脂肪を溶かす張り薬 マウス実験で開発

アメリカの研究グループがマウスを使った実験で、脂肪を溶かすスキンパッチ（張り薬）の開発に成功したと発表しました。

人の肥満や糖尿病治療にも応用可能かどうか、今後の研究で探っていくようです。研究グループによるとこのスキンパッチは、ナノテクノロジーを利用して体内の代謝を上げ、エネルギーを蓄積する白色脂肪を、エネルギーを燃焼する褐色脂肪へと変化させることができるようです。

マウスを使った4週間の実験では、スキンパッチが貼られた部分の脂肪が20％減少しました。通常脂肪細胞というと白色脂肪細胞を指しますが、体内にはもう一種類褐色脂肪細胞というものがあります。

白色脂肪細胞は皮下や内臓に分布し、体内の余分なエネルギーを脂肪として蓄積します。一方褐色脂肪細胞は主に鎖骨付近や胸周りに分布し、脂肪を燃焼し熱を産生する働きを担っています。

ヒトでは新生児にしか褐色脂肪細胞がないと思われていましたが、最近の研究によりヒト成人にも存在することが分かり、肥満の予防や治療の観点から盛んに研究されています。こういった古典的な褐色脂肪細胞に加えて、新しいタイプのベージュ細胞というものも見つかっているようです。

白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への変換は当然試みられていますが、そのメカニズムは非常に複雑で、多くの遺伝情報物質が関与しているようです。最近ではペプチドホルモンの一種がこの変換に関与することが分かり、この研究グループもそういった物質を使っているのかもしれません。

この使用している成分については全く触れられていませんが、この薬の成分は髪の毛の400分の1ほどの細さのナノ粒子に入れられています。皮膚に刺さる微細な針数十本が付いた指先大のスキンパッチに、これらのナノ粒子が仕込まれているようです。

このスキンパッチの設計の担当者によれば、このパッチの仕組みにより、薬の成分は全身に素早くいきわたるのではなく、持続的に組織付近へと浸透させることができるといいます。この実験は4週間行われ、マウスの腹部に貼られたパッチは3日ごとに交換したようです。

この時の脂肪減少量が20％というのはやや少ないような気もしますが、今回の手法は飲んだり全身に投与するわけではないので、分解しやすい薬を使用することもできますし、副作用の心配もほとんどないような気がします。

またメカニズムについては全く触れられていませんので、白色脂肪細胞をどのようにして褐色脂肪細胞にしているのかわかりませんが、抗肥満という点では手軽にできて簡単な方法かもしれません。