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ごっとさんのブログ

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不老不死の鍵を握る哺乳類

2018-02-23 10:40:58 | 自然
不老の動物として取り上げるのはハダカデバネズミですが、これについては昨年初めに脅威の生命力を持つ哺乳類として紹介しました。

ハダカデバネズミは地中に巨大な穴を掘って生活していますが、数百匹もの個体が社会性を持って暮らす唯一の哺乳類としても知られています。

これは特殊な環境に生きるだけでなく、いろいろ面白い特性を持っていますので、近年注目されており、ここではグーグル傘下の研究グループが3000匹以上のハダカデバネズミを30年にわたり研究した成果として発表されました。

前回は驚異の生命力として、無酸素状態でも18分も生き続けることができることを紹介しました。その他このネズミはガンを発症しないことも知られており、その方面でも研究が行われています。

今回の研究ではすべてに関して誕生から死因まで詳細に記録し、それを元にしてライフスパンの内どの年齢で死ぬ確率が高いかを示すモデルを作成しました。するともちろん死ぬことは有るものの「年齢を重ねると死ぬ確率が高まる」という現象が確認できなかったようです。

研究期間の直近の時点での最高齢のネズミはなんと30歳を超えていたようです。同じようなげっ歯類を飼育した場合、寿命は約6年ほどですので、これに比べると30年が驚異的かわかります。

さらにげっ歯類が6歳になると通常は老化の兆候を見せ、生殖能力を失います。しかしハダカデバネズミの最高齢のメスは何と閉経せず、出産能力を失いませんでした。このように年齢が上がるにつれて死に至るという性質を持っていない、初めての哺乳類ということになるわけです。

有機体は、生物として重要な出産といったプロセスを行うためのエネルギーが限られているという老化理論というものがありますが、このネズミのこの現象はその理論を否定していることになります。

研究グループが観察を行った30年の間、自然死したネズミはいますが、腎臓病や歯周病、筋消耗の兆候で死んでおり、これはどの年齢でも起こりうるとしています。またガンのような年齢に関連した疾患は非常に珍しいようです。

行動も歳を重ねても大部分では変わらず、病気やけがを免れ続ける個体は、理論上はずっと生き続けることができるというのが現時点での推論となります。もちろん年齢が一定に達した段階で、老化現象が始まるのかもしれません。そうだとするとまだその年齢の上限が観察されていないということになります。

この研究での最も年齢が高いのは35歳のオスで、この個体もまだ生殖活動に参加しているとのことです。研究グループはガンにならない仕組みや、人間に応用可能かを探っているようですが、やはり広い生物界には不思議な生物がいるものです。