川本ちょっとメモ

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<2021.10.13.参院本会議> 森立憲民主党副代表の代表質問「長年月賃金低下は自民党政治過去20年の責任」ほかと岸田総理答弁 文字起こし全文

2021-10-25 09:18:43 | Weblog


      昨晩、本稿を誤って未整備のまま投稿してしまいましたが、
     やっと再投稿が済みました。(10月26日  03 :53 )


   2021.10.13.参議院本会議における立憲民主党副代表による代表質問と岸田
   文雄総理大臣の答弁をユーチューブから文字起こしました。代表質問と総
   理答弁は、委員会のような一問一答形式ではありません。

   しかしながらここでは、代表質問の内容について小見出しをつけ、質問に
   相応する答弁を配置しました。そのうえで、終わりに総理答弁全文をその
   まま掲載しました。



<代表質問>立憲民主党副代表の森ゆうこでございます。
私は立憲民主・社民を代表して質問いたします。

岸田総理、ご就任まことにおめでとうございます。

偏狭なナショナリズム。
今だけ金だけ自分だけ。
忖度政治、もう飽き飽きなんです。
穏健な保守を代表する岸田総理にご期待申し上げております。



<新型コロナの不幸な自宅出産について>
今年8月、新型コロナウイルスにかかった妊婦の方が、入院先が見つからず独り自宅で出産。赤ちゃんがなくなるという本当にいたましい事件が起きました。

私は3人子どもを産み育てましたが、たった一人で出産するなんていうことは想像したこともありません。どんなにこわかったでしょう。どんなに苦しかったでしょう。胸が詰まる思いです。

 


<予算委員会を開いて生活者・事業者対策の審議を願う>
オリンピック開催で感染爆発し、医療が崩壊の危機に瀕している。私たちは、そんな状況から国民を救いたい、国会を開いて迅速に対応することを何度も強く求めました。いや、懇願しました。

でも自民党は、公明党は、政府は、応じてくれませんでした。私は参議院予算委員会の野党筆頭理事です。岸田総理、予算委員会開きませんか?

1年前の今ごろも感染は小康状態でした。でも第六波は必ず来ます。そして、苦境にあえぐ生活者、事業者、もう限界なんです。今審議をして予算を通さなければ、もう間に合わない。そう思いませんか? 見解をお願いいたします、総理。
 

(岸田総理答弁)
国民の切実な声を踏まえ、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定いたします。総選挙後、速やかに決定して補正予算を提出いたします。また、補正予算成立までの間も、授業や雇用、暮らしを守るための支援に万全を期していくとともに、必要な対策を新型コロナ予備費などを柔軟に活用してまいります。

 


<臨時医療施設と医療人材の確保について>
野党の修正が反映された特措法の改正によって臨時医療施設はいつでも開設できるのに、菅政権は、国主導で開設しても医療従事者の確保が困難だと言ってきました。

オリンピック対応の医療従事者は7000人も集めました。なぜ、オリンピックのために集められて、自宅で放置されているコロナ感染患者を救うためには集めることができないんでしょうか?
 

 (岸田総理 答弁)
 医療提供体制については、病床・医療人材の確保、在宅療養者に対する対策など対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう、コロナ病床が十分に稼働しなかったことなどこの夏の反省も踏まえ、今週中にその骨格をお示しいたします。その中で臨時の医療施設や医療人材の確保にもしっかりと取り組んでまいります。

 


<従来から進行中の公立・公的病院の削減政策について>>
 総理、教えてください。消費税を使って公立・公的病院を削減する地域医療構想はもうストップしませんか? 

安倍・菅政権は、コロナ禍で病院のベッドを増やさなければいけないのに、ベッド数を削減するという支離滅裂な政策を進めてきました。

そんなバカげたことは、もうやめませんか? コロナ感染症が発生した去年の1月から今年7月までの間、いったい、公立・公的病院のベッドを何床減らしましたか? いくら予算を使いましたか? 総理、具体的な数字でお答えください。


(岸田総理 答弁)
ご指摘の政策については、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため、地域での合意を踏まえ、実質的に行われる病床の減少に対する支援を行うものです。開始初年度である昨年度に支給対象となった公立・公的病院の病床数は約1100床、支給額は約20億円であります。

 いずれにしても、公立・公的病院の在り方については、病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ地方自治体と連携して検討を進めてまいります。


 

<新型コロナの空気感染対策について>
 この際、支離滅裂な政策をやめて、科学的根拠に基づいた合理的な感染対策に転換しませんか? 新型コロナウイルスの主たる感染経路は空気感染。これが今の世界の常識です。WHOやCDCも認めています。8月18日に日本の科学者たちが最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明を出し、空気感染を前提に対策を取るよう提言しました。

 こうした指摘を踏まえ、空気感染を前提に高性能の不織布マスク装着や換気の重要性を国民に周知し、熱交換換気付き装置などの導入を支援したり、公共交通機関等における換気対策を支援すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 

 (岸田総理 答弁)
科学的知見に基づく新型コロナ対策についてお尋ねがありました。昨年4月にWHOが新型コロナの感染経路に関する見解として特に、室内の密集した空間等でのエアロゾル感染のリスクについて発表しており、わが国としてもそうした知見を踏まえて対応してまいりました。

 議員が提案された不織布マスクの装着方法や具体的な換気の手順についてはすでに国民に周知しているところです。また、ご提案の熱交換換気装置などの導入についても、令和2年度第3次補正予算や地方創生臨時交付金等を活用し、すでに公共交通機関等においても導入を支援させていただいております。

 


