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日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

海上長狭工作物の計測

2005年07月21日 | インポート
町会議員ではない方の、日常の生業分野の固いお話が今日のテーマです。

海に面している陸地が多い長崎県内には、波消しブロック(テトラポット)を設置してある海岸部が多くある。

その中でも、入江の少し沖合いの陸続きではない所に、単独で設置されている防波堤がある。

湾内への高波の影響を軽減するために、その湾の入り口付近に、波が押し寄せて来る方向に対してほぼ直角に設置されている、大きな波消しブロック(テトラポット)の乱積み方式により築造された、細くて長い構造物だ。
通常は、そのような防波堤のことを沖防波堤と呼んでいるようだ。

航空写真測量で、地面で覆われている通常の地上の対象物を解析・計測する場合には、その計測対象物が、ステレオ画像を構成する2枚の写真上に明確に写ってさえいれば、何の問題も無い。

しかし、その構造物の周囲が全て海面で、しかも細くて長い構造物の三次元データの解析・計測をするためには、撮影計画からして色々と工夫しなければ、正確な三次元データの取得はできない。

平成13年に、長崎市内の旧来からの付き合いのある実測会社の社長から、そのような海上長狭工作物の航空写真測量方式による解析・計測をする方法は無いかと相談された。

従来は、設計仕様に基づく施工が、適切に実施されているかどうかの竣工検査の方法としては、検査する施工断面の箇所ごとに足場を組んでの、現地での実測による方法で対処していたという事だった。

その現地に足場を組む経費も相当な金額になり、さらにテトラポットの1個の大きさが、全長で5m程度のものを積み上げてあるので、足場設置作業時の作業員の危険性の回避という観点からも、非接触方式による航空写真測量方式での解析・計測ができないものかという相談だった。

海上に単独で存在している、長狭構造物の三次元データ計測を、航空写真測量方式で計画する場合には、超低空撮影が可能なヘリコプターによる撮影を計画するのが常道ではある。しかし、ヘリコプターによる撮影は撮影コストが高くなり、地上座標が既知となる基準点の設置数も多くなり、その分、基準点の設置やそれらの基準点への対空標識の設置時における、現場作業員の作業実施時における危険性も増す事になる。

そこで、通常の撮影用飛行機(セスナ機等)による撮影で、三次元データの解析・計測が出来る方法を考えてみた。

答えは、写真測量の最も基礎的な知識により導き出す事が出来た。

航空写真(空中写真)は、シャッターを切った瞬時の状況を画像として捉えることができる。

4個以上の、三次元の軌道座標が正確に把握されている人工衛星からの信号を受信する事によって、その受信アンテナ位置の地球上の三次元座標値を瞬時に知る事が出来る技術が確立されている。

RTK-GPS測量という。(リアル・タイム・キネマティック-グローバル・ポジショニング・システムの略)

これは、1秒ごとの受信・解析データをシステムの中に格納しておくことができる。

このような技術を、航空写真撮影時にうまく組み合わせて使えば、海上の長狭構造物の、正確な三次元データの取得が可能となる。

詳細については、後日ということで。

豊田かずき