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炭酸ガスからダイアモンド合成?

2016-08-12 11:25:01 | 化学
かなり前のブログに南極での炭酸ガス濃度が、400ppmを超え危険水準になったという話を書きました。

その時私は、人間の排出する炭酸ガスで地球温暖化が進行しているということに、まだ疑いを持っていることも触れました。しかし世界中でこの温暖化対策が進んでいることも確かです。そのほとんどがいかに炭酸ガスの排出量を減らすか、という方向で進んでいますが、現在ある空気中の炭酸ガスを減らすという試みもされています。

まず空気中から炭酸ガスを取り出して溜め込もうという物で、炭酸ガス隔離貯留技術(CCS)と呼ばれています。火力発電所や製鉄所のような高濃度の炭酸ガスを排出しているところから、炭酸ガスを分離し地中などの貯留しようという技術は、かなり前から研究されており、すでに実用段階に近いようです。

炭酸ガスを分離する方法としては、(1) 固体吸着剤に吸着させる(物理吸着法)、(2) 吸収液に溶解させる(化学吸収法)、(3) 吸収液に高圧のCO2を物理的に吸着させる(物理吸収法)、(4) CO2だけが透過する膜で分ける(膜分離法)、(5) 極低温で液化した後に沸点の違いを利用して分ける(深冷分離法)、5種類があります。

発生源の種類により使い分けているようです。こうして分離した炭酸ガスを貯留する方法としては、(1) 地中に押し込む(地中貯留)、(2) 海底に貯める(海底貯留)、(3) 海水に溶かす(中層溶解)といった方式で、大気中に出ていかない場所に貯蔵する方法が検討されています。このCCSについて詳しく説明はできませんが、大気中の炭酸ガスは濃度あまりにも低いため、まだまだ難しいようです。

これは単に邪魔者をどかしているだけですが、最近炭酸ガスを有用な物質に変換するという技術が発表されました。これはワシントン大学の研究グループが、炭酸ガスを集めてカーボンナノファイバーに変換するという物です。彼らはこの技術を「空からのダイアモンド」と呼んでいます。

この技術の詳細については述べられていませんが、酸化リチウムを使って炭酸ガスを固定し、それを使ってカーボンに変換しているようです。問題はどの程度でごく薄い空気中から取り出せるかですが、現在の技術でも1時間に数十gが取り出せるとしています。この数値はかなり低いよう気もしますし、カーボンナノファイバーにするまでかなりのエネルギーが必要なはずですので、採算が合うのかなど疑問は残ります。

但し先に述べたCCSの費用は、1トンあたり800~18,000円程度と見積もられています。これは幅も広くあまりあてにはなりませんが、日本の年間排出量を貯留すると何兆円にもなるという高コストのようです。今回の技術が求められている新技術となるかは分かりませんが、炭酸ガス問題は難しいようです。