<岸田総理にアベノミクス評価を問う>
 岸田総理の答弁に驚きました。アベノミクスの自慢話の中で、まぁ、さっきもありましたけれども、六重苦と言われた旧民主党政権の経済苦境とか、民主党政権の失敗から学んだとか、まるで安倍元総理が乗り移ってるようで、全然、岸田さんらしくないですよ。〈拍手〉

民主党政権はたったの3年ですよ! もう10年近く経つのに、まだ、民主党の悪口を言わないと正当化できないんですか?〈拍手〉 結局悪口を言っただけで、アベノミクスの評価にはストレートに答えませんでした。

総理、アベノミクスは成功したんですか? 失敗したんですか?
 はっきりご答弁ください。



(岸田総理 答弁)
 アベノミクスと賃金の推移についてお尋ねがありました。アベノミクスによってデフレでない状況を作り出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。わが国経済の成長そして体質強化に、大きな役割を果たしました。


 

<賃金の長期低下は自民党政治過去20年間の責任>
過去20年間、需給の変化、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス‥‥、主要先進国6カ国では60から80%増加しました。しかし、日本だけが9%も下落してるんです。庶民の暮らしが苦しいままでは、経済が良くならないのはあたりまえじゃないですか。

この20年間のうち、ほとんどの期間が自民党政権でした。

主要先進国が大幅に時給を増加させている中で、なぜ日本だけが時給が上がらずマイナスになったのでしょうか? 総理、その理由をどう分析されていますか? お答えください。


(岸田総理 答弁)
賃金については、OECDの時給のデータによれば過去20年の変動率はマイナスですが、2012年以降の8年間ではプラス2%に転じております。賃金が伸び悩んでいるのは、雇用が増加する中で、相対的に賃金水準の低いパートで働く方の比率が上昇したことなどが要因となった、と考えております。

今後とも、最大の目標であるデフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努め、そのうえで成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指してまいります。

 働く人への分配機能の強化、看護・介護・保育などの現場で働いている方々の収入増などを通じ、成長の果実をしっかりと分配し広く国民の所得を上げていくことで初めて、次の成長が実現いたします。成長も分配も実現するために、官と民が共に役割を果たしながらあらゆる政策を動員いたします。




   <給与解説> 上の総理答弁では、私たち個々の生活収入の判断材料になりませ
  ん。人それぞれが自分個人の生活収入は社会生活の中でどのような位置にある
  のか。それを知りたい。

    私たちにとってわかりやすい判断材料の一つに、「国税庁給与実態調査結果」
  という統計があって、給与についていろいろな観点から見た統計を数々見るこ
  とができます。毎年公表されていて、最新の令和2年度版は9月に公開された
   ばかりです。

   ここでは「平均給与 1年勤続者」の項目を閲覧しました。

    事実は、国民一般の平均給与年収は、1998(H10)年 4,648千円 下げ始めから、
   2009(H21)年 4,059千円 下げ止まりまでの12年間、下落一方。その後は少し
   回復して今に至るまで低迷中です。なんということか。あらためて数字を見
     見ると情けなくなります。



 ●「国税庁給与実態調査結果」で事実検証
  毎年公開されていて、評論家や報道記者がしばしば引用している国税庁民間給
  与実態調査結果「平均給与」を見ます。

  平均給与の統計項目は、
 「1年勤続者」と「1年未満勤続者」の2分類になっています。
  1年勤続者には、
  正規雇用者と1年または1年未満の短期非正規雇用者のうち少数の再雇用
  契約者が入っているものと思います。
  1年未満勤続者は、
  非正規の派遣社員・アルバイト・パートタイマー契約者が中心でしょう。

  「1年勤続者」の平均給与を見てみました。延々と増えつづけてきた1年勤
    続者平均給与年収は1997(H09)年4,673千円がピークでした。

 ・1997(H09)年 4,673千円  この年がピーク
 ・1998(H10)年 4,648千円  この年から、下がりっぱなし
 ・2008(H20)年 9月、米国リーマン投資銀行経営破綻、世界金融危機始まる
 ・2009(H21)年 4,059千円  この年、底打ち
 ・2010(H22)年 4,120千円
 ・2011(H23)年 4,090千円、3月 東日本大震災、
                  東電福島第一原発、世界最大級の原発事故
 ・2012(H24)年 4,080千円
 ・2013(H25)年 4,136千円
 ・2014(H26)年 4,150千円
 ・2015(H26)年 以後、4,200千円台~4,300円台で低迷したまま
 ・2020(R02)年 4,331千円 この年で ピーク4,673千円から23年経過


   ● 長期下落期間12年、全期間自民党政治
  1998(H10)年4,648千円下げ始め~2009(H21)年4,059千円下げ止まり、
   下落進行12年間はすべて自民党政治です。(※2009年9月まで、すなわち
  2009暦年第3四半期までは自民党麻生太郎政権なので、2009年は自民党
  政治1年間に勘定しました。)


   ● 底辺低迷期6年 うち自民党政治3年、民主党政治3年
 4,000千円台と4,100千円台を底辺低迷と見れば、底辺低迷期2009(H21)年
  4,059千円~2014(H26)年4,150千円は6年間。このうち2009年、2010年は  
 リーマンショック打撃期間であり、2011年、2012年は東日本大震災・東電福
 島第一原発災害の打撃期間という特殊事情がありました。(※うち民主党政治
 は2009.09.16.~2012.12.26)


