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「兄弟は他人の始まり」介護で壊れゆく家族 真島久美子

2020-12-10 | 読書

公民館で借りてきた。

先日「わたしは誰も看たくない」という、身も蓋もない介護の小説読んだけれど、これはその対極にある本。小説ではなくて実話らしいが、名前はすべて変えてあるとのこと。

自分の母親が脳梗塞で体が不自由、父親は認知症が進んで手がかかる。思い切って親の古い家を壊して家を二軒建て、隣に住んでの介護が始まる。

家を建てるところからがひと悶着。聞いてないと話を壊したり、大手ゼネコンに勤めて一級建築士だった父親は自分の思い通りに家を建てて、数千万のお金をほぼ使い切ってしまう。

本人はしっかりしているつもりだけど、ここで止めておけばと、私は残念。でも自分の経歴に誇りを持つ父親の考えを変えさせるのは無理だったのだろう。

介護で困るのは二人同時に手を取るようになった時。今までの男は家の中で妻にかしずかれ、何もしてこなかった。それで家の中がまわって行く間はいいけれど、できなくなった時にも、男性は同じサービスを受けたがる。介護するものは大変である。

相手が娘だとわがまま言い放題。認知症とわかっていても、娘を物で殴るようになり、父親はとうとう精神病院に。そこでも暴れる。書くのは著者も思い出したくなくて大変だったと思うけれど、よく書いてくれたと思う。

肉親の情はあっても女性一人で介護する限界は超えている。困った時には相談できるパイプをたくさん持って、一人で抱え込まない。改めてその思いを強くした。

著者はとてもよくして上げたと思う。夫との間もたまには険悪にはなりながら、夫もよくしたと思う。

介護の周りの人間関係は、家族により千差万別だけど、今は長男の嫁が前面に出なくていいという流れなので、それをこの本の中であれこれ言うのはもう時代に合わなくなっているのではと思った。

お嫁さんの立場からの話も聞きたいものです。

人間性にまで言及されて、この本読んで気を悪くしているのかも。

ことほど左様に介護は難しく、それを書くのはもっと難しい。


私の経験。

2018年4月末、大腿骨頸部骨折をした姑様はリハビリ病院から帰宅。介護度4。入所介護を勧められたけれど、夫が自宅介護を希望し、結果としては8か月半、隣の家から私たち夫婦は通いの介護をした。2019年年明け、夫、腰痛で続けられず施設にお願いして今に至る。

退院時に、自宅介護の計画の話し合いが、ケアマネさんの元、リハビリ病院、デイサービス業者、介護ヘルパ―業者、家族で持たれ、それぞれの分担が決められた。

その時何よりも驚いたのは「長男のお嫁さんは何をしますか?」と言う問いかけがなく、もちろん負担も強制されなかったこと。

ああ、今はこうなっているのだと、実母の介護の苦労を見てきただけに、目からうろこ。姑様が通所していないとき、ヘルパーさんも来ない日は夫が担当。

もちろん食事の支度や買い物などは私の余分な手間ですが、それは普段からしていること。私は楽な介護だったと思います。

だから、男兄弟の連れ合いが関わらないことにこだわるのは、この本を書いた時点では受け入れられても、今の時代には日本全国津々浦々、同じ感覚ではないと思います。

著者の弟さんは財産すべて放棄したのだから、法事などの費用を出してもらおうとしたり、もうあれこれ言わない方がいいと私は思います。

私のささやかな介護の経験での喜びは、姑様の無垢な笑顔と、こんな私でも役に立っているということでした。

嫌だったのは、夫とその弟妹の、してもらって当然という態度。弟妹が帰省すると、肉親だけで語り合い、(それは全然結構なのですが)、私に「お世話になっています」の挨拶がなかったこと。その場にも入れない無言の雰囲気。私はいてもいないのと同じ空気のような存在。

妹の作る料理が口に合うと言われて、何度か抗議しましたが、いまだに謝りません。

ああそうですか、時間かけてドロドロに煮たあのおかずがおいしいのね、あんたの親も妹も何してもトロくて時間かかるもんね、親も妹も、部屋が全然片付けられないもんねと言うようなことは言いません。ただ思っているだけで。

何を期待していたのかなあと、今は思う。何を期待して、自分でへこんでいたのかなあと。割り切って当事者にお任せするのがよさそうです。

私のささやかな経験から、息子たちには介護の苦労はさせてはいけないということです。自分お金全部使って、足りなければ家を売るなり貸すなりしてでも一人の子供に負担かけない。


その点、ワンルーム借りていた未婚の次男に、今春、マンション持たせたのは、結果的にはよかったと思う。先で家に帰っておいでと言う流れになって同居していれば、介護保険も使いにくいし、本人に介護の負担は行くし、親の死後は家の相続ですんなりと自分のものにはならないはずだし。

一戸建ては家族があれば住みこなせるけれど、便利な場所のマンションが住みやすい。マンションの価値は何よりも暮らしの便利さ、古い新しいはあまり関係ないと、最近あるサイトで見て確かにそうだと思いました。

歩いて行けるところにすべてそろい、日常の暮らしに困らないことが何よりも大切。そして引渡し前にちょっとした瑕疵が見つかり、管理組合が手配してあっという間に直してくれた。そういう経験がないのでびっくりした。自分の家なら、複数の業者探して見積もり取って、当日は立ち会って・・・ああ、めんどくさい。

私も年取ったらマンションへ行こうかな~

 

 

コメント (4)
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