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ごっとさんのブログ

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RSウイルス感染症が増加

2015-11-29 10:32:53 | 健康・医療
あまり聞いたことのない、RSウイルス感染症が増加しているようです。最近の国立感染症研究所の発表では、患者数が5000人近くになっているようです。これから寒くなる11月から2月ごろが増えるようですので、平年より多くなりそうとのことでした。

RSウイルスを調べてみたところ、Rは呼吸器の略で、Sは合胞体の略のようで、呼吸器に感染しいわゆる風邪のような症状を起こすようです。潜伏期は2~8日で、通常は1,2週間で治るというやや治りにくい風邪と言えるようです。感染経路もいわゆる風邪と同じで、飛沫感染や接触感染と言われています。ただし感染力はかなり強いようです。

このウイルスの特徴は、乳幼児の感染が非常に多く、感染してから徐々に免疫ができるのですが、2歳までにほとんど100%の子供が感染するといわれています。乳幼児がかかると気管支炎や、場合によっては肺炎を併発する可能性があり注意が必要のようです。ただし初期感染よりは、その後の感染は症状が軽くなり、免疫系が働き出すようです。このように2歳までにすべての子供が感染するのであれば、患者数は100万人という規模になるはずですが、あまり問題にされないのは、重篤な症状にならないためと思われます。

たぶん大人が発症しても、軽度の風邪であれば医療機関に行くこともなく治ってしまうため、先の患者数は氷山の一角のようなものかもしれません。このウイルス感染症もある意味治療法はなく、対症療法だけとなります。このウイルスのように、ほとんど知られていないのですが、感染すると軽い症状となるウイルスは多数存在しているようです。

私も昔現役だったころ、抗ウイルス剤を研究してみようと思い、色々勉強したことがありました。もう20年以上前のことですが、そのころでさえ病原性ウイルスは無数と言えるほど多く存在しており、何をターゲットにするか非常に難しい問題でした。結果的に抗ウイルス剤の研究は断念したのですが、それは設備上の課題があったためでした。ウイルスを殺す薬を探すということは、ウイルスを培養する必要があります。これには非常に厳しい規制があり、通常の設備ではできないことがわかったのです。

今回のRSウイルスは、抗ウイルス剤やワクチンも必要なさそうな弱毒性ですが、何回も感染するということは、免疫が働きにくい可能性もありやはり注意が必要な気もします。またこのような症状を起こすウイルスは、これ以外にもたくさんいると思われます。ウイルスが簡単に同定できるようになりましたので、新しいウイルスは増え続けることでしょう。