   ● 持ち直し低迷期6年
 4,200千円台と4,300千円台を持ち直し低迷と見れば、持ち直し低迷期2015
 (H27)年4,204千円~2020(R02)年4,331千円は6年間。ただし、うち2018年
 は4,407千円です。


   < 結 論 >
 給与実態調査の平均給与を見ていると、ピーク時1997(H09)年4,673千円から
 2000(H12)年4,610千円まで4年間は4,600千円台です。

 それからは2001(H13)年4,540千円、2002(H14)年4,478千円と、平均給与は
 ポンポンと足早に下落していきました。

 この時の総理大臣を確認してみるとやはり‥‥。2001.4.16.~2006.9.26.の
 総理大臣は、ライオン宰相小泉純一郎氏でした。

 小泉純一郎総理(当時)は学者自称の政商・竹中平蔵を大臣に登用し参議院
 議員への道を開きました。そして彼を使って日本に新自由主義経済(=市場原理
 主義経済)を定着させました。

 彼はまた、安倍晋三を自民党幹事長に抜擢登用して、安倍総理への道を開きま
 した。まことに類は類を呼ぶ、であります。

 給与実態調査結果を見れば、長年月にわたる自民党政治が、国の赤字を増やし
 てまで財政資金を産業経済や金融経済のために浪費し、代わりに消費税率を上
 げて税収を増やし、労災保険負担率・健康保険負担率・医療費負担率・年金積
 立負担率などを上げ、介護保険料賦課を新設し、給与年収を目減りさせてきた
 のです。私たちの平均給与年収が年々、減りつづけていたにもかかわらず。




 

<弱肉強食、市場原理万能の新自由主義から決別するのか? しないのか?>
総理は、新自由主義からの転換を高らかに主張されていたと思いますが、このかんの答弁で、本当に転換する気があるのかどうか、よくわからなくなってきました。

弱肉強食、市場原理万能の新自由主義から決別するのですか? しないのですか? どちらなのか、はっきりとご答弁ください。

新自由主義からの決別をわかりやすく示すならば、新自由主義の旗振り役であると多くの国民が認識している竹中平蔵氏と決別することをお勧めします。〈拍手〉 総理、いかがですか?
  

(岸田総理 答弁)
新自由主義についてお尋ねがありました。 新自由主義的な政策にはさまざまな捉え方があると思いますが、市場原理あるいは競争原理に偏重したという評価が多くあります。

私が目指すのは、そうした、単に市場や競争だけに任せるのではなくして、官と民が共に役割を果たしながら成長を実現し、そしてその果実を、できる限り多くの方々に所得という形で実感していただける社会です。そうした社会に向けて、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現してまいります。




<官邸直属の規制改革推進会議、国家戦略特区ワーキンググループについて> 
また国の政策に大きな影響を及ぼしてきた規制改革推進会議、国家戦略特区ワーキンググループなど、いわゆる官邸会議の構成員は選挙で選ばれたわけでもなければ、利益相反や守秘義務について定めた国家公務員倫理規定が、必ずしも適用されません。このような無責任な体制を改めるべきではありませんか? 総理の見解を伺います。


(岸田総理 答弁)
人事にかかわるご質問がありました。 人事にかかわるお答えは差し控えるべきだと思いますが、ご指摘の規制改革推進会議や国家戦略特区ワーキンググループについては透明性の確保に努めるなど法令にのっとりオープンなプロセスで進められており、これは、無責任というご指摘は当たらないと考えております。




<総理の言う「分配」政策の一環として庶民減税を提案する>
総理、分配を重視するというならば、なぜ庶民減税を行わないんですか? 立憲民主党は消費税5%の時限的減税、所得税の減税を提案しています。分配のために減税をすべきではないですか? なぜ減税を行わないのですか? 理由をお答えください。


(岸田総理 答弁)
消費税・所得税の減税、後期高齢者の窓口負担の見直し及び児童手当の見直しについてお尋ねがありました。

消費税については、社会保障にかかる費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面消費税について触れることは考えておりません。 所得税の減税については、所得税を負担されていない低所得者の方には効果が及ばない等の課題がある、と考えております。




<後期高齢者保健制度の窓口負担増について>
分配を重視するというのであれば、負担増は厳に慎むべきではないでしょうか。
来年度後半からは後期高齢者の窓口負担が2倍になります。


(岸田総理 答弁)
すべての世代の方々が支え合い安心できる持続可能な全世代型社会保障の構築は待ったなしの課題です。前通常国会で成立した75歳以上の高齢者の方の窓口負担割合の見直しに当たっては、経過的に負担増を抑える措置を講ずることとしており、こうした措置を含め法律の円滑な施行に努めてまいります。
 

 

<児童手当の所得制限中止を願う>
来年の10月からは児童特別給付の削減が行われ、新たに所得制限が設けられます。

若い人たちから、「子育てと両立しながら綱渡りで一生懸命働いて、税金・保険料もまじめに納めているのに、働いて収入が増えると児童手当さえも削られる。なんでこんないじめを受けなきゃいけないんだ」という怒りの声が数多く寄せられました。これらは我々の反対を押し切って決められましたが、(※児童特別給付削減と児童手当所得制限の)いずれも中止べきではないですか? 総理の明快なご答弁を求めます。


(岸田総理 答弁)
年収1200万円以上の者に対する月額5000円の児童手当の見直しは総合的な少子化対策の中で全体のバランスを考えて行うものであり、ご理解をいただきたいと考えております。



<消費税納税に関するインボイス制度の中止を願う>
中小・小規模事業者への追い打ちも止めてください。消費税10%への増税の言い訳として、軽減税率が採用され、インボイス制度の導入が予定され、今月から申し込みが始まっています。

地域の中小事業者や税理士会からは、インボイス制度で取引過程から排除されたり廃業を迫られたりする免税事業者が生じているという、とりわけ中小・小規模事業者にとっては、インボイスの発行保存にかかるコストが大きな負担になるといった問題が指摘されています。中止してほしい、という要望も地元でたくさん受けています。総理、どう対応されるのでしょうか? 


