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「名画で読み解くロマノフ家12の物語」 中野京子

2015-07-01 | 読書

大連駅近く、エルミタージュ風?ビルディング 近くには旧ロシア租界もあります。2011年8月


 

ロシアのロマノフ王朝300年の歴史を、関連する絵画とともにたどる入門書。一読三嘆、いえいえ恐怖が先だって胸がドキドキする。

権力を争うものたちが起こす血で血を洗うような政争の数々。親子も夫婦も、ましてや家臣などが入り乱れて、暗殺を繰り返す。そのえげつなさに気分が悪くなった。

集団を作って、それを権力者が支配するのは何も人間だけではなく、高崎山のサルも同様だけど、写真のない当時、凄惨な場面の歴史画を見るのはいささか神経に応えた。

権力とか権威とか王権とか、初めはちょっと智慧のあるものが幸運に恵まれて手に入れるものではないだろうか。あとはそれを補強する不断の努力、策略と言い換えてもいいけれど。人間ってサルに形は似ているけれど、することはもっともっとえげつないなあと思った。

ロマノフ朝の先祖はプロイセン出身だとか、エテカリーナ一世は貧しい小作人の生まれ、未亡人になってロシア軍の野営地を廻るうちに(娼婦をしていたという説があり)、ピョトール皇帝の家臣の愛人となり、やがて皇帝と結婚する。

いゃあ、びっくり。女は結婚で階級を上がる場合もあるけれど、これまたぶっちぎりの大出世。

エテカリーナ二世も両親ともにドイツ人、女帝エリザベータの婚約者の身内と言う縁でロシア皇太子に嫁いだものの夫婦仲は初めから険悪、姑亡き後、夫を暗殺して帝位につく。

そしてあの豪勢なエルミタージュのコレクションの数々。当時の搾取がどれほど凄まじかったかをよく顕していると思った。

ロシア革命→ソ連の成立→ソ連の崩壊。ヨーロッパの端っこにあるこの国はやることも桁が外れている。そう思った。


 

大連の旧ロシア租界。建物は観光用に近年復元されたものとのこと。土産物屋が多い印象でした。

2011年8月

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