ごっとさんのブログ

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肺ガン検査に新型機器

2019-10-22 10:35:47 | 健康・医療
日本人のガンでは最も死者が多い肺ガンですが、引き金となる細胞の遺伝子異常が解明され、対応する薬の実用化が進んでいます。

複数の遺伝子の状態を同時に調べる医療機器が登場し、遺伝子異常に応じた適切な治療を効率的に見つけることが可能となってきました。

肺ガンは、小細胞ガン、腺ガン、扁平上皮ガン、大細胞ガンの4タイプあり、タイプや進行の程度などに応じて手術や放射線、薬物療法を使い分けています。また複数の治療法を組み合わせることもあるようです。

初期に目立った症状がなく、手術が難しい状態で見つかる患者も少なくありません。転移・再発ガンは薬物療法が中心で、従来の抗ガン剤や分子標的薬、免疫治療薬があります。

薬物療法で注目されているのが、「ドライバー遺伝子」の異常で、この遺伝子は細胞の増殖にかかわり、本来はアクセルとブレーキのバランスが保たれています。何らかの影響で遺伝子が傷つくと、細胞の表面や内部に異常なタンパク質が作られます。

これが増殖のきっかけとなる物質と結合することで、細胞は増え続けガン化します。肺ガンに関わるドライバー遺伝子の異常は2000年以後相次いで見つかっています。肺ガンの対応で最も患者数の多い腺ガンの7割に、こうした突然変異などの遺伝子異常が関係していることが分かっています。

分子標的薬は主に異常なタンパク質の働きを抑え、ガンを引き起こすドライバー遺伝子の異常は患者により異なります。適切な薬を選ぶには原因となる遺伝子を特定することが重要です。

検査に必要な肺ガン組織は、喉から肺に通す気管支鏡などを使って採取し分析されます。これまでは異常が疑われる遺伝子を一つずつ調べなければならず、複数の遺伝子を対象にすると数カ月を要する場合もあったようです。

今年6月に発売された医療機器は、複数の遺伝子を同時に読み取り、約2週間で結果が分かります。分析に必要なガン組織の量は3分の1以下で済み、検査対象は現在治療薬がある四つに遺伝子異常にとどまりますが、新しい薬が実用化されれば対象を増やすこともできるようです。

分子標的薬の効果は数年持続する場合もありますが、ガン細胞に別の遺伝子変異が起こると効きにくくなりますので、新たな変異に対応した新薬も登場しています。

従来の抗ガン剤を含めた複数の薬の組み合わせや、薬を使う順番など、治療効果を高めるための研究も進んでいます。

このように新たな医療機器や、分子標的薬が登場するのは良いことですが、ますます高額医療が進むような気もしますので、今後はいかに安価にするかも大きな課題かもしれません。