改革メニュー」というページがあります。ここから以下の事業項目をリストアップしました。


◆1.分野 『外国人材』

○規制改革事項 家事支援外国人材
 △実現時期 2015年7月 特区法成立
 △初の活用自治体 神奈川県
 △概要 外国人家事支援人材の活用
     女性の活躍推進等のため、地方自治体等による一定の管理体制の
     下、家事支援サービスを提供する企業に雇用される外国人の入国
      ・在留を可能化→ 竹中平蔵関係
 △事業者
       株式会社パソナ      25人 → 竹中平蔵関係
      株式会社ニチイ学館    15人
      株式会社ベアーズ      7人
      株式会社ポピンズ      5人
      株式会社ダスキン      4人
      株式会社ピナイ・インターナショナル 2人

      神奈川県が2016年7月27日、フィリピン人58人の家事支援外国人
     受入企業
(「特定機関」と言います)を発表しました。受入企業と受
     入人数は上記の通り。

◆2.分野 『教育』

○規制改革事項 獣医学部
 △実現時期  2017年1月告示
 △初の活用自治体  今治市
 △概要 獣医学部の新設
     「国家戦略特区における追加の規制改革事項について(平成28年11
     月9日国家戦略特別区域諮問会議決定)」に従い、獣医師が新たに
     取り組むべき分野における具体的需要に対応するための獣医学部を
     一校に限り特例的に設置認可の対象とできる。
  △事業者  岡山理科大学 (加計学園傘下)  → 安倍首相関係

◆分野 『農林水産業』

○規制改革事項 企業農地取得
 △実現時期  2016年5月 特例法成立
 △初の活用自治体  養父市
 △概要 企業による農地取得の特例
     喫緊の課題である担い手不足や工作放棄地等の解消を図ろうとする
     国家戦略特区において、農地を取得して農業経営を行おうとする
     「農地所有適格法人以外の法人」について、地方自治体を通じた農
     地の取得や不適正な利用の際の当該自治体への移転など一定の要件
     を満たす場合には、農地の取得を認める特例を、今後5年間の時限
     措置として設ける。
  △事業者  やぶファーム株式会社 → 竹中平蔵関係、ほか14事業者
        やぶファーム株式会社は資本金400万円で、オリックス農業株
        式会社20%、
やぶパートナーズ株式会社(養父市が設立) 5%、
       JAたじま25%の出資である。15事業者のうち、市とJAが出資
        しているのは、このやぶファーム1社だけである。



竹中氏は小泉純一郎元総理の信任を得て、小泉政権下で大臣を務め、規制緩和の権化として働きました。当時の竹中の口癖は「グローバル化」。経済のグローバル化、経済成長には規制緩和、開放経済が必須として一本調子に進みました。

経済のグローバル化とは、米国ウォール街金融資本主義に同化して自らもその一翼に並ぼうとするものであります。当時すでに、米国では格差社会が広がりつつあって、それを警告する本が日本でも翻訳出版されていました。しかしその警告が日の目を見ることはなかった。

竹中氏は当時の小泉純一郎総理の下で、規制緩和、郵政民営化にまい進しました。

  第1次小泉内閣 2001(H13).4.26.成立
          経済財政政策担当大臣
  第1次小泉内閣第1次改造内閣 2002(H14).9.30.改造
          金融担当大臣・経済財政政策担当大臣
  第1次小泉内閣第2次改造内閣 2003(H15).9.22.改造
         内閣府特命担当大臣 (金融経済財政政策)
  第2次小泉内閣 2003(H15).11.19.成立
         内閣府特命担当大臣 (金融経済財政政策)
  第2次小泉内閣改造内閣 2004(H16).9.27.改造
         内閣府特命担当大臣 (経済財政政策) 郵政民営化担当
  第3次小泉内閣 2005(H17).9.21.成立
         内閣府特命担当大臣 (経済財政政策) 郵政民営化担当
  第3次小泉内閣改造内閣 2005(H17).10.31.改造
         総務大臣・郵政民営化担当

これでわかるように、竹中平蔵氏には、学者というよりも政治家。そして今は、政治家的手腕を発揮して安倍晋三首相を取りこみ、国家戦略特区を見渡してビジネス価値を見定めるビジネスマン。政府を動かしにらみをきかせるほどの大物です。

竹中平蔵氏は国家戦略特区諮問会議の有識者議員で、国家戦略特区制度をけん引しています。この諮問会議は安倍晋三議長を含めて、政治家5人、有識者5人の10人、少人数です。諮問会議内の議論は簡単に、安倍首相や竹中氏の思い通りにまとまることでしょう。

今治市の新設獣医学部についても、2018年(平成30年)4月入学希望者の入試申し込みと入試実施に間に合う日限までに、大学設置審議会の認可が下りるのはまちがいないでしょう。


■国家戦略特別区域諮問会議 議員名簿

  議 長  安倍晋三 内閣総理大臣
  議 員  麻生太郎 財務大臣 兼 副総理
   同   梶山弘志 内閣府特命担当大臣 (地方創生、規制改革)
   同   菅 義偉 内閣官房長官
   同   茂木敏光 内閣府特命担当大臣 (経済財政策) 兼 経済再生担当
            大臣

  有識者議員  秋池玲子 ボストンコンサルティンググループ
              シニア・パートナー&マネージングディレク
              ター
    同    坂根正弘 株式会社小松製作所相談役
    同    坂村 健 東洋大学情報連携学部 INIAD学部長
    同    竹中平蔵 東洋大学教授、慶応義塾大学名誉教授
    同    八田達夫 アジア成長研究所所長、大阪大学名誉教授




 
 
 
 
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