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胃ガンリスク「ピロリ菌と遺伝」で大幅に高まる

2023-06-07 10:31:49 | 健康・医療
胃ガンの原因はピロリ菌ではないという私の持論をこのブログでも書いていますが、ピロリ菌と遺伝の要因が組み合わさると、胃ガンにかかるリスクが大幅に高まることが発表されました。

理化学研究所などの国際研究グループが独自のゲノム解析手法により、胃ガン患者群と比較対照群の大規模データを詳しく比較して明らかにしました。

胃ガンの原因は環境要因であるピロリ菌感染がよく知られていますが、遺伝的な要因もあるとされています。研究グループは胃ガンのリスクに関連する遺伝子の特定や、環境要因と遺伝要因に加え両者を組み合わせたリスクの度合いの解明に挑みました。

日本人を対象としてゲノムと健康情報のデータベースの胃ガン患者計1万1859人、ガンに罹っていない比較対象者計4万4150人の情報を解析しました。その結果9種類の遺伝子が胃ガンのリスクに関連することなどを明らかにしました。

飲酒や喫煙、ピロリ菌感染といった環境の要因でDNAの二重らせん構造は損傷してしまいますが、細胞はこれを治す「相同組み換え修復」と呼ばれる機能があります。

ピロリ菌が持つタンパク質「CagA」はこの修復の仕組みを破たんさせ、変異の蓄積を誘発して細胞をガン化させます。胃ガンのリスクに関連する9種類の遺伝子のうち、4種類がこの相同組み換え修復に関わっています。

研究グループはこれらの変異の有無と、ピロリ菌感染の有無を組み合わせて胃ガンのリスクを算出しました。(A)変異が無くピロリ菌も陰性のケースに比べ、(B)変異ありで陰性だと1.68倍、(C)変異無しで陽性だと5.76倍、(D)変異ありで陽性だと22.45倍となりました。

つまり変異と感染が組み合わさると、単独の場合に比べリスクが大幅に高まることが分かりました。こうした結果から研究グループは、相同組み換え修復機能に関わる遺伝子に生まれつき変異がある場合、CagAがより強く働き胃ガンのリスクが高まっている可能性があるとみています。

次に変異とピロリ菌感染の有無を組み合わせ、85歳までのリスクの累積を求めました。ピロリ菌陰性の人は変異の有無にかかわらず5%未満にとどまりました。その一方陽性の人では変異を持たない人が14.4%であるのに対し、変異を持つ人は45.5%となり大差が付きました。

一連の結果からピロリ菌感染と遺伝子変異の要因が組み合わさることで、胃ガンのリスクが大幅に高まることが分かりました。これがピロリ菌が胃ガンの発症と関連しているという科学的な検証といえます。

こういった結果が集まれば、私のピロリ菌無害説も考え直す必要が出てくるような気もします。


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