(岸田総理 答弁)
インボイス制度について、お尋ねがありました。 インボイス制度は普通税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から免税事業者を含めた事業者の準備のため、計減税理宇の実施から10年間の十分な経過措置を設けています。今後とも、制度の円滑な移行に向けて周知、広報など必要な取り組みを進めてまいります。




<クリーンエネルギー成長戦略とはどういうものか?>
ところで、所信表明の中にあったクリーンエネルギー成長戦略とは、どのようなものなのでしょうか? 総理、昨年の12月に2050カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略は策定済みですが、クリーンエネルギ成長戦略とグリーン成長戦略はどのように違うのでしょうか? お答えください。いや多分、原発を推進するっていう意味じゃないかと、私は思っているんですけど。


(岸田総理 答弁)
クリーンエネルギー戦略とグリーン成長戦略について、お尋ねがありました。 気候変動対策は地球規模であり、かつ喫緊の課題です。岸田政権においても、2050年カーボンニュートラルや2030年のマイナス46%という削減目標を維持し、その実現に向けてエネルギー政策や成長戦略策定をしてまいります。

グリーン成長戦略に基づき、すでに2兆円のグリーンイノベーション基金などを活用して、大規模水槽サプライチェーンの構築に必要な研究開発の社会実証に向けた具体的な動きが始まっております。

2050年カーボンニュートラルや2030年の46%という削減目標の実現に当たっては、温暖化対策のみならず電力価格の抑制や(※電力)安定供給の観点から、1本足打法というのは現実的ではありません。そのため再エネのみならず原子力、水素など、あらゆる選択肢を追及することで、将来にわたって安定的で安価なエネルギー供給を確保し、さらなる経済成長につなげていく――これが、このクリーンエネルギー戦略の主旨であります。

グリーン成長戦略、エネルギー基本計画をふまえつつ、こうしたクリーンエネルギーの選択肢をしっかりと追及し経済成長につなげていく――この戦略策定をしていきたいと思います。これにより野心的な削減目標の実現を目指すとともに、国民生活の向上と企業投資の後押しを強力に推進してまいります。

(注 : 40年超過原子炉の再稼働を含む原発政策は旧来通り、ということです。)



 <少子化対策は国の存続にかかわる重要課題>
総理の所信表明には人口減少という言葉がありませんでした。2020年の出生数は84万人。これは国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口より3年も早いペースです。

ちょうど12年前、民主党政権の時期は第二次ベビーブーム世代はギリッギリッ出産適齢期でした。少子化人口減少を食い止める最後のチャンスでした。

民主党政権では子ども手当を創設しましたが、当時の野党・自民党からは子育ては自己責任だろう? バラマキだ、と猛烈な批判を受け、子ども手当は頓挫しました。

安倍元総理は、子ども手当によって民主党が目指しているのは、財政を破綻させることだけではなく、子育てを家族から奪い取り、国家や社会が行う子育ての国家化・社会化です、これは実際にポルポトやスターリンが行おうとしたことです、などと、ばかばかしい批判を展開しました。

第3次ベビーブーム(注:第2次ベビーブーム世代による出産ブーム)は幻に終わりました。自民党の責任じゃないんですか? 

これからは親になる世代の人口が少なくなります。これから出生率が上がったとしても出生数を増加に転じさせることは極めて困難です。この冷徹な事実を総理は認識していますか? 国の存続の危機ではないですか。総理の認識をお答えください。

私たち立憲民主党はチルドレンファースト、社会全体で子どもの育ちを支えるという理念のもと、子ども子育ては予算を倍増します。子ども省を創設します。出産費用を無償化します。児童手当の所得制限撤廃と対象の拡大を行い、義務教育の学校給食を無償化、高校授業料の無償化所得制限を撤廃します。まだまだ、あります。

従来の自民党の考え方を転換しないと、このような大胆な政策は実現できません。安倍元総理が乗り移っているように見える岸田総理にできますか? 明快な答弁を求めます。


(岸田総理 答弁)
子ども政策と地域の人口減少についてのお尋ねがありました。 戦後、わが国の合計特殊出生率は低下傾向となっています。特に今般の出生数や婚姻数の減少については、新型コロナの感染が拡大する中で多くの方が日常や将来に不安を感じ、結婚行動や妊娠行動に少なからず影響を及ぼした可能性があるものと、認識をしています。

こうした長年にわたるわが国の課題である少子化対策、さらには人口減少、こうした課題も含めて、子どもをめぐるさまざまな課題に適切に対応するため、子ども目線に立って、縦割りを排した行政を進めていかなければなりません。こうした行政のあり方について年末までに基本方針を決定し、可能であれば来年の通常国会に法案を提出するというスケジュールを念頭に検討を進めてまいります。



<地域に根ざした人口減少対策について>
また、地域に根ざした農林水産業、中小・小規模事業者の後継者不足などが深刻です。総理はこうした地域の人口減少にどのように向き合いますか? 

