■■【経済の読み方】 時系列的に見ると見えないものが見えてくる 最低賃金改定
◇ 世界貿易縮小傾向とその対策 2012/09/23
WTO(世界貿易機関)は、ことしの世界の貿易の伸び率について、3.7%としていた半年前の見通しを下方修正し、2.5%としました。
【原因】
1.アメリカの雇用情勢や企業の生産活動の回復が遅れている
2.ヨーロッパの信用不安の影響でユーロ圏などで実体経済が落ち込んでいる
3.ヨーロッパ経済の冷え込みによる減少を中国内需がカバーできない
これらのことから、来年の世界の貿易の伸び率についても、5.6%から4.5%へと下方修正しました。
さらに懸念されることとして、世界経済の回復の足取りが鈍る中で、各国が自国の市場を守るために保護主義的な措置を取る動きです。経済の回復を着実なモノにするためにも保護主義はマイナスです。
WTOでは、「多国間の貿易自由化の枠組みを改めて進展させるべきだ」と言っていますが、それでカバーできるだけの効果があるのか、疑問もあります。
◇ 世界的な穀物価格高騰 2012/09/23
アメリカの穀物等の農産物価格が高騰しているあおりで、家畜の餌の配合飼料の価格が、来月から大幅に値上がりします。
農林水産省は畜産農家に価格の上昇分を補填(ほてん)する程の大きな影響が出てきています。
配合飼料や穀物価格だけではなく、それに関連した製品は影響を受けます。
TPPに加盟したとして、このような時でもアメリカは安定価格で農産物を提供するのでしょうか?
◇ 個人の現金や預金が過去最高 2012/09/22
日本人が個人で保有する金融資産のうち現・預金残高が、6月末に844兆円に達し、これは過去最高です。
かつては、日本人の貯蓄率は先進国では突出して高かったのですが、バブル期に投資マインドが醸成されてから貯蓄率は低下傾向と言われて来ました。それが金額ベースでは増加したことになります。
その背景には、世界経済の減速から株価低迷などがあることは想像できます。
この度再上場は果たしたJALのもとの個人株主さんの気持ちを考えると複雑な気持ちです。
◇ 中国における日本製品販売 2012/09/21
日本自動車工業会の豊田章男会長は、中国各地の激しい反日デモの影響で、中国での日本車の販売が減少することを憂慮する発言がありました。また、日中両政府に関係改善を急ぐよう求めました。
販売店が大きな被害を受けたことだけではなく、反日感情から日本製品に対する買い控えが大きく懸念されます。
これは自動車メーカーだけの問題ではなく、全産業にいえます。
中国にある日系企業は、サプライチェーンの一環として組み込まれているわけで、それによる寸断から部品が入手できず、製造ラインがストップすることも考えられます。
日本だけではなく、中国そのものにも影響が大きいはずです。日中政府の前向きな姿勢を期待します。
◇ 景気回復時期が後ずれ 2012/09/20
日銀の金融政策決定会合の結果発表がありました。
追加の金融緩和策が決定されるのかどうかが焦点でしたが、予想通り緩和に踏み切りました。市場に大量の資金を供給する基金を10兆円増やすという追加の金融緩和策です。ところが、一時的に円相場が値下がりしましたが、すぐに値上がりに転じました。
このことからも想像できるように、低金利の現状では金融政策で景気浮揚をコントロールできる状況にはないということです。
海外経済の減速で景気回復の見込みが想定よりも後ずれしていると判断できます。その結果、デフレからの脱却を目指す日銀の「1%の消費者物価の上昇」も後ろに伸びることは必定でしょう。
どのように物価目標を実現するか。今後の日銀対応が注目されます。
◇ 電力融通でも厳しい東北電力 2012/09/19
昨日は、厳しい残暑と東北電力火力発電所のトラブルで、東電他から融通を受けました。今日19日も東日本全体の使用率が94%と再び厳しい見通しです。
原発ゼロを叫ぶ前に、原発ゼロでもやって行けると言うことを示すためにも、節電をしなければならないと思い、努力するつもりです。
◇ 中国日系企業 2012/09/18
連日、日系企業が暴動や略奪に遭遇している記事が報道されています。立ち直りに要する時間や機会損失、費用等々は相当なものでしょう。日系企業に雇用されている中国人の失業も深刻になるでしょう。
悲しいことですね。
◇ 最低賃金が改定 2012/09/17
「最低賃金」という言葉を良く聞きますが、意外と実態が知られていません。
企業が従業員に支払わなければならない最低限の賃金のことで、都道府県別に時間給で定められます。
【Wikipedia】最低賃金
労働基本権に基づくもの。多くの国では労働者の基本的な権利として広く適用されているが、必ずしも全ての労働者に適用されるものではなく、外国人労働者は対象外とするような特定の層に対して減額や、適用除外が行われることがある。シンガポールのように最低賃金制度は存在せず、賃金は労働力の需要と供給のバランスで決定される国家もある。
最新のデータでは、全国平均で749円です。これは前年より12円のプラスです。10円以上の引き上げ幅になるのは2年ぶりのことです。一斉に引き上げられるのではなく、9月末から11月にかけて順次実施されます。
東京都 850円(+13)
神奈川県 849円(+13)
大阪府 800円(+14)
最も低いのは島根県と高知県で652円です。
最低賃金で働いた場合の1か月の収入が、生活保護の水準を下回るという状況を「逆転現象」といっています。働く人の方が、働かなくても支給される金額が高いことを逆手にとって、意図的に就労をしない人がいるのではないかと話題になっています。
この現象は、全国何処でも発生しているというわけではなく、北海道、宮城県、東京都、神奈川県、大阪府、広島県で起こっています。
◇ 物価 東京と世界の比較 2012/09/16
東京の物価が高いことは、以前より言われていたことです。
この度、スイスの大手金融グループ「UBS」が、2012年4月から5月にかけて、世界72の主な都市の物価や賃金の水準を調査しました。
この調査によると東京の物価は、世界で3番目に高いというのです。
アメリカのニューヨークを「100」とした場合、最も物価が高かったのは、ノルウェーの首都オスロで、116.0でした。続いて2位はスイスのチューリヒで110.1、3位の東京は108.9でした。
因みに、ニューヨークは6位、ロンドンは10位でした。
賃金に限定すると、最も高いのがチューリヒ、2位が同じスイスのジュネーブ、3位がデンマークのコペンハーゲンで、ニューヨークは6位、東京は8位でした。東京は物価に比べて賃金が比較的高いということが解ります。
◇ ヤフーメール利用者の注意2012/09/15
ネット上で無料サービスを利用する人は多く、各種情報の収集に利用されていることを知らないで利用規程に同意してしまっているのではないでしょうか。
ヤフーがメールの内容を解析して、その内容に応じてメール利用者が興味を持ちそうな広告を表示させることを決定していました。
総務省が通信の秘密の侵害に当たるおそれがあると指摘し、実施を控えていました。
Gメールを利用している人は、すでに広告が入っていることをご存知ですが、海外拠点のサービスと言うことで、総務省の管轄外という考えです。
この度、ヤフーが「利用者の同意を得る仕組みができた」として、9月19日からこれを開始すると発表しました。
もし、解析されて、広告を挿入されるのが嫌な人は、ヤフー・メールを利用するときに、この案内が表示されるので「NO」を選択すれば解析されなくなります。
グーグルの場合には、メールだけではなく、包括的に同意するか否かを求められるのに対して、ヤフーの方はここのサービスに限定されているので、用途によりYES・NOを使い分けると良いでしょう。