いつからだろうか?
友達が多くて社交的な人間が称揚され、おとなしくて引っ込み思案、社交性のない人間は人格的にも劣るような言い方がされるようになったのは?
著者は土曜日の情報番組でコメンテーターとしてみたことがある。さわやかな美青年がそのまま大人になったような感じのいい人、という印象だったけど、思春期から30歳過ぎまで、友人はほとんどいなくて、大学(さりげなく東大法学部)の大学院出て、定職に就くまでの間、一人で読書して思索を深めるのがその主な生活。
その間に結婚して子供も設けたので、丸きりの独りぼっちではないけれど、その中で考えたことが今の仕事につながっているようで、現在は明治大学で教育学、身体論、コミニュケーション学を教え、自らも研究する教授。
この本の大意をかいつまんで言うならば、孤独を恐れるなと言うことに尽きる。大切なことは一人でないとできない。読書をし、深く考えるのは孤独を癒し、生きる力になる。そういう励ましとして私は受け取った。
著者の知り合いで、集まりがあっても二次会以後は行かず、ずっと自分の好きな本の翻訳をしていた人が例に挙げられています。
また2012年、私はドイツに行ったのですが、ツアーで一緒になった男性が、若い時から呑み会には付き合わずお金をためてきた。退職後、海外旅行をしたいと言う夢があったので。と言っていた。年に数回、ご夫婦で好きなところへ旅しているそうで、それとは別に年に一度、一人でツアーに参加するという話でした。
付き合いもある程度取捨選択して夢を実現する。いいなあと思いました。
この本の好きな個所を適宜抜き書きしてみます。
人としての強さは、単独者になれるかどうかに尽きる。
一人きりの時間を利用して、一人にしかできない時間を楽しむ。これができれば(中略)年齢を重ねた時にも充実した日々が待っている。
意識の行き場がなくて苦しいときは、大いなる想像力で自分はどんなときにも自然に抱かれていると思うことだ。
孤独をポジティブなものに感じるには教養が必要。(中略)一筋の光を投げかけてくれるのが、先人たちの言葉であり、人生。
その他いろいろありますが、友達少ないことを恥と思わず、しっかり本読んで、物事を考えて、どんなときにもうろたえない、寂しがらない胆力を身に着けることの大切さを教わったようです。
今からでも何かに打ち込んで、これはと言うものが残せたら、言うことありませんね。
とはいえ、私たちの世代ではある程度人と合わして行き、付き合いも大切。あまり意固地になって孤独死が待っていても辛いし。
要するに、誰かと一緒でないと何もできない年寄りになっても行けないし、プライドが邪魔して人に助けを求められないのもよくないと言うことでしょうか。
この本は自分の今の状態に引き付けて、どこから呼んでも回答が得られる優れものと思います。