私たちは地域の潜在力を生かした自然エネルギー立国、多面的機能を十分に発揮できる農林水産業、農山漁村など、地方が活力に満ち溢れるような産業政策を実現していきます。

 (岸田総理 答弁)
地域の人口減少への対応として、農林水産業分野では農林水産業の成長産業化を進めるとともに、新規就農等を支援してまいります。併せて中小企業等の後継者不足に対応するため、マッチング支援等による円滑な事業承継を進めてまいります。




<野田聖子大臣にお聞きします>
岸田総理は多様性が尊重される社会を目指すと言いながら、選択的夫婦別姓、LGBT、ジェンダー平等について、ほとんど意味のない答弁を繰り返しています。

どうなってるんですか? それでいいんですか? 自民党は、選挙公約から選択的夫婦別姓という言葉さえ削除しました。賛成の人と反対の人の意見をよく聞いて、反対の人の言うことを聞いたっていうことなんですかね。


(野田聖子国務大臣 答弁)
 地方創生、少子化対策、男女共同参画、特命担当大臣
(女性活躍担当、こども政策担当、孤独・孤立対策担当)

森議員にお答えします。 岸田総理は、多様性が尊重され、すべての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、しっかりと取り組みをを進めると述べており、同じ内閣の一員として多様性が尊重される社会を目指してまいります。

選択的夫婦別姓制度を含む夫婦の氏のあり方については、昨年末閣議決定をした「第5次男女共同参画基本計画」において、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながらさらなる検討を進めることとしており、男女共同参画や女性活躍の推進の観点から、私は担当大臣としてしっかりと進めていきたいと考えています。

また、性的指向及び性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないことなど、共同参画が日本政府の重要かつ確固たる方針です。また、国際社会で共有されている規範です。

「第5次男女共同参画基本計画」及び今年の6月に策定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」に基づき、政府全体として全力で推進してまいります。




<憲法に「緊急事態条項」がないので、コロナ対策がうまくいかないのですか?>
参議院予算委員会の小話をさせてください。昨年1月29日、武漢からチャーター機で初めて邦人が帰国したとき、まだコロナ政府対策本部を設置されていませんでした。昼休みに当時の加藤厚労大臣に、なぜ設置しないのか聞いたところ、親が聞いてくれない、森先生から働きかけてほしい、と頼まれ、午後の審議開始直前、翌日に対策本部を設置することが大臣席でのミニ閣議で決まりました。加藤さんからはたいへん感謝され、私は一つ貸しなぁと言いました。〈議場笑い〉

感染症にいる装置の施工日前倒しも最高裁の判例を探してサポートしました。マスクの買い占め、高値転売防止に使える法律を提案した時には、衛藤消費者担当大臣がわざわざお礼に来られました。

誤解していただきたくないんですが、私は野党の働きに感謝をしろとか、もっと褒めてくれと言ってるわけじゃないんです。政府対策本部の設置に始まり、法律の適用、現金給付の法案などなどなどなど、実は手を取り足を取り、野党がお尻を叩きながら、後手後手であってもなんとか対策を実施してきたのが実情なんです。〈拍手〉

しかし自民党からはことあるごとに、憲法に緊急事態条項がないからコロナ対策がうまくいかないと言われました。

冗談でしょう。こんな無能な政権に、国会の審議なしに法律と同一の効力を持つ緊急政令の制定権を認める緊急事態条項などを与えたら、一体どうなってたでしょう。

憲法改正の口実が欲しかったとしても、あまりにもお粗末です。総理はご自身の考えとして憲法改正時に緊急事態条項の創設をどうしても進めたいのですか? お答えください。

 (岸田総理 答弁)
緊急事態条項の創設など憲法改正について、お尋ねがありました。 憲法改正については国会でお決めいただくことであり、この具体的な内容について内閣総理大臣としてお答えすることは控えますが、さまざまな論点について建設的な議論を重ね、主権者である国民の皆さまの理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないか、と考えております。

今回の新型コロナウイルス感染症への対応を受けて緊急事態への関心が高まるなか、与野党の枠を超えてこれまで以上に、活発な議論が行われることを期待いたします。



<北朝鮮拉致問題について>
2002年7月17日に北朝鮮が拉致を認め、5名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、ただの一人も拉致被害者の帰国は実現せず、拉致被害者の方々の消息に関する新たな情報もなく、なんの道筋もつけられないまま19年が経過しました。

私は2005年に横田めぐみさんのご両親と一緒に韓国の故金泳三(キムヨンサム)元大統領のご自宅で金正日(キムジョンイル)総書記のナンバー2で北朝鮮から亡命した黄長燁(ファンジャンヨプ)氏と会談しました。

北朝鮮が死亡と発表していた拉致被害者が生きている。めぐみさんは生きていると確信しました。残念ながら横田滋(しげる)さんは昨年帰らぬ人となり、お元気なうちにめぐみさんと再会してほしいというみんなの願いは叶いませんでした。今は拉致問題の解決に一刻の猶予もないという言葉の重みを紹介しています。

このたびの生方衆議院議員のまことに許しがたい発言について、立憲民主党拉致問題対策本部長として心からお詫びを申し上げます。

 (注 : 立憲民主党の生方幸夫衆議院議員が9月に千葉県松戸市で開いた市民との対話集会で「北朝鮮に連れ去られた拉致被害者はもう生きている人はいない」と発言した。このことについて家族会などから抗議を受け、生方氏はみずからの発言を認めたうえで発言を撤回し謝罪した。)

立憲民主党は昨年の結党後ただちに拉致問題対策本部を立ち上げ、私が本部長となり、枝野代表にも参加していただき、これまで家族会、救う会、特定失踪者問題調査会、関係者の皆さまからしっかりとお話を伺い、緊密に連携を取り、運動を共にしてまいりました。

