ごっとさんのブログ

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認知症の電磁気治療

2019-10-12 10:26:17 | 健康・医療
9月上旬に東北大学が発表した超音波による認知症治療を紹介しましたが、最近フロリダ大学から発したベンチャーが、電磁気を使ったアルツハイマー病の治療を発表しました。

この会社は2019年9月に独自の専用ヘッドギア「メモルEMTM」を用いた経頭蓋電磁気療法の臨床試験において、アルツハイマー病患者の認知パフォーマンスが向上したことを明らかにしました。

この会社と南フロリダ大学の共同研究チームは、軽度から中等度の63歳以上のアルツハイマー病患者8名を対象に、2か月にわたり1日に2回、各1時間「メモルEMTM」を患者の頭部に装着させ、経頭蓋電磁気療法を実施させました。

ヘッドギアの中に複数の特殊なエミッタ―が配置されたメモルEMTMは、介護者によって家庭でも簡単に電磁気療法を実施でき、治療中もほとんど制約なく自由に動き回ることができます。

研究チームは、各被験者について治療前、治療直後、治療完了から2週間後のそれぞれの認知機能の状態を診断しました。

その結果経頭蓋電磁気療法は被験者8名全員に安全であり、そのうち7名は認知機能を評価するスコアにおいて認知パフォーマンスの向上が認められました。

その度合いはアルツハイマー病患者の1年間の認知機能低下とほぼ一致し、アルツハイマー病が1年間で認知思考に与えた影響が、たった2か月で戻ったことになります。この様な臨床実験の結果は、マウスを対象とした実験結果とも合致しています。

研究チームが2010年に公開した研究論文において、携帯電話と同等の電磁波を長期間にわたってマウスに照射した結果、若齢マウスの記憶障害を妨害し、老齢マウスの認知パフォーマンスが改善したという実験結果を示しています。

研究チームでは、今回の臨床実験の結果を踏まえ、この経頭蓋電磁気療法は脳や脳細胞にたやすく浸透し、アルツハイマー病につながるアミロイドβやタウタンパク質が脳細胞内で凝集するのを防ぐことにより、アルツハイマー病に直接作用すると考えています。

今回はわずか8名という臨床実験でもあり、研究チームは2019年末までに、軽度から中等度のアルツハイマー病患者150名を対象にした臨床実験を実施し、安全性や認知機能への効果をさらに検証していく計画です。

このような電磁気でアミロイドなどのタンパク質の凝集が防げるというのはやや不思議な気がしますが、アルツハイマー病の治療薬の開発が難航している現在では、化学療法よりもこういった電磁気や超音波といった物理療法が試してみる価値のある治療法といえるのかもしれません。