日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

墨付けと地図作り

2005年07月27日 | インポート
小屋の中の間仕切りをする大工さんの仕事のやり方を見ていた。

まず、天井の鉄骨の梁の下の面の、壁を設置する予定位置の所に、墨糸で墨付けをする。

次に、垂球(下げ振り)の糸の上端を先程墨付けした線に合わせて垂球を垂らし、その鉛直下のコンクリートの床面に印を付ける。

それを2箇所で行い、その床面上の2点を結ぶ直線に、墨糸で墨付けを行う。

そのような事を、壁を設置する全ての面に対して行い、鉄骨の梁の下の面とコンクリートの床面の両方に、大工さんの頭の中にある平面図が、具体的な線として表示された。

直角と鉛直を、1対1の縮尺で現地に図示したことになる。

私の生業の航空写真測量における地図作りも、基本的な概念としては、同じような事をやっている。

撮影された航空写真の撮影カメラの空間位置とそのX・Y・Z軸まわりの回転角の量を、地上座標が既知な対空標識を設置した基準点等の三次元座標と、その写真上に写像された画像位置との関係から解析して決定する。

このような事を、空間後方交会法による投影中心位置の、空間位置と3軸周りの回転角の解析という。
基本的に使う数学的な概念としては、共線条件式と呼ばれるものだ。

地上の特定の対象物と、撮影カメラのレンズ中心(投影中心)と、撮影された写真のフィルム面上の画像位置との3点は、一直線上になければならないという条件である。

このような共線条件を、写真上にバランス良く配置された3点以上において、同時に満たすような解析をすれば、一枚の写真の投影中心の空間位置と3軸周りの回転角は求まる。

それを60パーセント以上重複して撮影された2枚の写真について行い、2枚の写真の投影中心の空間位置と3軸周りの回転角が分かれば、あとは三次元の前方交会法によって、あらゆる地上点の三次元座標を求める事が出来る。

ある特定の座標系における投影平面(X・Y平面)に対して、鉛直に投影された地上の地形・地物を、ある縮尺にして線図として表示したものが地図であるということになる。

基本的に使う概念としては、水平・直角・鉛直であり、大工さんが建物を建てる時と同じものだ。

ものづくりの基本概念の中には、共通している事柄が多い。

豊田かずき