我々は拉致被害者が生存していると信じています。北朝鮮による拉致問題は主権と人権の重大なる侵害であり、早期にすべての拉致被害者が帰国できるよう全力で取り組んでまいります。

総理はご自身が外務大臣を務められた時期もあったこの間、拉致問題について何の成果も得られなかった事実をどのように総括されていますか? そのうえで、どのようにしたらこの状況を打開できるとお考えですか? 具体的にお答えください。 拉致問題は最重要課題であるはずなのに、なぜ専従の担当大臣を置かないんでしょうか? 横田早紀江(さきえ)さんは、いつまでたっても本気でないのかなぁと落胆されています。総理の見解を伺います。


(岸田総理 答弁)
北朝鮮への対応についてお尋ねがありました。 私が外務大臣時代の北朝鮮とのやりとりの詳細については控えますが、北朝鮮との関係において2014年、当時のアジア大洋州局長をストックホルムに派遣し、北朝鮮とのぎりぎりの交渉を行いストックホルム合意を成立させるなど、さまざまな取り組みを試みてまいりました。

私の内閣においても、拉致問題は最重要課題です。 拉致被害者のご家族がご高齢となるなか、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。私自身、就任後さっそく、米中露など各国首脳との電話会談を行い、拉致問題について直接定期をいたしました。米国バイデン政権をはじめとした関係国と緊密に連携しつつ、私自身、金正恩委員長と直接向き合うチャンスを逃さず、全力で取り組んでまいります。

拉致問題担当大臣については、政府一丸となった取り組みが重要であり、そうした観点から内閣官房長官に兼務させることといたしました。


(注)金正恩氏の現在の地位名は、朝鮮労働党総書記・朝鮮労働党軍事委員会委員長、        国務委員会委員長・国家武力最高司令官。 



<内閣総理大臣が質問にまともに答えない、これこそが民主主義の危機>
岸田総理は、今まさにわが国の民主主義そのものが危機にあると訴えてこられました。

安倍元総理の118回の国会虚偽答弁や公文書の改ざんが行われ、自殺者まで出たのに、政治家が誰も責任を取らないことは民主主義の危機か?という辻元清美衆議院議員の極めて具体的な質問に対して総理はこう答えられました。

「国民の声が政治に届かない。政治の説明が国民の心に響かない。こういった状況を捉えて、今まさにわが国の民主主義そのものが危機である。このように申し上げた次第です」

意味がわかりません。このように、国会において内閣総理大臣が質問にまともに答えない。これこそが民主主義の危機ではないですか? 総理、明確にお答えください。



<2019参院選広島で元法務大臣が業者を雇って
 対立候補イメージ悪化狙いのネット投稿をさせた>

河井案里前参議院議員の裁判の過程で、河井克行元法務大臣が業者を雇い、架空の人物を名乗ったブログ記事で、対立候補のイメージ悪化を狙って投稿するなどのネット工作を行ったことがわかりました。

日本でも、選挙で勝つために、お金を使い業者を雇ってネット工作をやっているという事実は、陰謀論の類と思っていたが本当だったのかと、人々を驚かせました。しかも(注:実行当時)自民党の法務大臣です。 これは民主主義の危機ではないですか?  総理、お答えください。




<2019参院選広島 河井陣営に送金された自民党資金1億5000万円の使途>
自民党本部から河井陣営に渡った政党交付金を原資とする1億5千万円がネット工作による世論操作に使われていたとすれば、選挙という民主主義の根幹を税金を使って歪めたことになります。    総理、1億5千万円がネット工作に使われていなかったと断言してください。



<野党攻撃専門の著名ツイッターDappiは個人ではなかった
 正体は自民党を顧客とする企業だった>

お答えください。
今、同僚の小西洋之(ひろゆき)参議院議員が行った発信者情報開示手続きにより重要な問題が明らかになってきました。

国会質疑の動画を編集して本来の意図とは全く違う内容のフェイクニュースを作り上げ、拡散し、野党を攻撃してきたツィッターアカウントの運営者が法人であることがわかりました。しかもバズフィードニュースの調査によれば、その法人は自民党の議員や自民党の支部との取引があることもわかりました。

まもなく解散総選挙が行われます。総理、今回の選挙では、お金を使ってネット工作を行い、選挙の結果を不当に歪めるような卑劣な行為を自民党の議員に行わせないと、この場でお約束いたただけませんか? 総理の明確なご答弁をお願いします。〈拍手〉


(岸田総理 答弁)
民主主義の危機等についてお尋ねがありました。
 一昨日の衆議院本会議では、民主主主義について説明させていただきました。

合わせて国民の信頼と共感を最優先する政治姿勢を堅持し、ていねいな対話を重ねることで真に国民がしようとする政策に取り組んでいくことによってのみ、民主主義の危機は乗り越えられていけるものと信じていることも申し上げたところであります。私自身、自分のことばでていねいに説明させていただいた、と考えております。

また、選挙運動や政治活動については公職選挙法などに定めがあります。わが党の議員に限らず、それぞれの議員や候補者がそれらのルールに従って発信をし、選挙運動を行い、政治活動を行うべきであるということ――これが当然のことである、と考えます。



(森ゆうこ立憲民主党副代表・参議院議員)
今だけ金だけ自分だけであります一部の人だけが得をする忖度政治はもう止めましょう。政治を変えるのは、主権者の皆さんです。そう訴えて、この場での質問を終わります。ありがとうございました。〈拍手〉


