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「ミニ脳」で神経活動

2019-10-02 10:24:14 | 自然
実験室で培養した脳から、人のものに似た電気的活動を初めて検出したとする研究が発表されました。

この研究結果は、神経学的状態のモデル化、さらには人の大脳皮質の発達に関する根本的理解への道を開くものと期待されています。

今回アメリカカルフォルニア大学の研究チームは、検出された電気的活動が早産児のものに似ていることから意識はないという見方を示しています。しかし確かなことは明らかにされておらず、この研究分野に新たな倫理的次元を開く問題のようです。

成体幹細胞から作製されるいわゆる「脳オルガノイド(細胞集合体)」が登場してから約10年となりますが、機械的な神経細胞ネットワークを発達させたのは今回が初めてです。

今回の飛躍的進歩は二つの要因によって可能になり、一つ目は培地処方の最適化などを含む幹細胞培養技術の向上です。二つ目は、子宮の中で赤ちゃんの脳が発達するのと同じように、神経細胞に発達のための十分な時間を与えることのようです。

研究チームがオルガノイドから突発的に放出される脳波を検出し始めたのは、約2か月が経過してからのようです。脳波信号は最初まばらで、皆同じ周波数でしたが、これは人の脳にみられる非常に未成熟なパターンと同じです。

これが成長するにつれて、異なる周波数で脳波が発せられ、信号がより定期的に出現するようになりました。これはオルガノイドの神経細胞ネットワークの発達が進んだことを示唆しています。

研究チームは次に、この脳波パターンを初期発達段階にある人の脳の脳波パターンと比較しました。比較作業には、早産児39人から記録した脳波活動を使い訓練した機械学習アルゴリズムが用いられました。

その結果、脳オルガノイドがペトリ皿の中で発達した機関についての予測を正確に行うことができました。これは自然環境の脳と同様の成長軌跡を、脳オルガノイドもたどることを示唆するものでした。

新生児がどの発達段階で意識を獲得するのか、そして「意識」の定義についてはどちらも科学者の間で論争の的となっています。

脳オルガノイドの応用範囲として考えられるのは、てんかんや自閉症などの神経学的疾患患者の幹細胞から脳オルガノイドを作製することにより、疾患のモデル化を向上させられることで、治療法の発見にもつながるかもしれません。

研究チームは、より基本的な問題も解明したいとしています。脳のオルガノイドの発達は約9~10か月で止まりますが、その理由もまだ明らかになっていません。

このような「脳」と「意識」の研究は新たな倫理的問題が出る可能性がありますが、まだまだ基礎研究ですので先の話になりそうな気がします。