ごっとさんのブログ

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記憶の連動の仕組み

2016-08-17 10:20:42 | 自然
富山大学と東京慈恵会医科大学の研究グループが強烈な体験をするとその前後のささいな出来事も覚えていることが多いという記憶の連動の仕組みを明らかにしたと発表しました。

記憶が連動するのは、それぞれの出来事を記憶する脳の神経細胞の領域が重複しているためとういことが分かりました。以前から例えば東日本大震災の起きる前のランチに何を食べたかを覚えているとか、大きなショックや嬉しいことのように、いわゆる記憶に残るような出来事があると、その前後の通常では忘れてしまうような出来事まで覚えているという、記憶の連動現象が知られていました。

これは動物実験でも確認されており、「行動タグ」と呼ばれていたようです。記憶というのは非常に難しい課題のような気がしますが、どうやって動物実験をするのかさえ分かりませんが、それなりの手法があるようです。

私の息子が記憶喪失になったことがあります。大学2年の時でしたが、過労と睡眠不足が重なり出先で倒れたようです。そのまま入院したのですが、高校卒業からその時期までの記憶が抜けてしまったのです。私や家族とは普通に話ができるのですが、大学の友人や付き合っていた彼女を認識できず、見ていても不思議な光景でした。

それでも3日ほどでこの記憶は戻ったのですが、完全に戻っているのかどこかは抜けたままなのかは結局わかりませんでした。当然なぜ記憶が抜け落ちたかも分からないままでした。その後20年ほど経っていますので、記憶はブラックボックスではなく、科学の手が入ってきたようです。

さて今回の成果はやや分からないところがあるのですが、マウスにささいな出来事と強烈な体験を記憶させるためにそれぞれ「新奇物体認識課題」「新規環境暴露」と呼ばれる実験をしました。新奇物体認識課題としてマウスが好奇心を示す物を四角い形の箱に入れ、新規環境暴露としてはマウスを慣れない立方体や円柱の形の箱に入れるという実験です。記憶の有無を調べる実験をした結果、ささいな出来事だけを体験させたマウスは24時間後にはその出来事を忘れるようです。

しかし、ささいな出来事を体験させる前後1時間以内に強烈な体験もさせると24時間後もそのささいな出来事を覚えていることが分かりました。次に強列な体験をさせたマウスの脳の海馬の神経細胞を調べると、ささいな出来事、強烈な体験それぞれを記憶した神経細胞の領域の大部分が重なっていることも判明したということです。

このようにマウスでどの神経細胞に記憶されたかとか、記憶の有無を確認できるようになったことは、すごい進歩のような気がします。