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2012.10.13.参議院本会議
森ゆうこ立憲民主党参院議員による参議院本会議代表質問に対する
岸田文雄内閣総理大臣の答弁 文字起こし全文


(岸田文雄内閣総理大臣)

森ゆうこ議員の質問にお答えいたします。 

 新型コロナ対策の予算についてお尋ねがありました。新型コロナの感染が落ち着いている今こそさまざまな事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。

医療提供体制については、病床・医療人材の確保、在宅療養者に対する対策など対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう、コロナ病床が十分に稼働しなかったことなどこの夏の反省も踏まえ、今週中にその骨格をお示しいたします。

国民の切実な声を踏まえ、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定いたします。総選挙後、速やかに決定して補正予算を提出いたします。また、補正予算成立までの間も、授業や雇用、暮らしを守るための支援に万全を期していくとともに、必要な対策を新型コロナ予備費などを柔軟に活用してまいります。

総選挙後速やかに、こうしたコロナ対策、あるいは経済対策、思い切って行うために、早期にこの総選挙をお願いすることを表明させていただいた次第であります。
 
 
 
 
 
 

臨時の医療施設の開設等についてお尋ねがありました。 

臨時の医療施設については、地域の実情を踏まえ各都道府県において開設いただくものであり、全国各地で設置が進んでおり、現在25都道府県の45施設となっております。

この夏に病床がひっ迫した状況も踏まえ、新型コロナの感染が落ち着いている今こそ、さまざまな事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。

医療提供体制については、病床と医療人材の確保へ在宅療養者に対する対策など対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう、今週中にその骨格を示させていただきます。

その中で臨時の医療施設や医療人材の確保にもしっかりと取り組んでまいります。


また、ご指摘の政策については、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため、地域での合意を踏まえ、実質的に行われる病床の減少に対する支援を行うものです。開始初年度である昨年度に支給対象となった公立・公的病院の病床数は約1100床、支給額は約20億円であります。

いずれにしても、公立・公的病院の在り方については、病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ地方自治体と連携して検討を進めてまいります。


科学的知見に基づく新型コロナ対策についてお尋ねがありました。 

昨年4月にWHOが新型コロナの感染経路に関する見解として特に、室内の密集した空間等でのエアロゾル感染のリスクについて発表しており、わが国としてもそうした知見を踏まえて対応してまいりました。

 議員が提案された不織布マスクの装着方法や具体的な換気の手順についてはすでに国民に周知しているところです。

 また、ご提案の熱交換換気装置などの導入についても、令和2年度第3次補正予算や地方創生臨時交付金等を活用し、すでに公共交通機関等においても導入を支援させていただいております。


アベノミクスと賃金の推移についてお尋ねがありました。 

アベノミクスによってデフレでない状況を作り出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。わが国経済の成長そして体質強化に、大きな役割を果たしました。

賃金については、OECDの時給のデータによれば過去20年の変動率はマイナスですが、2012年以降の8年間ではプラス2%に転じております。

賃金が伸び悩んでいるのは、雇用が増加する中で、相対的に賃金水準の低いパートで働く方の比率が上昇したことなどが要因となった、と考えております。

今後とも、最大の目標であるデフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努め、そのうえで成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指してまいります。

働く人への分配機能の強化、看護・介護・保育などの現場で働いている方々の収入増などを通じ、成長の果実をしっかりと分配し広く国民の所得を上げていくことで初めて、次の成長が実現いたします。成長も分配も実現するために、官と民が共に役割を果たしながらあらゆる政策を動員いたします。


新自由主義についてお尋ねがありました。 

新自由主義的な政策にはさまざまな捉え方があると思いますが、市場原理あるいは競争原理に偏重したという評価が多くあります。

私が目指すのは、そうした、単に市場や競争だけに任せるのではなくして、官と民が共に役割を果たしながら成長を実現し、そしてその果実を、できる限り多くの方々に所得という形で実感していただける社会です。そうした社会に向けて、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現してまいります。


また、人事にかかわるご質問がありました。 

人事にかかわるお答えは差し控えるべきだと思いますが、ご指摘の規制改革推進会議や国家戦略特区ワーキンググループについては透明性の確保に努めるなど法令にのっとりオープンなプロセスで進められており、これは、無責任というご指摘は当たらないと考えております。


そして消費税・所得税の減税、後期高齢者の窓口負担の見直し及び児童手当の見直しについてお尋ねがありました。 

消費税については、社会保障にかかる費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面消費税について触れることは考えておりません。

所得税の減税については、所得税を負担されていない低所得者の方には効果が及ばない等の課題がある、と考えております。


すべての世代の方々が支え合い安心できる持続可能な全世代型社会保障の構築は待ったなしの課題です。前通常国会で成立した75歳以上の高齢者の方の窓口負担割合の見直しに当たっては、経過的に負担増を抑える措置を講ずることとしており、こうした措置を含め法律の円滑な施行に努めてまいります。


年収1200万円以上の者に対する月額5000円の児童手当の見直しは総合的な少子化対策の中で全体のバランスを考えて行うものであり、ご理解をいただきたいと考えております。


(※消費税の)インボイス制度について、お尋ねがありました。 

インボイス制度は普通税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から免税事業者を含めた事業者の準備のため、軽減税率実施から10年間の十分な経過措置を設けています。今後とも、制度の円滑な移行に向けて周知、広報など必要な取り組みを進めてまいります。


クリーンエネルギー戦略とグリーン成長戦略について、お尋ねがありました。
 
 気候変動対策は地球規模であり、かつ喫緊の課題です。岸田政権においても、2050年カーボンニュートラルや2030年のマイナス46%という削減目標を維持し、その実現に向けてエネルギー政策や成長戦略策定をしてまいります。

