きょう10月28日午前、ポストに日本維新の会の選挙ビラが入っていました。A3裏表カラー刷りです。
片面の紙面右肩4分の1に、日本維新の会副代表・吉村大阪府知事の胸像写真。「吉村」ページです。トップに「維新はやる。」と大きな文字。これだけが目に残るレイアウトが効果的です。
もう一つの片面左肩に小さい写真で、日本維新の会代表・松井大阪市長。「松井ぺージ」です。
【1】(吉村ページ)
「維新はやる。」と言うが、「維新がやった」大阪都構想の話をしよう。
一枚看板政策「大阪都構想」の承認を求めて2015年、住民投票1回目、否決。
住民投票は民主主義における最上位の民意反映制度です。
維新の会は、1回目は小差だったという理屈で、民意を踏みにじった。
2020年11月1日、住民投票2回目。また否決。
3回目、2021年3月。今度は吉村維新府知事と松井維新市長が奇策に出た。
大阪府議会・市議会の維新・公明連合で「大阪都構想」代替の条例を可決した。
こうして、大阪市住民投票2回の民意は、大阪湾の藻屑と消えた。
日本維新の会は、わが国の政党の中で「民意無視」チャンピオンです。
「維新はやる。」ということは、こういうことなんです。
これが維新の性格、すなわち党風を現している。
こういう政党は信頼できない。
【2】(松井ページ&吉村ページ)
吉村ページで、「年金制度はすでに機能不全、古い仕組みではもう限界」と、大きくスペースを取っている。もう一つの片面、松井ページでは「無年金問題と格差を解消」、「最低所得補償制度、給付つき税額控除またはベーシックインカムの導入」とある。
この選挙ビラでは裏表ともに半分の紙面で「年金制度の先行き不安」を訴えている。
ここでいう年金問題は、国民年金(厚生年金制度では老齢基礎年金)のことです。年金は満20歳から満60歳まで40年間支払いつづけることで最高額の支給を受けられます。
このうち国民年金支給はひと月当たり、一人につき約6万円。国民年金については6万円より少ない人が大多数で、2万円とか3万円の人は数多く、無年金の人も数多いらしい。。
この国民年金制度を廃して、代わりにすべての国民1人に当たり毎月数万円を国が支給するというのがベーシックインカム制度です。
画期的な金銭サービスですが、手放しで喜ぶわけにはいきません。
ベーシックインカム制度の創設に際して、国民福祉、すなわち障がい者対策・高齢者対策を含む社会福祉一般から子育て、教育、医療に必要な費用の自己負担がどのように設定されるのか? そのことが切実な問題になります。
ベーシックインカム制度よりも、今ある福祉制度や子育て支援制度をより充実する方向の方が良いということになるかもしれません。
先に書いたように、大阪都構想の住民投票否決2回という民意を平気で踏みにじった実績を持つ日本維新の会のことですから、よくよく注意してかからねばなりません。
威勢よい言葉にも要注意です。吉村大阪府知事のイソジン会見を思い出してください。会見のあとイソジンが何ほどの役にも立たなかったことがわかりました。
初めてコロナ特設病棟を開いたときを思い出してください。鳴り物入りだったけれど医療人材手当がつかず、菅官房長官あたりに頼んだのか、自衛隊の救援部隊から5人の看護官の派遣を得てやっと開設できたのです。
1000床のコロナ野戦病院を設置すると記者会見した時も医療人材の手当ては皆無でした。500床の準備ができたと発表したときも医療人材の手当は皆無でした。その後は感染状況が急速に緩和してきたので、医療人材の手当てはしないままになっていることと思います。
また、第3波だったか第4波だったかの時は、大阪のコロナ自宅死の続発がひどくて、全国に知れわたりました。松井大阪市長や吉村大阪府知事はいつも威勢良いのですが。
別の観点で言えば、財政対策の裏打ちに、利子税・所得税・法人税の課税率改革に言及しない政策については、何党であれ、何専門家であれ、何教授であれ、頭から信じてかかるわけにはいかないのです。
【3】(松井ページ&吉村ページ)
「日本維新の会」の橋下 徹弁護士、松井大阪市長、吉村大阪府知事の3人は、安倍・菅両政権と特別に親密な間柄でした。
選挙ビラの「松井ページ」には、「経済を成長させる規制改革」、「構造改革・規制改革もなく経済成長できるの?」とあります。
つづけて、労働市場を流動化し転職、起業なども誰もがチャレンジしやすい社会を実現し、経済を成長させます――と、構造改革・規制改革の説明をしています。
これは安倍晋三元首相と竹中平蔵政商が牛耳ってきた「国家戦略特区」と同じ路線。そして小泉純一元首相と竹中平蔵氏がタッグを組んで進めたグローバル経済の発想と同じです。
労働市場では非正規雇用者が飛躍的に増加して、その待遇是正が近年の社会的課題になっています。労働市場の流動化は、すでに完成していると言っていいでしょう。
民間平均給与は小泉元首相以来低下しつづけて、今もピーク時まで回復しないままです。小泉元首相以来一貫して続けられてきた新自由主義経済≒市場原理主義経済と同じ経済成長手法で、格差解消などできるはずもありません。
日本維新の会の選挙ビラにある政策である年金問題の解決や経済成長は、私のような庶民の生活を利するものにはならないでしょう。