グリーン成長戦略に基づき、すでに2兆円のグリーンイノベーション基金などを活用して、大規模水槽サプライチェーンの構築に必要な研究開発の社会実証に向けた具体的な動きが始まっております。

2050年カーボンニュートラルや2030年の46%という削減目標の実現に当たっては、温暖化対策のみならず電力価格の抑制や(※電力)安定供給の観点から、1本足打法というのは現実的ではありません。

 そのため再エネのみならず原子力、水素など、あらゆる選択肢を追及することで、将来にわたって安定的で安価なエネルギー供給を確保し、さらなる経済成長につなげていく――これが、このクリーンエネルギー戦略の主旨であります。

グリーン成長戦略、エネルギー基本計画をふまえつつ、こうしたクリーンエネルギーの選択肢をしっかりと追及し経済成長につなげていく――この戦略策定をしていきたいと思います。

これにより野心的な削減目標の実現を目指すとともに、国民生活の向上と企業投資の後押しを強力に推進してまいります。


子ども政策と地域の人口減少についてのお尋ねがありました。 

戦後、わが国の合計特殊出生率は低下傾向となっています。特に今般の出生数や婚姻数の減少については、新型コロナの感染が拡大する中で多くの方が日常や将来に不安を感じ、結婚行動や妊娠行動に少なからず影響を及ぼした可能性があるものと、認識をしています。

こうした長年にわたるわが国の課題である少子化対策、さらには人口減少、こうした課題も含めて、子どもをめぐるさまざまな課題に適切に対応するため、子ども目線に立って、縦割りを排した行政を進めていかなければなりません。

こうした行政のあり方について年末までに基本方針を決定し、可能であれば来年の通常国会に法案を提出するというスケジュールを念頭に検討を進めてまいります。
 
また地域の人口減少への対応として、農林水産業分野では農林水産業の成長産業化を進めるとともに、新規就農等を支援してまいります。併せて中小企業等の後継者不足に対応するため、マッチング支援等による円滑な事業承継を進めてまいります。


緊急事態条項の創設など憲法改正について、お尋ねがありました。 

憲法改正については国会でお決めいただくことであり、この具体的な内容について内閣総理大臣としてお答えすることは控えますが、さまざまな論点について建設的な議論を重ね、主権者である国民の皆さまの理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないか、と考えております。

今回の新型コロナウイルス感染症への対応を受けて緊急事態への関心が高まるなか、与野党の枠を超えてこれまで以上に、活発な議論が行われることを期待いたします。


北朝鮮への対応についてお尋ねがありました。 

私が外務大臣時代の北朝鮮とのやりとりの詳細については控えますが、北朝鮮との関係において2014年、当時のアジア大洋州局長をストックホルムに派遣し、北朝鮮とのぎりぎりの交渉を行いストックホルム合意を成立させるなど、さまざまな取り組みを試みてまいりました。

私の内閣においても、拉致問題は最重要課題です。拉致被害者のご家族がご高齢となるなか、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。

私自身、就任後さっそく、米中露など各国首脳との電話会談を行い、拉致問題について直接定期をいたしました。米国バイデン政権をはじめとした関係国と緊密に連携しつつ、私自身、金正恩委員長と直接向き合うチャンスを逃さず、全力で取り組んでまいります。

(注)金正恩氏の現在の地位名は、朝鮮労働党総書記・朝鮮労働党軍事委員会委員長、国務委員会委員
   長・国家武力最高司令官。

拉致問題担当大臣については、政府一丸となった取り組みが重要であり、そうした観点から内閣官房長官に兼務させることといたしました。


民主主義の危機等についてお尋ねがありました。 

一昨日の衆議院本会議では、民主主主義について説明させていただきました。合わせて国民の信頼と共感を最優先する政治姿勢を堅持し、ていねいな対話を重ねることで真に国民がしようとする政策に取り組んでいくことによってのみ、民主主義の危機は乗り越えられていけるものと信じていることも申し上げたところであります。

私自身、自分のことばでていねいに説明させていただいた、と考えております。

また、選挙運動や政治活動については公職選挙法などに定めがあります。わが党の議員に限らず、それぞれの議員や候補者がそれらのルールに従って発信をし、選挙運動を行い、政治活動を行うべきであるということ――これが当然のことである、と考えます。


残余の質問につきましては、関係大臣(※野田聖子国務大臣)から答弁をさせます。


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○参議院議長 野田聖子国務大臣


○内閣府特命担当大臣 野田聖子
 (地方創生、少子化対策、男女共同参画)
  女性活躍担当、こども政策担当、孤独・孤立対策担当

 
(野田聖子内閣府特命担当大臣)

森議員にお答えします。

岸田総理は、多様性が尊重され、すべての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、しっかりと取り組みをを進めると述べており、同じ内閣の一員として多様性が尊重される社会を目指してまいります。

選択的夫婦別姓制度を含む夫婦の氏のあり方については、昨年末閣議決定をした「第5次男女共同参画基本計画」において、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながらさらなる検討を進めることとしており、男女共同参画や女性活躍の推進の観点から、私は担当大臣としてしっかりと進めていきたいと考えています。

また、性的指向及び性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないことなど、共同参画が日本政府の重要かつ確固たる方針です。また、国際社会で共有されている規範です。

「第5次男女共同参画基本計画」及び今年の6月に策定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」に基づき、政府全体として全力で推進してまいります。


                   以上で、この稿終わりです
 
     
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